« 英国逍遥2014 -2日目: Proms! | トップページ | 英国逍遥2014 -4日目:Richard! Richard! »

英国逍遥2014 -3日目: Martin! Martin!

英国生活情報など。

交通:ロンドンの移動手段は徒歩か地下鉄。昨年は一日地下鉄乗り放題の1-dayチケットを駆使したけど、今回、当初はもう少し長く滞在するつもりだったし、来年も渡英予定があるのでビジター・オイスターカードを20£チャージして英国政府観光庁のサイトで買っておいた。ゾーン1内なら1日Max8.4£で乗り放題。残高が8£以下になると自動改札通らないので注意。3日目に5£チャージした。カードか現金。現金はお札が使えません。使い方はSUICAと同じでカードいれたお財布を改札にタッチするだけ。バスも同様。本当に便利です。

電話:昨年同様ソフトバンクの海外パケット放題。1日Max2,980円で日本と同様にLINEもツイッターもメールも使えます。空港に着いたら現地提携キャリア(O2かVodafone)に接続するだけ。割高って話もあるけど、私は利便性をとりました。ただし東京と違って地下鉄内はつながらないので要注意。また東京ほどつながりやすくは無く、圏外の場所も多かった。ホテルもそうだったんだけど、ホテル内のFree Wifiが使えたので問題なかった。

スーパー:トラファルガースクエアのホテルの近くには24時間営業のTESCO METROとCo-Operative Foodがあったので大変に重宝した。特にCo-Operative FoodはTESCOとM&Sの中間くらいでお値段も食品の質もお手頃。ただしお酒は夜10時すぎると買えなくなってしまうので注意w

昨日は雨が降って肌寒かったけど、今日はすっかり晴れてピーカン。晴れれば汗ばむほどの暑さのロンドン。

158

SHERLOCKのオープニングでおなじみピカデリー・サーカスへ。

159

ここで待ち合わせして、行けなくなってしまったマチネのチケットをtwitter経由でご縁のあった現地在住の日本の方にお譲りする。今回当初の予定より1日旅程を短縮したため、あやうくチケットを無駄にするところであった。日本人形のように華奢で美しいお嬢さんが現れたのに吃驚しつつ無事にチケットをお渡しできてほっとする。

そうそう、Trafalgar StudiosのBox Officeは10時オープン。Webでの予約番号と決済に使ったクレジットカードを提示すればすぐにチケットに替えてくれた。

その後はリージェントストリートを歩いてオックスフォード・サーカスへ。私の聖地Libertyへ。夢のファブリック天国。

164_2

168

ここで新作のタナローンを買う。新作はあらかじめLibertyのサイトで調べておいたのだ。

今年はこれ、Wild Flowers B 。野の花が美しい。メーター22£。いまやサイトで通販できるんだけど配送料が高いからねえ。

Aw14libe1041000b

そこから地下鉄でロンドン・ブリッジ駅へ、ここからロンドン橋をわたって、テムズパス(テムズ河畔に設けられた遊歩道。河口からアッパーテムズまで続いている)をぶらぶら歩く。ちょうどお昼時で、ビジネスパーソンの人たちが河畔のベンチでお昼を食べている。日本風のお弁当やお寿司をお箸で食べている人も結構いるんだよ(こちらはお弁当屋さんが普通にあります)

171

ウォーキートーキー(ハンドマイクの意)。本当の名前は20 Fenchurch Street.

172

ロンドン橋からタワーブリッジを望む

174

シャード

176

テートモダンとグローブ座、ミレニアムブリッジも

178

ミレニアムブリッジから聖ポール大聖堂をのぞむ

そしてグローブ座へ。ここのシアターショップはシェイクスピアの演目別にお土産があるのでリチャード三世のTシャツ買おうと思ったんだけど、独立した演目はハムレット・マクベス・ロミジュリ・真夏の夜の夢・お気に召すまましかなかったよママン..orz

181

ハムレット

182

ハムレットのスカル50ポンド

183

マクベス。血まみれ。

がっかりしながらグローブ座を去りました(うそうそw

179

さて夜はいよいよ今回の渡英のメインイベント!マーティン主演ジェイミー・ロイド演出の芝居リチャード三世だ。8月半ばにマーティンが体調を崩して(腰を痛めたとのこと)休演(代演)が続いてたいそう心配した。何せ3か月の長丁場。その後マーティンの負担を減らすような演出に変更されたとのことだが、実際舞台ってナマモノなので、本当にそのキャストで見られるかは日本でだってわからない、ましてや渡英までして見る舞台は本当に賭けなのだ。複数回押さえておいたのもそのためだった。

とまれ、休演のお知らせも無く19時過ぎにホテルから徒歩1分のTrafalgar Studiosに赴いた。開演は19:30。開場はだいたい19:20くらい。ま、小さい劇場だからね。ここに限らずにウエストエンドの劇場はまさに芝居小屋の趣。座席は急傾斜で席のサイズ・間隔も決して広くは無い(のは何回か英国の劇場で芝居を見ているから知っている)。私の席は前から4列目の舞台下手。目の前にセットの一部である机が置かれている。左隣の女性はかなり大きくて私の席の1/3くらいまではみ出してしまいかなり恐縮されていた。

人気のマーティンの舞台だからファンガールが多いのかなあと思ったら、前夜のロイヤル・アルバート・ホールのコンサートで見たような年配のお客さんも多く、英国の演劇観客層の幅広さを感じた。

芝居の感想は以下羅列。ネタバレには躊躇しないのでご容赦ください。


・セットは1970年 冷戦時代の政府機関のオフィス風。TTSS等を参考にしたとパンフレットには書かれていた。床は市松模様のリノリウム。椅子が布張りで、前の公演の血糊の跡が見えてしまうのがちょっと興ざめで、ビニール張りにした方が良いのではと思った。

・1列目の座席と舞台に段差は無く、またステージ上にも席がある。このあたりの席はセットの一部的な扱い(で、臨場感抜群)。下手には扉、両側にはエレベーター、上手にはトイレw、舞台奥にカーテン(外に続いている)、役者の出入りはこれらを効果的に使っている。エレベータの扱いは面白かった。

・開場後から舞台上手の長椅子に横たわるマーガレット妃。彼女の頭上には歴代のイングランド王の肖像画。王が代替わりするとかけかわる趣向。下手側の席やステージ席からはほぼ死角で見えないためあまり功を奏してるとは思わなかったが、分かりやすいと言えば分りやすい。

・セットの両側にはブラウン管テレビ。舞台となった1970年当時の英国や世界の軍事映像が映し出される。時には演説や舞台映像も。この演出はいのうえひでのり演出のリチャード三世(2009年/主演古田新太)とほぼ同じで興味深かった。

・冒頭、照明を落とした舞台。奥から役者たちが入場して席に着く。突然、巨大な音。雑音混じりのGod Save The Queenに驚かされる。照明の戻った舞台ではカーキ色の軍服のグロースター公リチャードが有線のハンドマイクを片手に持ち演説を始める。そう、リチャード三世冒頭の名シーン。彼の鬱屈と悪だくみの独白を、ロイド演出では演説(と独白)に代えているのだ。演説を行う彼がマイクから口を話すと彼にピンスポがあたり舞台は暗転、独白がはじまるという趣向。

・リチャードは背中に瘤、右手右足が不自由(とくに右手はほぼ垂れ下がったまま)、しかし髪と豊かな髭は撫でつけられ服装(軍服、背広、礼服)は乱れなく洒落者の小男といった風体。不自由な姿勢でアクションまでこなすのでまあ腰も痛めるわなと思いましたよ(涙

・演出は非常にスピーディ、冒頭の演説からクラレンス公の投獄、アン妃のくどきまでを一気にみせる。アンのくどきの場は個人的に期待していたのだが、期待に反して色気なし(すまん。 時に愛らしさを感じさせるほど滑稽で真剣なくどきでしたよ。アンに差し出す指輪は当初リチャード右手の小指にはめていたことを二度目の観劇で気がつきました。

・ヨーク派とランカスター派の口論からマーガレット妃の呪詛の場面。照明は暗くなり火花が散るおどろおどろしい呪いの場だ。ここでマーガレット妃が使うのも有線マイク。そう、冒頭、リチャードが演説の際に用いた有線マイクだ。このマイクは折あるごとにその場をリードする人たちが手に持ち、コードをさばきながら使う。私は最初はこれは王権の象徴なのかと思っていたが、むしろこの場面で妄執の象徴なのではないかと考え直した。マイクにまとわりつくコードがちょっとそんな感じで。

・ところでクラレンス公暗殺の場の水槽は唐突だなあと思ったし、生きている金魚もなんだかなあと思ってたら問題になってたのでありました。うーむ、動物虐待って言うにはアレなんだけど一にも二にも「これ必要か?」の疑問を毎回抱いていたので。ま、暗殺後、舞台が転換してオフィスの場面に戻った際にさりげなく濡れた床をモップで掃除している(ティレルだっけ?)のには笑いましたけどね。

・ロイド版のリチャード三世は、脚本を大胆に削り、再構成してずいぶんとすっきりとした話にしている。これは登場人物にも言える。原作に登場するこまごました人物をばっさりと切っているのだ、原作で要人暗殺を請け負う2人の刺客の役割(時に話の狂言回しにもなる)を王側近の騎士、ケイツビーとティレルに割り振っているのも印象的。

・そうそう、この戯曲には子役が登場する。エドワード皇太子と若きヨーク公。暗殺されてロンドン塔に葬られる悲劇のプリンス達だ。ロンドン塔には今なおこの二人のプリンスの幽霊がでるって有名だね。決して出番は多くないのだけど印象的だ。達観したエドワードと無邪気ながら寸鉄人を刺すヨーク公と彼らの運命を操るリチャードとのやりとりは喜劇めいていっそ恐ろしい。二人の王子役の子役さんはめちゃくちゃうまいよ。終演後楽屋口で待っていた私たちの前を手を振りながら帰って行った。かわいいにゃああ。

・さて、前半最後は姦計をめぐらせたリチャードがとうとう王座を手にする。バッキンガム公の説得にしらじらしくも躊躇し謙遜し辞退する場面はマーティンの真骨頂。表の顔は真摯で謙虚。しかし裏の顔は冷酷で残虐。この2面性をとても分かりやすく提示する。分かりやす過ぎてなんだかなあとも思ったけどマーティン面白いからまあいいや。

・ここで幕間。幕間は15分。当然トイレは大行列なので、入り口で係の人に断ってホテルの部屋に戻る。いやあ歩いて一分のところに宿をとってよかったなあと。席に戻ると前の席の人たちが劇場で配られた黒いTシャツをきている。血しぶきよけのためだね。前から3列は配布されていた。私は4列目下手側だったので配られず。隣の席の男性と「かかりませんかねえ」「まあ大丈夫だと思うよ」なとと会話。

・後半。王となったリチャードは派手な礼服で。小柄なマーティンが着ると礼服に「着られてる」感があって面白い。結局身の丈にあわないことやってるんだよね。前にも書いたけどリチャード三世って「人望ない男が姦計めぐらせて王座につくけど人望ないからやっぱこの人だめだわ~ってことになってあがくけど結局殺されちゃう」話だからねえ。そういう意味では重厚長大にやるよりもコンパクトにせかせかとやるこのプロダクションはリチャード三世という戯曲の本質をいちばん伝えてるのかもなあと思ったり。

・溺死されるクラレンス公、ロンドン塔で暗殺される王子達、拷問の果てに殺されるリヴァース伯、謀反の罪でひきたてられ処刑されるヘイスティングズ卿 舞台はリチャードの企む死でいっぱいだ - しかし彼が唯一手を下すのが妻であるアン王妃。生々しくもリチャードがその小さな体で格闘の果てにアンを電話のコードで絞め殺す。このシーンはマーティンが腰を痛めた後、だいぶ短くなったと聞いていたが、それでも格闘は長く感じられた。机の上で絶命した王妃を荒い息で一瞥して「ま、ご苦労さん」とばかりに腰のあたりをぽんぽんと叩くシーンは観客の笑いを誘っていたし、私も良いシーンだと思った。その際にアンのブラウスをちょちょいと直してあげるのはマーティンのアドリブかな?(一回目はまくれたブラウスを直して、二回目はちょっとひっぱって整えてあげてた)

・遂にリッチモンド公がリチャードに反旗を翻す。戦況をランチを食べながら聞くリチャードは、その後机の上に兵隊の人形を並べていた。これも手元でちまちまとやってるのでさほど効果を得られていないのが残念。ここはいっそ戦略ゲームの趣でやれば面白かったかもしれない。

またさほどひろくないセットのをライトで左リチャード側、右リッチモンド側と区切って見せているのは悪い演出ではなかった。リチャード側は陰鬱に、リッチモンド側は朗々と。

・ボスワースの戦い前夜。いままで殺した王族たちがリチャードのもとに悪夢となって訪れる。王子達が死んだ馬のマスクをかぶっていたのは面白いけどありきたりという感じもした。このシーンのリチャードの独白はマーティンの独壇場。「What do I fear? Myself? There's none else by: Richard loves Richard, that is, I and I....(何を恐れている?俺自身?他に誰がいるっていうんだ。リチャードはリチャードを愛してる。そうさ。俺は俺だ!)」のくだりはどこかで言われていたようにまるでホビットのゴラムの独白のように滑稽で愚かで可笑しくて哀れで - 愛らしい。

・そしてラストは秀逸。ボスワースの戦いに敗れ、銃を構えたリッチモンドを目の前にして、リチャードは首をかしげながら「A Horse...? 」と呟くのだ。勿論ここはリチャード三世の決め台詞。「A horse, a horse, my kingdom for a horse(誰ぞ馬をひけい!馬を持ってきたなら俺の王国をくれてやるぞ!)」のシーン。まあ敗北を悟ったリチャードのヤケの咆哮なんですけどね。

それを途方に暮れたように「...馬?」と呟くリチャード。しかし次の瞬間には劇場にとどろかんばかりの声で「A horse, my kingdom for a horse」と叫んで撃ち殺されるんだけどね。非常にマーティンのリチャードらしくて良かった。

・さてこのセット、舞台下手側を一段高くしてそれを通信室としていた。リチャードが側近たちとリッチモンド蜂起の報を傍受したりね。そして最後、リチャードを倒したリッチモンドはそこでテレビカメラに向かって勝利の宣言を行うのだ。乱れた髪や軍服を直し、笑顔で平和を語りかける姿は近年私たちが世界の各所で見かけた革命成功の姿にも似て(そしてその平和はすぐに潰えるのだ)

終演、カーテンコールは2回でスタオベはなかったな(ファンガールらしき人が数人立っていたが)。良い芝居とは思うし惜しみない拍手は送るけど決して傑出した芝居ではなかった。理由はおいおいと。

とはいえ間近でみるマーティンの芝居は本当に素晴らしかった。台詞は明快。時には静かに時にはタメをきかせて轟くように緩急自在で一分の隙もない所作。高いスキルとそれを自在に操って劇場空間を支配するまさに主役の器といえましょう。これからも舞台でスクリーンでマーティンの芝居を見続けたいと心から思ったよ。

さて終演後は楽屋口へ。私が行ったときにはすでに沢山の人が待っていて、楽屋口の左側はもういっぱいだったので、右側に回った。右のいちばん楽屋口に近いところで待っていると20分ほどしてマーティンがでてきた!どうやらサインは無い模様で用意されたレンジローバーに乗り込む前に、なんと私のすぐ目の前で立ち止まり、周囲を見渡して「今日はサインできないんだごめんね」とかるく会釈したのでありました!白のハンチングにチェックのシャツを着てらした(あわててとった写真は大失敗してました。しょぼん)

すぐに車にのりこんじゃったんだけど、舞台の力強い声とはうってかわった優しい声で「Sorry」と!そして目の前にきたマーティンの小さくかわいらしいこと!私はヒール付きのサンダルをはいていたのだけど、やや小さく感じました~。推定167cmくらい?こんなに小さくて華奢なのに!あんな大きなお芝居を!まさにグレートアクター!もうめろめろっす。

ほわほわしながらしやわせな気持ちでホテルに戻りました~!ロンドンに来て本当によかった~!


|

« 英国逍遥2014 -2日目: Proms! | トップページ | 英国逍遥2014 -4日目:Richard! Richard! »

「英国」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/33364/60314877

この記事へのトラックバック一覧です: 英国逍遥2014 -3日目: Martin! Martin!:

« 英国逍遥2014 -2日目: Proms! | トップページ | 英国逍遥2014 -4日目:Richard! Richard! »