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2015年9月

2015.09.23

英国逍遥2015 - 「ハムレット」観劇(作成中)

明けて9月12日、土曜日。朝はBBC Breakfastを見ながらコーヒーをいれてのんびりと。

ホテルには綺麗な庭が付いている。 共有スペースの暖炉付きのお部屋も素敵。

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ホテルから歩いて10分ほど、毎週土曜日に開かれるポートぺローの骨董市をのぞいてみた。9時ごろ行ったから屋台のお店はまだ8割がたのオープン。それでも結構なお客さんがきていた。

こんな屋台街がえんえん続く。凄い規模。

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さて午後からはいよいよハムレット観劇。Google Mapさんでルート検索するとSt. Paul駅から歩いて行くのが一番近そう。

聖ポール寺院

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ロンドン博物館。ホームズ展の踊る人形ロゴが残っている。

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バービカン着

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バービカンは劇場、映画館、コンサートホール、美術館に住宅を併設した複合文化施設だ。劇場は地下1階、マチネは土曜だけで13:30から。

プログラムを買い、開場を待って劇場に入る。バービカンは面白い作りの劇場だ。客席の両サイド、列毎に扉がある。通路が無い。1階の席の足元は広いのでそんなに苦労せずに通れるけれど、異国の劇場だし、体調不良等で周囲の人にご迷惑をかけてはいけないので端の席をとった。2回行くので上手と下手の両サイド。これなら見切れはなかろうという魂胆。何れも前列。日本の大方の芝居と違って席を事前に選べるのは本当にありがたい(チケットとるのに数時間かかったけどねw)

チケットは本人チェックをするというので、パスポートを用意していたが、結局チケットを見せるだけで写真チェックはなかった。劇場入り口のみならず、劇場の緞帳(上下に開く面白いタイプ)にも、上演中のスマホ電源オフ、劇場内撮影禁止の注意書きが表示されている。例の盗撮事件があったからだとは思われる。

ここからは舞台感想なのでたたみます。この感想は9/12 ソワレ、9/14 マチネの感想を統合したものになっています。

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2015.09.11

英国逍遥2015 - 「バッカイ」観劇

ロンドンに着いて、その夜は観劇という強行軍。体調と相談して無理ならやめようと思っていたけど、早めに着いたしのんびり18時ころ出かける。最寄りの駅はセントラル線のQueensway。駅でオイスターカードにチャージして、イズリントン駅まで30分くらい。駅から10分ほど歩くとアルメイダ・シアター。

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受付で予約メールを見せてチケットに替えてもらう。20時の開演までまだ1時間くらいあったので周囲を散策。劇場前の猫さん。

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イズリントン地区はおしゃれなレストランやバーが立ち並ぶ地区。六本木とかのイメージかなあ。金曜夜だったせいか街は人が多く華やかな印象。こんな中にあるちょっとおしゃれな小劇場。20時開演だからお仕事終わってから出かけても十分に間に合う。仕事終わって、劇場のバーで軽く飲んでからお芝居をみて、終演後は周囲のレストランでちょっとおそめのディナーなんて素晴らしい。ロンドンは演劇の都ですな。

さて開演して劇場内へ。アルメイダ・シアターは客席325席の小劇場。今回はほぼ正方形のステージを三方から囲む形の座席配置。ステージと座席は本当に近くて独特で親密な劇場空間を作り出してる。私は前から2列目に座ったのだけど、前方席はなぜかカップルシート。隣の同年輩の女性に「私たち二人とも痩せててよかったわ~」と言われて「いや~私はちょいデブだけどあなた細いから~(本当にスリムで羨ましかった)」などと言い合っていた。これちょっと恰幅のいい人同志だとかなりきついと思うよ。

観客は去年のリチャード三世(バービカンも)と同様に老若男女まんべんなく。カップルも多い。私くらいの年輩のお客さんも多いので違和感なく客席に溶け込めるのが嬉しいにゃあ。満席。

バッカイ(Bakkhai)はギリシャ悲劇。日本では「バッカスの信女たち」として知られる。

- ゼウスの子ディオニュソス(バッカス)に従う信女たち(バッカイ)。信者を増やすディオニュソスを疑い捉えようとするテーバイの王ペンテウス。ディオニュソスは信女となったペンテウスの母アガウエーを操りペンティウスを殺させ神の怒りを示すのであった -

というエウリピデスが紀元前400年頃に書いた神の怒りによる子殺しの悲劇。神の怒りと愚かな人間との乖離を描いた古代劇でありながら新興宗教と信者の熱狂は現代と通じる。事前に脚本を読んで面白いなあと思っていた。

冒頭あらわれて「我はディオニュソス、ゼウスの子なり」と話し出すディオニュソス。 シンプルなTシャツにジーンズ(神が人間の姿を模しているという記号的な) ウィショー君は細いけどよく筋肉の乗っているしなやかな姿。シャツをめくってちらりと見えたおなかにも筋肉がついていて役者さんてすげーと思ったよ。

バッカイを演じる女優さんたちは人種も年齢もまちまち。冒頭はショッピングバックレディの様にカートを引いたり旅行鞄を持つ現代のいで立ち。彼女たちはコロス(ギリシャ劇における合唱隊。物語の筋を詠唱で補う。歌舞伎の義太夫に似てるよね)も兼ねている。詠唱は時にはグレゴリオ聖歌、時にはケチャやホーミー、アフリカ民族音楽風となり心地よく(内容は恐ろしい)劇場に響き渡る。

バッカイ(コロス)。素晴らしい詠唱。

ディオニュソスやバッカイは登場時こそ現代衣裳だが、すぐに古代ギリシャ風の衣装に舞台上で着替える(時にバッカイは持っていたカートや鞄から衣裳を取り出して着始める)。ディオニュソスは山羊革(フォーンスキン)のワンピース風衣に杖。「神にはありがちな恰好なんだけど~」と着替える姿が可愛らしい。

現代→ギリシャ風装束と着替えるディオニュソスやバッカイと異なり、一貫して背広なのはディオニュソスを敵視するテーバイの王ペンテウス。演じるのはバーティ・カーヴェルさん。チケットとった後で気がついたけど、シャーロックS1E2に登場した銀行マンセバスチャンの人。オリヴィエ賞も受賞している手練れの舞台役者さんでいや素晴らしかった。弁舌も敏腕ビジネスマンのよう。

最初は自信満々に登場したペンテウスは、ディオニュソスにまみえ次第に彼に浸食されていく。このあたりのウィショー君の演技は素晴らしい。時にはにこやかに優しく、時には傲慢に朗々と、厭らしく魅力的にペンテウスを翻弄するのだ。そして時折見せる神としての無機質で無慈悲な顔の恐ろしいこと。

あ、ディオニュソスはロングヘアーなんだけど、いつも髪の毛をひと房、指でもてあそんでいた。あの仕草可愛らしくも色っぽかったけどなにか意味があるのかな?

信女たちのいやらしい饗宴を覗いてみたくはないかとペンテウスを誘うディオニュソス。彼を女装(シャネル風スーツ)させ、口紅を塗って送り出す。ここでいまや信女となったペンテウスの母アガウエーが登場する。ここで吃驚したのはこのアガウエーもまたペンテウス同様バーティさんが演じていたことだ。ひとりの役者が母と息子。殺すものと殺されるものを演じるのだ。これは非常に暗喩的である。

ペンテウスを翻弄するディオニュソスの笑み。怖い

ラスト、血まみれのトーガをひきずり、父カドモスに向かって引き裂いたわが子の首を見せる狂乱の女アガウエーはおかしくて哀れで恐ろしい。嘆くカドモスと正気にかえったアガウエー。灰にまみれた舞台でブルーシートにのせたペンテウスの死体を引きずるバッカイ。

彼らを高みから無慈悲に見下ろすディオニュソスはすでに人の姿ではなく。牛頭となっている(ディオニュソスの本来の姿は雄牛の角を持つ神) 人知の届かぬ獣の姿 - 即ちそれが神の怒りなのであった。

終わってみれば現代の風刺もそれほど強くなく、神の無慈悲さ、人の矮小さが印象に残る舞台であった。即ち本来のギリシャ悲劇のエッセンスを心地よく体験した感じ。

2時間足らずの非常にミニマルなプロダクション。セットも小道具も最小限で、力のある役者さんたちの身一つのプリミティブなパフォーマンスを観てとても満足しましたよ!ウィショー君の人知を超えた神も良かったけど、彼に翻弄されるペンテウスのバーディさんの演技は本当に説得力があった。素晴らしい役者さんたちの生の舞台を堪能しました!


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英国逍遥2015 - 久しぶりのANA(羽田からヒースローまで)

昨年のマーティン主演のリチャード三世に続いて、今年はベネさん主演のハムレットを観にロンドンに!今年はひとつ大きな問題がありました。それは四半世紀来ずっと使ってきたヴァージン・アトランティックの日本直行便が廃止されてしまったということなのだ~!

てなわけで今年からはANAのビジネスクラスにしましたよ!羽田からの出発で使いやすいし、機内食もなかなかおいしい。英国ドメスティックのVAと違ってヒースローの扱いは悪いだろうことは予想できたけどとりあえずチャレンジしてみましたよ。

ラウンジは前回シンガポールに行ったときに紹介した感じで。 複数の路線対応なのでひろびろとして綺麗。

ボーディング。座席はそこそこの広さだけど、広いサイドディスクが付いているのが嬉しい。モニタは17インチのタッチパネルでUSBや普通のコンセント充電もついている。

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ファーストクラスとの間のカーテンw 降りるときにちらっとみたらファーストクラスはビジネスクラスの座席をゆったりさせた感じ。ディスプレイも大きかった。

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エンターテインメントは充実。映画はAoU、Spy、マッドマックスを観ましたよ。Spy面白かった~。ジュード・ロウとジェイソン・ステイサムのずっこけスパイコメディ。ステイサムはコメディ演技もうまいなあ。

ANAのお食事はたぶん世界のエアラインでも屈指のおいしさ。どれも美味しかった~。

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あと面白かったのは、WiFiが使えること。衛星ネットワークを利用した無線LANサービス。最初の15分は無料。まずルーターに接続して、オンラインサインアップ。クレカでチャージして使う。19$で無制限(100Mの帯域制限あり)というのでやってみた。ときどき切れるしそんなに速くない(上下のベストエフォートは492kbps) 面白がってツイッターやLINEをやってたら1時間くらいで使い切ってしまった...こんな感じ。すごいよね~。

などといろいろ楽しく機内で時間をつぶしたり寝たりしているうちにあっという間にロンドン着。ヒースローはターミナル2(スターアライアンス専用ターミナル) 2012年に改築されたばかりで新しいけど、駐機がサテライト部分なので入国ゲートまでは10分ほど歩く(動く歩道+エスカレータ)のが難点かな。VAのアッパークラスとは違ってファストトラックが適用されなかったけどそんなに混んでなくてすぐに入国審査を受けられた。昨年は圧迫面接の様な審査官にあたってしまったけど今年は酷く簡単で拍子抜け。

「どこから?」日本
「五日間滞在?」そう
「なにするの?」芝居観る。あとプロムス・ラストナイト
「ロイヤル・アルバート・ホールで⁉︎」
いや、パーク、ハイドパークで
「そうかあ(ハンコぽん)」

こんな感じ。簡単だった~。空港で両替してタクシーでホテルまで。

今回のホテルはVancouver Studios。ハイドパークのすぐ北、ノッティング・ヒルにほど近い場所にあるリーズナブルな小ホテル。ロンドンでこんな格安のホテル(1泊シングルで97ポンド)に泊まったことはなかったんだけど、予約の時の対応もよかったし、なにより評判が良い。

フロントは24時間空いていて良い感じ。お部屋はシングルで狭いけど、キッチンには湯沸かし、シンク、大きめの冷蔵庫、IH調理器、電子レンジ、カトラリー一式揃っていて不自由は無い。トイレとシャワーブースもあって完ぺき。無料Wifiも完備といたれりつくせり。ただシングルルームは3階(英国で4階)、階段なので上りはちょっとつらい。

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荷ときをして早速出かける。20時からアルメイダ・シアターでベン・ウィショー君主演のギリシャ悲劇「バッカイ」を観るのだ!

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