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SHERLOCK:S3E2 「三の兆候」感想

いやあSHERLOCK S3おんもしろいねえ。2年余待ったかいがあるというもの。もちろん待ち切れずに1月に英国版DVD手に入れて観ちゃったけど英語の壁は厚かった。S3E1は英語字幕の力を借りてなんとかついていけたけど、このS3E2は何しろシャーロックの台詞の量がハンパじゃなくてあえなく挫折。NHKの吹替は本当にありがたいです。森川ジョン男前だし!

さてS3E2はジョンとメアリーの結婚式をシャーロックがベストマンとして仕切って成功させようとする話。あ・の・ソシオパスのシャーロックが!ライヘンバッハの別れでジョンに悲しくつらい思いをさせて、しかも人を喰った帰還でふりまわしたそのお詫びとばかり力いっぱい奔走する微笑ましい祝典回だよ!しかも全編シャーロックのスピーチというすげえ斬新な構成(なんと脚本は3人がかりで書いたらしい)。 冒険あり推理あり胸キュンの友情シーンあり萌えありかっこいいジョンありのなんとも素敵なエピソードてんこもりで大好きです!特に聖典「四つの署名」の引用ラストが見事でねえ。おまけにS3E3の不穏な序曲まで全部入って齟齬がない!ほぼ完ぺき!

てなわけで感想です。英語版での感想ベースに吹替え版での補正をかけております。

ネタバレはここから下に記載いたします。原語版でS3E3まで視聴しておりますので、そこを踏まえた感想になっていることをご容赦ください

NHK SHERLOCK S3 公式サイト

公式サイト: BBC One 「The Sign Of Three」 SHERLOCK / Series 3 Episode 1 of 2

さて、ジョンのブログ。おお結婚式の出来事をつづったエントリーだね?と思ったらちょっと様子がおかしいよ?

The Sign of Three

(意訳)
わあ、素晴らしい結婚式だった!シャーロックは素晴らしかった! - 中略 - 僕はこれからボードゲームをしたり、イーストエンダーズを観ながらお茶を飲んだりする平凡でありふれたことばかりブログに書くよ!
.....

ごめん!もうこれ以上書けないや。ジョンのスタイルを真似してみたんだけど。無理だあああっ!そう、僕シャーロック・ホームズ。セックス・ホリデイ..いやいやハネムーンに出かけてるジョンの代わりにこのブログを書いてるよ。

なんとジョンとメアリーの結婚式も無事に終わり、二人をハネムーンに送り出した後にシャーロックがジョンのブログをハックして書いたというエントリーでしたよ。てかシャーロックハネムーンのことをセックス・ホリデイ.って書くのはやめなさい。中学生男子じゃないんだから(真顔)

ところでこのブログにはシャーロックの作ったウェディング・フォトアルバムがついてます。結婚式中に彼が解決した殺人未遂事件の写真が載せられなかったのを残念がってるよwww 「次のジョンの結婚式では必ず!」の誓いにコメント欄で「次はないからっ、でか僕のブログのっとるなあああ」と怒ってる本物ジョンがかわいいね。

でもこのフォトアルバムは微妙にジョンとシャーロックのツーショットが多いです。スポイラーが出た時、みんなで新郎とベストマンはおそろいの燕尾服だし二人の結婚式みたいだね!と言ってたのがモノホンに…公式マジ怖い!


・さて今回のアバン。レストレート警部と懐かしやドノヴァン巡査部長(祝再登場!私彼女が大好き!)。彼らは神出鬼没の銀行強盗ウォーターズ一味を追いかけている。もう何度も出し抜かれて悔しがるレストレード。しかしいよいよ彼らも年貢の納め時。彼らを出し抜いておびき出しさあ捕まえるぞと張り込むレストレードにシャーロックからのヘルプのテキストメッセージ!止めるドノヴァンを振り切って、パトカー&ヘリコを従えて221Bに駆け込むと、そこには -

「わああん、スピーチ原稿考えるのってむずかしいい!ねえレストレード、なにかジョンのおもしろエピソードがあったら教えて~」

なんと生涯はじめてのベストマンスピーチに苦しむシャーロックの姿があったのでした!

・てなわけでE1に加えてE2も安定のコント落ち。壮大にはじまってベタに落とすのが英国コントの伝統だね!モンティ・パイソンかよ!

・閑話旧題、今回は、英国の結婚式事情がよくわかって面白いね。私は、英国のマナーハウスホテルに泊まるのが好きなんだけど、週末にはたいてい結婚式が開かれている。ジョンとメアリーの結婚式もそんな感じ。招待客のショルトー少佐もホテルに泊まってたでしょう?ひろびろとしたメインダイニングを会場にして。お庭でセレブレーション。花嫁花婿の親友がブライスメイズとベストマンを務める(この二人がいい仲になるのが慣例...というのは知らなかった~ww)、指輪の交換で持ってくる子供がリングボーイ(ガールもいる)。ベストマンが式の司会進行とスピーチを司り、祝電も読み上げる。祝電は思いっきり読み上げにくい恥ずかしい感じにww。夜は生バンドも入ってダンスパーティ。最初に踊るのは花嫁花婿、そしてブライスメイズとベストマン。招待客は数十人から多くても100人くらいかな。夏の夜。ランタンを灯したお庭でダンスパーティしている結婚式もあった。アットホームでいい感じなのよ英国の結婚式!

・さて今回の構成。大枠はジョンとメアリーの結婚式。そこに至る流れはシャーロックのベストマンスピーチの中で回想として語られる。

- シャーロックがジョンの結婚式の準備に奔走(脅迫とか懐柔とか嫉妬とかいろいろww)
- いくつかの未解決な事件を振り返りながらスピーチの中で推理。(マインドパレスにはいるなww)
- 素敵なジョンとシャーロックの二人きりのスタグナイト(いわゆるバチュラーパーティ)
- クライマックスの謎解きは結婚式内で!
- ラストは華やかなダンスパーティ

・シャーロックはスピーチの中でジョンにまつわる思い出話として未解決の事件を語る。シャーロックらしいね。そしてその未解決の事件が結婚式での殺人につながっていると推理する。シャーロックは、ジョンは、その殺人を阻止できるのか!そして結婚式で垣間見られるメアリーの振る舞いがE3への伏線となる

・あとメアリの親友でブライスメイド(花嫁付添人)のジャニーンが良いキャラ!さばさばした気のいい娘さんでシャーロックの超絶推理に物おじすることなく興味しんしんでアプローチ。シャーロックも「君、事件は好き?」とまんざらでもない様子。本当にくっついちゃえよ~と思ったんだけどにゃあ(希望は捨ててないよ!)

・スピーチの前にシャーロックはお屋敷でエクササイズ中のマイクロフト(細いよゲイティス兄!)に電話する。ジョンの結婚式への出席を促すためだ。それを断り、ジョンの結婚を「ひとつの時代の終わり」と断じるマイクロフト。対してシャーロックは「新章のはじまり」と言い返す。マイクロフトはS3E1で自分たち兄弟が他の(平凡な)人間とは違うと言った。そしてS3E2では「人間は結婚するものだ(しかし自分たち兄弟はしない)」という。平凡な人間と見なすジョンを無二の親友とし、彼に思い入れる弟を心配しているのだ。それは彼が子供時代に愛情を注いだ「赤ひげ」の顛末を知っているからかもしれない。その顛末はS3E3で語られる。

・政府の要職についたマイクロフトはその傑出した才能を英国のために使う。彼の眼にはあらゆる人間が金魚の群れのように映る。金魚とは交わることができない。孤高なのだ。しかし彼と同等の才を持つ弟は、平凡な人間のひとりであるジョンに生涯の友情を捧げ - それが弱みとなる。

・マイクロフトとシャーロックはS3E1の推理ゲームでもわかるようにほぼ同じくらいの天才である。マイクロフトがシャーロックより優れているとしたら社会性を持っているところだ。それはひょっとしたらいつまでも子供のような無垢な心を持つ弟シャーロック(ソシオパスを標ぼうすることはその無垢な心を守るための鎧だ)を守るために培われたものかもしれないと思った。

・さてモリーやレストレードが心配しているように、ソシオパスのシャーロックがベストマンスピーチなんてできるのか!でもシャーロックはがんばってスピーチするよ。まずはジョンがシャーロックに221Bを訪ね、ベストマンスピーチを頼んだところから。この会話は昨年のコミコンのシャーロックセッションで流されて会場が大騒ぎになったやつだね。

・ジョンはシャーロックに言う。世界で一番大事で大切なのはメアリーと君だと。それを聞いた時のシャーロックの喜びと驚愕が語られるのだ。実際のシャーロックはフリーズしてるけど(かわいいね)

・S2E3でシャーロックは大切な友人ジョンを護るために身を投げた。でもその大切な友人も同じように自分を思い、自身を失うことで深く悲しむなんて思ってもみなかっただろう。彼ははじめてジョンの気持ちを知るのだ。

・シャーロックは自分を愚かな人間と知っている。その愚かさ込みでジョンという勇敢で聡明な人間が自分を親友と定義づけてくれた。それは彼にとって生涯でただひとつ得た宝に違いない。前述の通りマイクロフトはジョンに肩入れする弟を心配しているけれど、その宝こそがシャーロックが人間社会に生かし、善きことをなす動機となっているのだ。

・シャーロックはスピーチの中で、ライヘンバッハの別れについて再度謝り、そして誓う。「メアリーも僕を君を絶対に失望させない。僕たちはこれから生涯をかけてそれを証明していく」とね。

・これはシャーロックの真実だ。ゆえに会場は感動に包まれ、ジョンはシャーロックを固く抱きしめる。何か僕失敗した?ときょとんとするシャーロックがコドモでかわいいよ!

・回想シーン続く、シャーロックはジョンの結婚式のために本当に一生懸命になる。殺到する事件の依頼も断って。それはジョンの結婚で二人の関係が変わってしまうという彼の不安の裏返し。それを鋭く見抜いたメアリーは、「今までと変わらないってことを彼にわからせてあげて」とジョンにシャーロックを事件の捜査に連れ出すようけしかける。嬉々として捜査にでかけるシャーロックとジョンを嬉しそうに送り出すメアリーは本当に素晴らしい女性だ!

・事件の捜査にでかけた二人の行先はバッキンガム宮殿。依頼人は王室近衛兵ベインブリッジ。彼は何者かにストーカーされているらしい。近衛兵の帽子をかぶって兵舎に忍び込むお茶目シャーロック。ジョンも別行動で依頼人の上官を調査していた。そこへとびこんでくる依頼人がシャワールームで自殺したとの報告。シャーロックとジョンがかけつけるとそこには彼の刺殺死体が! ... しかしジョンが検死しようと脈をとるとまだ彼は生きていた!間一髪彼は助かったのだ。ここでのポイントはベインブリッジが生きているとわかったときのシャーロックとジョンの態度。シャーロックは何をすれば良いか判断できない。ジョンは彼を救うために周囲に的確な指示を出し自身は救命治療を施す。探偵と医者。どちらも極めて有能。彼らは対等なのだ。毅然とした軍医モードに切り替わるマーティンの演技が見事だよ。

・この事件の詳細はブログThe Bloody Guardsmanに記載されている。つまり近衛兵の彼にまとわりつくストーカーとみせかけて、犯人はベルトの上から彼を刺したのだ。しかし凶器は見つからない、どのようにして刺されたのだろうか。
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・事件は未解決のままジョンとシャーロックのスタグナイトへ。スタグナイトとはとは米国で言うところのバチュラー・パーティ。独身最後の夜を親友と馬鹿騒ぎして過ごすというもの。シャーロックはジョンのために素敵なスタグナイトのプランをたてるんだけど、そこはほらソシオパスなんで.....酔っ払ったジョンとシャーロックが最高にかわいいよ!ここは全シリーズ通して2番目の萌シーン、一番はS2E3の手錠逃避行シーンね(腐)

・酔っぱらい絶好調の彼らの前に依頼人が現れる。妙齢の女性。看護婦。ふらふらになりながらも捜査に乗り出す二人(スラップスティックコント状態)。依頼内容はブログ、Mayfly-man参照)。Mayflyとはカゲロウ。デートをした相手がカゲロウのように消えてしまった。実はそんなケースがネット上に散見されることをシャーロックはつきとめる。カゲロウ男の正体はなんなのだろう - 酔っぱらったシャーロックの視界や推理(人物上にあらわれる文字)がぼけぼけなのがおかしいにゃ!

・あ、スタグナイトの翌朝、ジョンが飲んでた二日酔いの薬を若い人たちがポリデント?と言っていたのに世代差を感じて愕然とした。若い人にはアルカセルツァーって通じないのか。昔の米英ドラマで良く登場したので40~50代の人たちは知ってると思うにゃよ。

・カゲロウ男の正体を突き止めるためにシャーロックはマインドパレス内のコート(かな?大学の階段教室にも見える)に被害にあった女性を集める。これはリアルタイムに現実とリンクしており、実際のシャーロックは複数台のPCのチャットルームで女性と会話してる(これはちと疑問。パソコン一台でも複数チャットは展開できるし、仮想OSだって複数立てられるからね。MACアドレスがユニークである必要が?)。ここで面白いのはマインドパレスにダイレクトにジョンがアクセスしているということ。他の人間はおそらくアバターという形でシャーロックのマインドパレス内に存在しているのだろうが、ジョンだけが生身でアクセスしているのだ。また、マイクロフトが裁定者という形で彼のマインドパレスに君臨していることも興味深い。こちらも推測だが、子供の頃のシャーロックはマイクロフトにこのような形で思考プロセス形成の手ほどきを受けたのではないか。

・スピーチをしながらシャーロックはカゲロウ男の正体に思い至る。そしてそれはベインブリッジの殺人未遂とつながっていることも。ターゲットはジョンの軍隊時代の上司のショルトー少佐。レストレードに逮捕の準備をさせ、ジョンに「バチカンのカメオ(戦闘開始)」を告げる。このあたりのいきなりコンビ発動は素晴らしい。メアリも追っかけて行くのが頼もしい。

・このショルトー少佐(メアリーも犯人のジョナサン・スモールも聖典「四つの署名」の登場人物だ)はジョンの軍隊時代の上司でたいそうジョンが慕っているという設定。それにシャーロックが嫉妬しているのを見てメアリーが「Oh, Sherlock! Neither of us were the first.(シャーロック、私たちどっちも彼のはじめてじゃあないのよ)」という。この大人な台詞が大好きだったんだけど、翻訳じゃ「過去に嫉妬しないの」となっているのがちょっと残念かなあ。

・そして見事に事件は解決。シャーロックがジャニーンにダンスを教えてる。実はシャーロックはダンスが大好きとピルエットを華麗に決めるのがよいにゃあああ。

・ラスト。シャーロックがこの日のために作曲した祝典曲で華麗にダンスを踊るジョンとメアリー。ダンスパーティのはじまりだ!シャーロックは出席者に本日のスピーチで列席者を驚かせたお詫びと、ジョンとメアリーに生涯最初で最後の誓いを告げる - この先何が起ころうとどんな犠牲を払おうと彼らを生涯守り抜くと。それはE3で実践される。

・最後に明かされるのは「The Sign of Three(三人の兆候)」なんとメアリーは妊娠していたのだ。結婚式の彼女のふるまいでシャーロックはそれを見抜く。うろたえるジョンとメアリーに「僕の世話で練習を詰んでる。君たちは世界一の親になれるよ」と励ますシャーロック。コドモだという自覚はあるんだなあ。

・踊りだす二人を後にひとりコートの襟をたてて会場を後にするシャーロック。これは聖典「四つの署名」のメアリ・モースタンを得たワトソンに対して何も得ることのなかったシャーロックがコカインの瓶に手を伸ばす物悲しいラストのオマージュなんだろうなあ。孤高の探偵の余韻が素晴らしい。


S3E2は前に予想した通り、結婚狂想曲といった趣、しかも軽快でスピーディ。ドラマ内にちりばめられた事件が最終的に収束していく脚本の手腕は見事だ。シャーロックはかつてないほどに親友思いで、ジョンは男気があって、メアリーは - メアリーは本当に素晴らしい女性だ。ジョンよりもシャーロックを深く理解し、まるで母親のように彼らを思いやり、時には一緒に冒険することも辞さない - 本当に素晴らしい。でも -

不穏な空気は流れている。あの恐喝王の顔が見え隠れしているのだ。ひとつは結婚式の祝電に、そしてもうひとつはメアリーの振る舞い(Sign)に -

いよいよS3ファイナル「最後の誓い」。恐喝王との対決はシャーロックとジョンになにをもたらすのか。「最後の誓い」とはシャーロックがジョンとメアリーに誓った「何があっても君たちを護る」こと。それは現実になる。S2E3の最後でシャーロックはジョンを護るためにその身を捧げた。今回ジョンとメアリー、そして彼らの子供をまもるため何を捧げるのだろう。

これもまた凄い内容で!早く見たいけど見るとS3が終わっちゃうのでジレンマ!

1月の英国放映当時のツイッター等をまとめたエントリー(一部本エントリーとダブっております)

BBCドラマ「SHERLOCK」感想および情報目次  

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