「シャーロック:ケースブック(ハヤカワ版)」ファーストインプレッション
さてさて業界騒然の「SHERLOCK : CASEBOOK」、いわゆるBBCドラマの公式ガイドブックが英国で出版されたのは昨年10月。これはUK Amazon経由で購入した。当時、SHERLOCKはNHK BSプレミアムでS1/S2とも放送されており、DVDも出て徐々にファンを獲得していた…といっても日本国内ではまだまだ無名だから、当分日本で発売されないと思ったのだ。昨年10月に入手して開いた時、私はこのガイドブックの日本語化はまず無理とため息をついた。
この先はネタバレあったりするのでたたみます。まずこのケースブックの存在自体が壮大なネタバレなので、ドラマ未見の方は是非SHERLOCK、S1/S2全6話をご覧になってからお読みください。ぜったいぜったい持ってて損はないっすよ!
ドラマのガイドブックといえば、概ね登場人物の紹介、ストーリーの解説、制作者・俳優さんインタビューや制作裏話などからできていると思う。この本もその構成だ(+コナン・ドイル&聖典+過去の映像化作品などの解説も)。しかしストーリーの解説が凝りに凝っていた。なにしろ名前がケースブック(事件簿)だ。ジョン・ワトソンが各話に登場した新聞記事、証拠、事件メモをスクラップブックにまとめ、それにシャーロックがポストイットで茶々をいれる(+ジョンがポストイットで応酬する=二人の交換日記)という構成になっているのだ。こんな感じ
これをレイアウトの隅々まで気を配って翻訳するのは無理だろう。時間と手間がかかりすぎる。そこまでの労力をかけて出版するのは出版不況のこのご時世では難しいだろう ... .と諦めていたらやってくれましたよハヤカワさんが!
しかもなんと原著出版からわずか3カ月!という天文学的な速さ - 閑話休題。翻訳出版ってモノスゴク時間がかかる。特にSFやミステリでは数年遅れなんてザラ。私の大好きなSF、ヴォルコシガン・サーガ(マイルズ君シリーズ)なんて10年遅れてるので、ついに全巻原著で読んじゃったよ!早く出版しろー創元~ - 閑話休題終わり -
「なんでこんなに速いのよ!?」と出版情報を読んで得心がいった。翻訳者の加藤祐子さんは国際的なジャーナリスト。オックスフォード大学を卒業されており、海外での生活も長い。そして本国でのSHERLOCK放送時からのファンであり、日本語でその素晴らしさを紹介、啓蒙し続けてくれている日本のファンにとっての神様のような方なのだ!聖典や他の映像化作品にも造詣が深く本当に学ぶところが多い(ブログ「水川青話」)」
その加藤さんが訳された!こりゃあ速いわ信頼がおけるわということで、私は楽しみに待っていた。そしてついに発売されたのだ!
ハヤカワの編集さんがこだわったという体裁!原著の見返しは紫でシャーロックのドルガバのシャツの色のイメージだけど、日本版では黒。そして花布が赤 - そうシャーロックのコートのカラーなのだ。素晴らしい!そしてジョンのスクラップブックのイメージはこれ!
ノートやメモ、新聞記事までしっかり翻訳されている。たいへんな労作だ。原著ではジョンのメモやポストイットは手書きだったのだが、手書き風のフォント(シャーロックは角/丸ゴチックでジョンはペン字体かな?)になっているのはいたしかたない。モリーのフォントがかわいいよ。
ただ急いだ故か、ちょっとミスがでてしまったよう。表紙裏の誤記はドラマを見ている人なら絶対間違えないジョンのS2E1の台詞(故に加藤さんのミスではない)なので、ちょっと残念(早川書房から誤記のお詫び、表紙カバー交換してくれるって...良心的だ~)。初版即増刷決定(すげええ!)なので、次に手に入れる方は直っていることでしょう。
てなわけですてきなケースブックをありがとう!早川書房さん加藤さん!これからドラマを見返すときは手元に必ず置いておきますよ~ライヘンバッハ以外は…だってケースブックのライヘンバッハの項のジョンの手記が悲しすぎて…この項だけポストイットが無いんだよ!(泣)...でもでも最後の奥付まできちんと見るとそこには…原著の作者ガイ・アダムス氏もBBCスタッフも加藤さんも早川書房さんもみんなみんな大好きだあ!
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