シティボーイズミックスPRESENTS『西瓜割の棒、あなたたちの春に、桜の下ではじめる準備を』感想
年に一度のお楽しみのシティボーイズだけど、前回「動かない蟻」は2011年9月だったから1年半開いちゃったんだな。いずれにせよ今年も恙無く開催されたのはめでたいことだ。みんなお年寄りだからね!観客もね!
ところで今回の公演の詳細が発表されたとき、みな吃驚した。だって脚本と演出が宮沢章夫だったから!ここ10年くらいのシティボーイズは若手の脚本・演出でやっていたので、いきなり!しかも宮沢さん!
宮沢さんとシティボーイズといえばラジカル・ガジベリビンバ・システム!今日のシティボーイズMIXによるコントの基となった伝説のユニットだ。概要はwikiで(手抜き)。ともかくシティボーイズにスネークマンショー、中村有志、いとうせいこうその他もろもろの同時のサブカル芸人・文化人などとんがった人たちが参加してた(でも結構ぐだぐだなww)ユニット。バブル&サブカル全盛の頃は、民放の深夜テレビも前衛的なコント番組を流していて、そこでも活躍していたねえ。その頃関西では新感線と関西小演劇番組を…これもぶっとんでたよ!
そんな宮沢さんが25年近くぶりに参加というので、ファンはみな「あの往年のラジカル・ガジベリビンバ・システムが!」と期待した。私もちょっぴり期待して見に行ったら、わりといつもの還暦を越えたおじさまたちのゆる~いコントでしたよ。ただちょっと私の見始めた頃の三木聡演出の雰囲気があったかな。このあたりがシティボーイズの根幹なんだなあ。で私はそのゆるくてぐだぐだなシティボーイズが好きなんだなあと思いましたよ。
以下コント覚えてる限り!ネタバレなんで観劇予定の人はスルーしてね!
■冒頭、キャリーケースをひっぱるシティボーイズ+いとうせいこう、中村ゆうじ。門が閉じる前に行かなくちゃと焦る大竹まこと。突然みなを呼びとめる斉木しげる。「俺カツラなんだよ」 よくできたかつらに皆感心する。次に中村有志が「俺、義足なんだよ」 以下いとう義眼、きたろう人工心臓とみな自慢する。あせる大竹。ふと足をとめる「あ、風邪薬を飲まなくちゃ」 舞台暗転、時間戻る。
■正方形のカウンター。中心にマスターっぽい大竹。わけありの男と女がアパートを捜しに来る。不動産屋だったのか!そこへ負傷兵の中村有志。「医者を…」 医者をさがす大竹。 わけありの男と女(女は笠木)が飲みに来る。ガス管をくわえる。駐車違反(車じゃない)をとりしまる斉木ときたろう。抹茶フラペチーノとキャラメルマキアートのトールを頼む - 空から大きなキャラメルマキアートが降ってくる。スタバの女神の恰好をした笠木が小さなキャラメルマキアートを撒きながら舞台を横切っていく。
■西瓜割の西瓜を捜す斉木。目隠し。棒。「今は春ですから西瓜はありませんよ」 何か踏んだ。「安い肉ですよ」
■ハローワークの待合室。さまざまな人々。山賊の恰好をした斉木。ソニーに勤めたい(家の前にあるから)中村有志。職のみつからない中村を勧誘する怪しい恰好の戌井。北の土木工事現場。「福島ですね!」
■このあたりで中村有志が舞台にでずっぱりなことがわかる。彼は袖にひっこめず(ひっこもうとするが次のコントの出演者に押しとどめられる)、舞台の上で着替え、舞台の上で休んでいる。「中村有志舞台でっぱなし」が今回の隠れテーマなのだww
■「あ、風邪薬を飲まなくちゃ」 大竹は薬の箱の小さな文字が読めない(老眼だからね)。そこへやってくる「小さな文字担当」のきたろう。読める!広辞苑、聖書など次々と小さな文字を読んでもらう。でも遠くの文字は読めない。そこへやってくる「遠くの文字の担当者」斉木。でもハングルやアラビア文字は意味がわからない。
■最初に全部口で説明するコント。全部の台詞が韻を踏むラッパー設定のいとうせいこうが見事
■秋田の七輪(ななわ)町に赴任してくるいとうせいこうを迎えるきたろう。七輪を手に持っている。この町は異常に自殺者が多い。七輪と練炭を20円で売る斉木。自殺ギャグが続いたところでいきなり「フキンシンです!」と乱入する笠木。「人の死をコントにするなんて、3..11を忘れたのですか!私は福島の出身なんです(これは本当)」
「じゃあどうすればいいんですか?」と聞く大竹たちに、背景に日の丸を掲げればどんなコントでもいいという。というわけで日の丸バックに「オマ○コ」を連発する彼ら(WOWOWじゃ放送できないww)。あと「2020年、東京五輪開催」も必ずいう。テ○ガ(だよね?)を巻きながらどうようもないコントが続く。
■喫茶店にはいってくる、身障者(身体と言葉が不自由)を気遣おうとするも意思疎通がうまくできなくて困る店主きたろうと客たち。いとうせいこう扮するおばさんは彼の意をちゃんと汲める。「最近の人たちは気遣いができずにほんと困るわあ」と声高に他の客を揶揄する。そこへ電話。おばさんの子供から。会話の最後で「あなたを五体満足に産んで本当によかったわあ」と言ってしまい自分に驚愕するおばさん。
■花見の準備に奔走する大竹と若者。走り回りどなり散らす大竹。血管切れそうで怖いww
■冒頭のキャリーケースを引いた大竹たち。扉が閉まろうとしている。「急げ」 あの扉はここから出ていくものか中に入るものなのか。あせる大竹。ふと足をとめる「あ、風邪薬を飲まなくちゃ」 舞台暗転。
てなわけで毎度おなじみの自殺コント、不条理コント、原発コント、身障者コントなど。ある意味ここ数十年のシティボーイズの集大成みたいな感じでしたよ。最後のご挨拶では中村有志の三度目の離婚(この人公演のたびに結婚か離婚してるww)話など。大竹さんの「また来年!」が出たのが嬉しかった。みんな元気な限りちゃんと見るよ!
p.s.パンフレットのシティボーイズ放談が興味深い。シティボーイズの成り立ちについて話す3人(主に大竹・きたろうさんw)。竹中直人が大学の友人の宮沢章夫をつれてきてコントを1本書かせてみたら絶句するほど面白かったのがはじまり。それまでシティボーイズは斉木を生かせなかった。"きたろうがボケて大竹がつっこみ、斉木が最後に全部さらっていく"という黄金のパターンは宮沢が生みだしたのであった!
放談を読んで思うのは大竹さんの真面目さときたろうさんの思慮深さ(まじよ)。そしてやっぱり素でも斉木さんはわけわからないのであった。身体も心もでっかい人なんだよなあ。みんな大好きだー。
■過去の公演感想
2009年「そこで黄金のキッス」
2008年「ロータスとピエーレ」
2007年 『モーゴの人々』
2006年 『マンドラゴラの降る沼』
2005年 『メンタル三兄弟の恋』
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