ドラマ「SHERLOCK:S2E1ベルグレーヴィアの醜聞」感想
きましたよきましたよ!昨年夏にNHK BSで放送されたBBCドラマ「SHERLOCK」ファーストシーズン(S1)全3話。度肝を抜く面白さに心奪われ待つこと約1年。やああああっとセカンドシーズン(S2)が開始されました!S1のブルーレイも買って予習はカンペキ。前回ラスト、宿敵の犯罪コンサルタント、ジム・モリアーティの姦計にはまってゼッタイゼツメイのシャーロックとジョン!どうするどーなるという壮絶なクリフハンガーで待たされた1年 -
あ、おしゃれ探偵シャーロックに対抗するためモリアーティもおしゃれさん!纏うはヴィヴィアン・ウエストウッドの細身のスーツ。おしゃれですねー(棒) ちなみにジョンはユニクロだよ!文句あるかよ!かわいいよ!
えっと私のドラマ感想は例によってネタバレに躊躇はありません。未視聴の方はどうぞスルーして、そして観てくだされ~。NHKオンデマンドで!面白いんだよ~損はさせないよ~(ステマ)。見たのは吹き替え版です。要所要所で原語版で台詞確認してますがおっかけきれない英語苦手もののかなしさ(;-;)。
ではS2E1「ベルグレーヴィアの醜聞(A Scandal in Belgravia)」の感想いきます!
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レーザーでポイントされつつも銃で反撃を試みようとするシャーロック。緊張を破るジム・モリアーティ(以降はジムね)の携帯の着うたはビージーズ(ロビン(;-;))の「Stayin' Alive 」。サタディー・ナイト・フィーバーのテーマ・ソングですな。ちょい気が抜ける70年代サウンド。タイトルは「生き延びる」ってことだけどその意味はあるかないかは今は不明(でもたぶん「ある」)
ジムの「でていいかな?」に、銃口をむけながら「どうぞどうぞ」というシャーロック。話しながらシャーロックに「悪い」と目で謝る(本当にすまなそう)ジム。「気にするな」というシャーロック。この人たちは人間のことわりの外に生きている。
電話の内容はかなり重大みたいでシリアスなジム。銃口を向けるシャーロックに「悪い~今日は死ねなくなった」(Sorry, Wrong day to die.)と断りすたすたと去っていく。ビジネスのお話みたいにね。ジムは犯罪コンサルタント。これがお仕事なのだ。
この電話の相手はアイリーン・アドラー嬢であることは後々わかる。シャーロック「誰かがあいつの気を変えた。問題はそれが誰かってことだ」 それが今回のヒロインだ。
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さて場面は転換。いかがわしいSMプレイの最中のミス・アドラー。プレイ相手は若いお嬢さん。呼称の「殿下(ロイヤル・ハイネス)」は王族、即ち女王直系の王子王女につく称号(正確には女王様の御夫君、エジンバラ公フィリップ殿下を含む)。王女様だとしたらヨーク公のあの奇妙な帽子がお好きなプリンセスかしらん(下世話ですすみません)
場面は変わってシャーロックたちのフラット。ジョンはブログでシャーロックの扱った事件簿を発表している。ブログは評判となり、シャーロックのもとには次々と(どうでもいい)事件が持ち込まれる。このどうでもいい事件のいくつかは伏線でありきちんと回収される。
そして3人のヲタク(Geek)の事件。これはジョンのブログに記録される。名づけて「Geek Interpreter」。これは勿論原作「ギリシャ語通訳(Greek Interpreter)」パロですね。制作者(マイクロフト兄さんだ)のドヤ顔が目に浮かぶようだよorz。
アクセス数を増やすジョンのブログ。クライアントが引きも切らないのはブログのおかげと自慢なジョンに対抗心を燃やすシャーロック。自分のサイトの「243の煙草の灰の相違について(いまは削除されてる)」の記事にひかれたんじゃないのか!と驚いている。ちげーよ!この「243の煙草の灰の相違について」は原作「四つの署名」の第一章「推理の科学」に登場するシャーロックの書いた論文よ。
ここでもいっこ。モルグでジョンとシャーロックが見ている死体は「まだらに染めたブロンド(The Speckled Blonde)」もちろん原作「まだらの紐(The Speckled Band)」のパロ。ああ、兄さんのドヤ顔が…。
ジョンのブログが気になって仕方ないシャーロックが子供みたいで超かわいい!レストレード警部に要請されて出向いた事件の現場。デュッセルドルフでテロと思われる飛行機爆破事故で被害者は全員死亡。ところがその飛行機に乗っていて亡くなったはずの被害者がロンドン中心のサザークで車のトランクから死体で発見される。コートのポケットにはチケットと機内食のナプキンとビスケット。パスポートにはベルリン空港の出国スタンプ - その謎は後半にあきらかにされる。彼はフライトに乗り遅れたのだ。
閑話休題。英国では機内食のおやつにロータス・カラメルビスケットをだすのだ!以前英国で食べて大好きになって以後常備。成城石井に売ってるよ!
ジョンのブログのカウンターは1895でとまっている。これは原作「Black Peter」の冒頭「I have never known my friend to be in better form, both mental and physical, than in the year '95. (私は1895年以上に友人ホームズが精神的にも肉体的にも最高だった年を知らない)」からかな?
いちやくネット探偵として有名人となったシャーロック。写真をとろうと事件現場に押し掛けるマスコミ。劇場で捜査後、変装のため舞台衣装(?)をぱくってかぶったのがシャーロックホームズの代名詞であるところの鹿撃ち帽。新聞の見出しは「Hat-man and Robin.The Web Detectives(ネット探偵ハットマン(帽子男)とロビン)」 なぜカップル疑惑で有名なバットマンとロビン? あんたらやっぱできてんのか~。
ところで画面をとめて新聞の記事を読むとS1の事件とジョンの経歴が書かれてる。ジョンは37才か~。シャーロックはちょい下かにゃ?別の新聞にはジムとアル・カイダと組んでテロやってるなんて記事も書かれていてこれも伏線。
その記事を読みながらアイリーン嬢はジムにお電話。「そろそろ頃合いじゃない?」 ご対面の準備はじまる。
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ところ変わってベイカー街221B。例によってキッチンの冷蔵庫の中の親指(技師の親指(The Engineer's Thumb)?)がはいったジップロックに顔をしかめるハドソン夫人の前に息も絶え絶えの依頼人あらわる!階上に向かって「あなたたち、またよ~」というのだけど、これ原語では「Boys! you've got another one ~」といっててすごい好き。アラフォーの男二人にBoysですよ!萌えますよ!
カントリーサイドの川のほとりで後頭部を割られて死んでいたハイカーの男。凶器は発見できず。第一発見者(依頼人ね)が疑われているという殺人事件。つまらない事件はジョンを現場に行かせてネット中継させて捜査する方針。ぶつぶついいながらも現場に出向いて迎えた警察に「ここWi-Fiつながる?」と聞くジョンがかわいいよ。ネット越しに捜査するシャーロックはまっぱにシーツ1枚(なぜ?依頼人がいるのに??)
どうやらシャーロックには真相がわかった模様。そこへ乱入する新規のクライアント。有無をいわせずシャーロックをつれていこうとする。クライアントを一瞥するだけで相手の身分を推理(しかもARで画面に重ねるので超わかりやすい)。靴やズボンの裾についた傷で彼の主人が小型犬を3匹飼っていることを見抜く。シャーロック「どこへ連れて行かれるかわかったよ」
ジョンのもとにもヘリコがお迎えに!ヘリコが降りる先はバッキンガム宮殿。「小型犬を3匹飼っている」というところで英国人はピンとくるはず。これは女王陛下のコーギーのこと。クイーンのコーギー好きは超有名。真のクライアントはなんと女王様だったのだ!
閑話休題。ネットでコーギーってお馬鹿なわんことして有名。いっぱい間抜けな動画があがってる。その際のコーギーは「ごすじん(ご主人)、ごすじん、あそんで~」みたいな感じでばかかわいい。小型犬3匹の文字が画面にでたとき、夫は「高貴なごすじん~!」と叫んだよ。
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赤と黄金(きん)で飾り立てられた豪奢なドローイングルームにジョンが入っていくと、ソファにシーツ1枚のシャーロックが座ってる。開口一番「パンツはいてる?」「いいや」の会話に声をあげて笑っちゃったよ!まっぱでバッキンガムで謁見かよ!もちろんこれはこの後のアイリーン嬢の登場を印象付けるもの。シャーロックとアイリーンの行動はシンクロしてるのだ。
赤と黄金(きん)が印象的なこの部屋のロケ地はさすがにバッキンガム宮ではないよ。ロンドンにある「The Goldsmiths' Hall」という貸しお屋敷のドローイングルーム。英国にはこういう昔の貴族のお屋敷やカントリーハウスが保存されててホテルやレンタルハウスになってる。nyaはそういうところに泊るのが趣味。クリブデン宮とかね(豪華だった~)。
「バッキンガム宮だよ!」「女王いるかな?」とハイになってげらげら笑ってるコドモな二人の前に現れるのは大人のマイクロフト兄さん。裸のシャーロックをとがめるもシャーロックも不機嫌。「捜査してたのに~」。でもマイクロフトは「ああ、ハイカーとバックファイヤーの事件ね。明白だろう。次の事件にかかろう。」ととりあわない。お兄さんはシャーロックより切れ者設定。こんな事件すぐといちゃうよね。
ズボンをはくのはかないの(兄さんがシャーロックのシーツを踏んでお尻ぺろりのサービスシーン付)とレベルの低い兄弟げんか(大人なのに)しているところに現れるのが依頼人代理のハリー氏。依頼人は「高名な方、輝かしき方です。だがその方の名前を口にすることは控えておく」 ここは原作「高名な依頼人」からの台詞の引用だね!
もちろんハリー氏はジョンのブログも読んでいる。「私の雇い主は君のブログのファンなんだ。特に「アルミの杖の事件」がお気に入りだ。」という。これは原作「マスグレーブ家の儀式」にタイトルだけ出てくる「アルミ製松葉杖の奇妙な事件」のこと。女王陛下ってば!
ようやく服を着たシャーロックに雇い主の依頼内容が提示される。高貴な顧客を相手に特殊な性的サービスを提供する「The Woman(あの女)」として知られるアイリーン・アドラー嬢。職業「女王様(Dominatrix) 」。雇い主にゆかりの若いご婦人とミス・アドラーの不名誉な写真を取り戻してほしいというのが依頼。「金をだして買い取ればいい」というシャーロックに「彼女はただ写真の存在を知らせただけだ」と兄さん。これは彼女の英国への挑戦なのだ。がぜん受けてたつ気になるシャーロック。
「写真をかならず手に入れる」というシャーロックを疑うハリー氏に「雇い主がタバコを吸う」といういまだかって公表されたことがない事実をつきつけて能力を証明するシャーロック。
帰りの車でジョンがきくと「証拠は目の前にあった。君は見ているが観察していない。その差は明白だ」と答えるシャーロックの台詞は原作「ボヘミアの醜聞」からの引用。ま、落ちは宮殿に灰皿がおいてあったってことなんですけどね。盗むなよ!
ところでマイクロフトの会話の中で、アイリーン嬢が「人を支配する」と告げる。訝るシャーロックに兄さんが「怖がることはない。セックスの上での話だ」というとシャーロック「セックスなんて怖いもんか!」といきがる。この返しはまんま童貞の厨房だね。シャーロックはアラフォーの童貞なんすよ。この会話も伏線となる。ちなみに英語では処女も童貞もVirgin(純潔)。私はジョン・レノンとヨーコ・オノのアルバム「Two Virgins」でそれを知った。
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ベイカー街のフラットのシャーロックとベルグレーヴィアの邸宅のアイリーン。二人ともご対面に備えて服を選んで入念な準備。ちなみにベルグレーヴィアはロンドンの中心、ケンジントンに程近い高級セミデタッチドハウスが立ち並んでいるセレブの住まう閑静な住宅街なのだ。
シャーロックは変装(といってもいつもの服に白いカラーをつけて、牧師風にしただけ)して、ジョンに顔を殴れという。ジョンはシャーロックがしゃべると(ARで空中に)「殴れ」って文字がでているそうですヨ(むかつくんだね)。それはともあれ一発殴っただけじゃ気がすまなくてこてんぱんにしちゃうジョンがかわいいよ!軍人だしね!医者でもあるけどね!
ま、その結果ぼろぼろになったシャーロック。通り魔に襲われた牧師とそれを介護する医師という設定でまんまとアイリーン嬢のお屋敷にあがりこむ。このあたりは原作どおり。でもアイリーン嬢はセックス・ビジネスの女王様。彼女の戦闘服であるところの全裸で現れてさすがのシャーロックも化けの皮をはがされてしまうのだ!「びっくりすると演技なんか忘れちゃうでショ?」って感じね。
しかし堂々とまっぱで探偵の前にあらわれるなんて本当にアイリーン嬢は宮さんのルパン三世「死の翼アルバトロス」の不二子ちゃんだね!いやあ眼福眼福(テレビじゃみえないけどさ)。
なにもかもさらけだすアイリーン嬢にはシャーロックの観察眼も効かない。どこを見ても「?????」。裸だから?でもお化粧とかしてるしねえ。動揺したシャーロックがジョンをみて普通に推理できるので安堵するのもなんかすげえ好き!
アイリーン嬢になにか着てと懇願するシャーロック。恥じらいもなんもないアイリーン嬢にシャーロック「裸が見たければジョンのパソコンを借りる」ジョン「実際借りてる」エロサイトとか見てるんかい?!
結局シャーロックのコートを着て応対するアイリーン嬢。前シーンのまっぱにシーツのシャーロックに相対してるわけね。
写真を渡すわけにはいかないアイリーン嬢と彼女の態度から写真のありかを探ろうとするシャーロック。例のハイカー不審死事件について語り合う。居間が事件現場に移動するシーンがとてもスタイリッシュで好き。ハイカーは最近海外旅行から帰ってきたばかり。スポーツ好き。彼は立ち止まり空を眺めている。数ヤード離れたところに調子の悪い車に難儀する運転手がいる。材料はこれだけ。とてもシンプル。キーは車のバックファイヤー。大きな音に注意を引かれて振り返るハイカーの後頭部をなにかが直撃する。
そう大きな音、注意をひかれるもの。部屋をでたジョンが火事騒ぎを起こす。「火事だ!」の声で思わず写真を隠した場所を見てしまうアイリーン嬢。これは原作まんまの古典ネタ。アイリーンが教えたという金庫の暗証番号ネタは今風だけどね。
そこになだれこむCIA(武闘派)。彼らもアイリーン嬢の写真を狙っていたのだ。暗証番号はシャーロックに教えたというアイリーン嬢の言葉を信じてジョンの命をたてにとり金庫をあけろとせまるCIA。意を決して暗証番号を打ち込み - 金庫が空いたとたん「ヴァチカンのカメオだ」と叫ぶシャーロック!身を伏せるジョンとアイリーン嬢。金庫に仕掛けた銃から弾が打ち込まれCIAはやられてしまう。この「ヴァチカンのカメオ」は「バスカヴィル家の犬」に登場する名前だけ事件「I was exceedingly preoccupied by that little affair of the Vatican cameos, and in my anxiety to oblige the Pope (僕はローマ法王のたっての依頼で"ヴァチカンのカメオ"事件に没頭していたんだ)」のこと。
あ、暗証番号はもはやありがちアイリーン嬢のスリーサイズね。シャーロックはまっぱをひとめみただけで彼女のスリーサイズをあてるのだ!エーベルバッハ少佐かよ!(「エロイカより愛をこめて」にそんなシーンがあるのよ)
金庫の中にあったのは写真ではなくスマートフォン。パスワードがかかってる(私のiPhoneもそうなんだけどスマホでは特定回数ログイン失敗するとデータが初期化されるセキュリティがかけられるのよ)。写真だけではなくアイリーン嬢が身体をはって集めたアブナイネタ(音声動画ファイルその他)がはいっているのだ。モリアーティが協力するわけだよ。
アイリーン嬢はシャーロックに毒針を打ち込み昏倒させスマホを取り戻す。らりらりになるシャーロックを心配するジョンに「いろんな人に試したけど大丈夫なお薬よん」といって姿をくらます。レストレードの力を借りてフラットに運び込まれたシャーロック。夢うつつにアイリーン嬢があらわれて例の未解決事件の謎をとく。事件現場の川原に立つ二人。目を輝かせて謎をとくアイリーン嬢はまるで少女のように愛らしい。ハイカーはオーストラリア旅行のお土産のブーメランで遊んでいて、車のバックファイヤーに驚いてふりかえったとたん自分で投げたブーメランに頭を砕かれたのだ。ブーメランは川に流されて証拠は隠滅というありがちな逆密室殺人。謎解きにエクスタシーを感じる二人はこの時にフォーリンラブだったのかな?
回復したシャーロック。寝室にはアイリーン嬢が返しにきたコートがかかっている。寝てるシャーロックのベッドの枕もとに日本語のお免状。これは例のバリツのお免状らしい(実際は講道館のお免状なんだって)
シャーロックの携帯のメールの着信音に「あはーん(はあと)」とあえぎ声を吹き込んじゃうアイリーン嬢おちゃめ。でもその着信音のいたたまれなさに気がつかないシャーロックは空気の読めないソシオパス。これも伏線になる。
結局写真をとりもどせないシャーロック。それを責めるマイクロフトに「携帯(写真)は彼女の保険だから表にはでない」とシャーロック。このくだりも原作ですな。今後彼女を監視するにはツイッターのアカウントをフォローすればいいよというシャーロック。アカウント名は「鞭を持つ手(The Whip Hand)」 まじあります。本物らしいのとパロティアカウントが!
会話中にかかってきた電話での会話。マイクロフトの「ボンド・エアは決定だ。コベントリー・チームと話せ」も伏線。
事件が不本意な解決で「古い友人に謝りに行く」マイクロフトを「彼女によろしくな」とヴァイオリンで送り出すシャーロック。メロディはもちろん「God Save The Queen」国歌ですな。
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時は過ぎクリスマス!なんとシャーロックのフラットではアットホームなクリスマス・パーティが!ヴァイオリンでクリスマス・ソングをハドソン夫人に弾いてあげるシャーロックがとても優しい。ジョンのクリスマスセーターは超ださい(「超ださいクリスマスセーターを着る」ことは英国人にとって意味があるらしい)
でもシャーロックは基本空気が読めない。ジョンの新しい彼女(長身で美人!ジョンめんくい)の名前を前の彼女サラと間違えるし、シャーロックに片思いしてるモルグのモリーがおしゃれして自分にプレゼントを用意してきたのにその心情をあけすけに読み解いて泣かしてしまう。(途中まで自分へのプレゼントって気がつかなかったんだね)。でもいままでは悪いなんて思わなかったのに彼女が傷ついたのに気がついて謝る - シャーロックに人間の心が根付きはじめているのだ。これはきっとこの後、彼の弱点となるのだろうな。
でそんな時にまたアイリーン嬢の「あはーん」メール。「これで57通目だ!」ってジョン数えてるのかよ!もうどんだけ好きなんだよ!
アイリーン嬢のメールには一言「マントルピースをみて」。そこには彼女からのプレゼント(偶然にもモリーと同じ赤いラッピング。黒縄のリボンがかかってるけどね)。その中には彼女のスマホがはいっていた。シャーロックはマイクロフトに頼んでモルグに彼女の死体を捜しに行く。モリーも同行。そこには顔をつぶされた全裸死体。体でわかるシャーロック(スリーサイズ一発であてたしね)にモルグのモリーが傷ついてるぞ!アイリーン嬢がスマホを手放すということは彼女の死を意味していたのだ。
モルグ - クリスマスの夜に家族の死に涙する人たち。それを見るホームズ兄弟は彼らの悲しみからはずっと通い所にいる。彼らの悲しみを想うシャーロックはいつになくセンチメント。弟を思いやるマイクロフトが萌え。本当は優しいお兄ちゃんなんだよね! そんなマイクロフトから頼まれてシャーロックを(彼女のデートもあきらめて)気遣うジョンあんどハドソン夫人も優しい! ハドソン夫人に「いままで誰かとつきあったことは?女?男とでも!」と問いただすジョン。やっぱゲイもしくはバイだと思ってるんだな。
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でもアイリーン嬢は生きていた。大みそかにジョンがアイリーン嬢に誘い込まれる場所が有名な産業遺跡「バターシー発電所」またの名をロンドンのお化け煙突。もうとっくに閉鎖された廃墟な名建築。ロンドンのA3通ると見えるので車から何度も見たよ~。
死んだはずのアイリーン嬢を見て腹をたてるジョン。生きているならシャーロックに知らせろよ!とつめよる。アイリーン嬢「私は生きてるわ。お食事しましょう」とメールを打つ。例の着信音が間近で聞こえてシャーロックにつけられたことに気づく二人。
ジョン「僕は同性愛者じゃない」アイリーン「私はそうよ。お互い意外ね」。ジョンとアイリーンはともに女が性的対象なのにシャーロックを愛しているのだ。もちろんジョンのそれは私は友情だと思う。でも深い慈愛には違いない。私にとって今回最大の萌えシーン。
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ひとり221Bに戻るシャーロック。捕らえられたハドソン夫人。CIAが例のアイリーン嬢のスマホを捜しに来たのだ。ハドソン夫人が傷つけられたことを知って怒り心頭。あっという間に敵を倒すのが素敵。ジョンも戻ってきてハドソン夫人を大層気遣う。まさにハドソン夫人最強。CIAはあわれ窓からゴミ箱に投げ捨てられる(ひどい)。シャーロック「ハドソンさんがベーカー街を去ればイングランドは滅亡だ!」
モリーのモルグでスマホをレントゲンにかけて調べるシャーロック。暗証番号を後2回間違えるとデータは消去されてしまう。
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一方、スマホを手放して身を守るものがなくなり、追われ追われて221Bに逃げ込むアイリーン嬢。シャーロックのベッドですやすや寝てる姿がかわいいね!髪をおろしてお化粧をおとしたアイリーン嬢は年相応に見える。アイリーン嬢はスマホの暗証を自分で解除して切り札の暗号を見せる。誰にも解けない暗号を解いてみせろとつめよられ一瞬で説くシャーロック。それは明日とびたつフライトナンバー007のボーイング747と座席番号。自分で解いておきながらどこかひっかかりのたうちまわるシャーロック。マイクロフトの電話「ボンド・エアは決定だ。。」に「007便だ!」と気がつく
シャーロックが暗号をといたことをジムにメールするアイリーン嬢。ジムはマイクロフトにメールを送る「ジャンボジェット。ホームズさん、なんとまあ(Jumbo jet. Dear me Mr Holmes, dear me.)」
マイクロフトの電話にあった「コベントリー・チーム」 - 第二次世界大戦に「コベントリーの悲劇」として知られている逸話からのコードネームだ。これ私知らなかったので夫に教えてもらった。第二次世界大戦中ブリテン島各地はドイツの空襲に晒された。その中でもコベントリー空襲はドイツのエニグマで生成した暗号を英政府が解読して、計画を知りながらドイツにエニグマが破られたと知らせないためわざと遂行させ多くの犠牲者をだしたことで有名なのだ(いまでは信憑性が疑われている逸話)。解読したのは悲劇の天才アラン・チューリング博士だね。
マイクロフトと英政府はこのコベントリーの悲劇を行おうともくろんでいた(いや冒頭の事件を鑑みるともう行っていたんだな)。伏線の新聞記事、モリアーティとアル・カイダが組んでテロを遂行しており、英政府はそれを知ってあらかじめ死体を満載した飛行機を飛ばして爆破させテロが成功したように見せかけようとしたのだ。
冒頭の些細な事件(叔母の遺灰が違うと訴える青年やおじいちゃんが亡くなったのにあわせてもらえない孫娘たち)はこの「死の飛行」事件の伏線だったんだね。
アイリーン嬢は作戦の暗号を手に入れるもとけず、シャーロックを騙して解かせて計画がテロリストに知られたことをジム経由でマイクロフトに知らせた。弟に迂闊にアイリーン嬢と接触させたマイクロフトの大失態だ。まだまだこのような重大な情報はスマホに収められていると、巨額な取引をマイクロフトと英政府にもちかけるアイリーン嬢。
「ジムがあなたたちのことをなんていってるか知ってる? 「氷の男と童貞(Virgin)君」」 - うなだれるマイクロフト。勝ち誇るアイリーン嬢。しかしシャーロックは意に介さない。とうとう携帯のパスコードを見つけたのだ。アイリーン嬢はやはりシャーロックのことを想っていた(そりゃね)。 携帯のパスコードに意味をもたせるという過ちを犯したのだ。すなわち「 I AM "SHER"LOCKED.」 - これにはちょっと吹いちゃった。かなりベタ。そしてロマンチック。
スマホのパスコードを解いたことで失態を取り戻すシャーロック。いまやアイリーン嬢を守るものはなにもない。「私に許しを請えというの」「そうさ、そのスマホなしでは生き延びられないだろうからな」
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時は経過し、ベイカー街のサンドイッチ・カフェにジョンを呼び出すマイクロフト。アイリーン嬢がカラチのテロリストに捕らえられ首をはねられたことを告げる。シャーロックにどのように告げようと頭を抱える二人はやさしいね。
自室で顕微鏡を覗き込むシャーロックにアイリーン嬢がアメリカに逃れたこと(公の情報)を伝えるジョン。マイクロフトが渡した彼女のファイルを見るかと問うがすげなく断る。「でもスマホだけほしい」「もう何もはいってないよ」「わかってる。でももっていたいんだ」 - 原作では写真を請うているシーン。複雑な表情のジョン。
ジョンが去った部屋で、シャーロックはアイリーン嬢のスマホを見る。思い浮かぶのは彼女の最後。いままさに首をはねられようとする彼女がシャーロックに最後のメールをうつ「さようなら、ホームズさん」 メール送信 - そして処刑人から「あの」着信音。顔をあげたアイリーン嬢の歓喜!シャーロック「逃げろといったら走れ!」
しかしそれもみな思い出の中。いずれ二度と会えない彼女にシャーロックはつぶやく 「The Woman .. The Woman」と。窓を伝う雨が彼の心を表わすかのよう。
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最後に関してはいろいろ解釈できるけど、シャーロックは推理はするけど妄想はしないから、あれは映像まんまだと思いますよ!
今回は本当に面白かった!無駄なくテンポの良い脚本とおしゃれな演出に酔いましたよ! ただ恋を覚え、ジョンに甘え(甘えてるよな!)、ハドソンさんを思いやるシャーロックの人間らしさが今シーズンラストエピの「ライヘンバッハの滝」事件で彼を破滅に追いやるのだろうなと不吉な予感もよぎる。たぶん既に伏線が貼られている。シャーロックの死 - そのとき、ジョンがどうなっちゃうか心配で心配で。はやく!シャーロック復活のシーズン3(もうかよ!)を~ 。あ、これに関しては2013年初頭に撮影開始という未確認情報がありますヨ!
でもまあその前に来週はダートムーアですよ!パスヴィル家のわんこですよ!楽しみ~。
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コメント
Nyaさんのブログは本当に面白いです。原作より素晴らしいかも。DVD探しますよ!Tsutayaだけど・・・。
楽しんで来てください!
投稿: Kazz | 2012.07.27 19:03
Kazzさん、コメントありがとうございます!
わあいシーズン2は今週来週と日曜夜22:00からBSプレミアムで放送しますのでぜひぜひ!損はさせない面白さですよ~。
投稿: nya | 2012.07.29 11:56
Sherlockの感想、面白いです。人様の感想を読むと新しい発見があったりします。
原作のホームズモノをあまり知らないのですが、ドラマでの引用を知りたさに読んでいます。こちらのサイトは原作からの引用がたくさんあって、参考になります。
そして一目でスリーサイズをあてるシャーロック、確かにエーベルバッハ少佐の様。。他にも何となく似ているような(ルックス込みで)。。
頑張って英語字幕に挑戦したり(UK版のDVで)、字幕無しに挑戦して2分であきらめたり、日本語にもどったり、色々楽しんでいます。英語の方が分かると楽しい気がします。
シーズン3、とっても楽しみですね。また感想等書いてくださるとうれしいです。
投稿: khfde | 2012.10.18 10:38
khfdeさん、コメントありがとうございます!
はじめまして…かな?こんな辺境のブログにようこそお越しくださいました。SHERLOCKの感想を読んでいただきありがとうございます!
原作は私もコドモの頃に読んだきりでぜんぜん覚えておらず、この機会に原文で読み直しております。「こんなところに引用されてる!」と見つけるのが楽しいです。
そしてシャーロックが少佐に似てる~とご賛同いただけて嬉しいです。ジョンはボーナム君に…あわわ(ルックスと有能なところが!)
UK版のDVDは英語字幕があるんですよね~。私は日本版しか持っていないため、英語スクリプトを見ながら観ています。原語版で観る楽しさをSHERLOCKで知りました!
S3の情報その他も書いていきますね。どうぞまたいらしてください!
投稿: nya | 2012.10.19 06:49
またまた失礼します。ただいま1人寂しく「シャーロックホームズ」の聖典をぽちぽち読んで、S3を待ちこがれています。
今日、ドラマ「アグリーベティ」のS4e7を観ていたら、ドラマ中1のセクシー熟女ウィルミナが、部屋の鏡を持ち上げると金庫が出てきて、自分のスリーサイズが暗証番号になっているという例のシーンが登場しました。鏡がギリギリの位置で「金庫が開けられないんじゃ?」と一瞬思ってしまうくらいなのも全く同じ、両方好きなドラマなので観ていて萌えました(o^-^o)。確かにこれは名シーンだわ。
先日は「バスカヴィル家の犬」を読み終え、今は「四つの署名」を読み始めたところです。SHERLOCKに使ったと思われるアレコレを見つけて喜んでいます♪
投稿: khfde | 2012.10.30 23:40
khfdeさん、コメントありがとうございます!
おおアグリーベティにもそんなシーンが!スリーサイズが金庫の暗号というのはありがちなシチュですが料理しだいでいくらでも楽しく見ることができるよい例ですね!
聖典!バスカヴィルを読まれたのならゲイティス兄の原作ファンいじりの部分もおあわかりでしょう。絶対シャーロックは後からこっそり追いかけるのかと思ったら一緒にでかけちゃうので肩すかし~みたいな。
四つの署名はとっぱなからコネタ使いまくりでとても面白いですよね~。ジョンの「ピンク色の研究」ブログに文句つけるシャロとかまんまです。コネタ探しも本当に面白いです。
ではではどうぞまたいらしてくださいね。
投稿: nya | 2012.11.02 22:14