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2011.04.19

ドラマ「JIN -仁-」第一回 感想

僕達はあたりまえだと思っている

思い立てば地球の裏側に行ける事を
いつでも思いを伝えることができることを
平凡だが 満ち足りた日々が続くであろうことを
昼も夜も忘れてしまったような世界を

けれど - それはすべて与えられたものだ

誰もが歴史の中で戦い
もがき 苦しみ
命を落とし
生き抜き - 勝ち取ってきた結晶だ

だから僕達は更なる光を与えなくてはならない
僕達の この手で
(JIN完結編第一話、オープニングナレーションより)

2009年の第一部放送から1年4ヶ月を経て2011年4月。楽しみに待っていたJINの第二部放送だけれどその間に誰も予測しなかったことがおきて、私達のこころのありようが変わってしまった。

近代日本が遭遇した外因由来による価値観の一変、社会の変容。 - 1つめは明治維新、2つめは第二次世界大戦の敗戦、そしてこの東日本大震災 -

私はドラマからはいった口だから、2009年当時、仁先生のタイムスリップを「便利な現代から、いろいろと不自由な江戸に行くのは大変だろうな。工夫して現代の医療を江戸に展開するのは、ファンタジーだけど面白いな」などと暢気に思っていた。それが今はどうだ。磐石と信じていたものは崩れ、満ち足りた日常の皮を一枚めくれば、そこには寂寞とした絶望が拡がっている。苦しむ人がいて、その苦しむ人を助けられないことでまた苦しむ人がいる。

現代は便利で豊かで文明の叡智を極めている - なんて傲慢だったんだろう。ただ私達はそこに在って、生きている限り生き抜く努力をしなればならない。今も昔もかわらぬ営みとはそういうことで、そこには江戸も東京も無かったのだ。

仁先生はそんな世界を身をもって体現している。震災の後でなければわからなかったことだし、制作者の方々もまた、震災を経て思うところは大きかったろう。新しい仁先生の物語を厳粛に受け止めて行きたいと思う。

てなわけで(どんなわけだっ!)、物思うnyaはここまで。いつものお馬鹿感想に戻ります~!

いやあよかった、よかったね~。シーズン1から1年と4ヶ月!いよいよはじまったシーズン2完結編のオープニング第一回も気合がはいった出来で、オープニングからずずいと引き込まれて2時間余、すっげー面白かったです。「ぼややん仁先生と楽しい江戸の仲間たち」にまた逢えてとても幸せです~。

村上もとか先生の原作も昨年末に見事な大団円を迎えたことだし(見事な幕引でした!)、ドラマも謎謎いっていないで、幕末の異邦人仁先生と偉人や市井の人々との交流を腰を据えてじっくり描いてほしいもんですな。もとか先生は方便としてタイムスリップを使ってはいるけれど、それが主体じゃないからね。「なぜ仁先生はタイムスリップをしたか」ではなく「タイムスリップした先生が江戸で何をしたか、何を得たか」が主体。人の心のあり方を描いているのだ。東芝もクレジットを自粛する(残念)この情勢で、そんな骨太のドラマをしっかりと観させていただきますよ!でも東芝だけでなく花王もクレジットしないのはなぜかしら?教えて池上先生!

あ、でもでも原作の謎の収め方は見事でした。ドラマはイベントてんこ盛りだし、どうまとめてくるのか楽しみです~。

以下感想は、今後の展開に関わるネタバレを含んでいるため原作未読の方はスルーしてくだされ~

てなわけで羅列感想!すんません頭ワルイので、まとまった感想は私には無理です~(;-;)。2時間どこもかしこも見所ばかりで、もいちどビデオ見返しながら描いてるのでまあ今週中くらいを目処に。

・怪我をした豆腐売りの治療代としてお豆腐もらう先生。お椀をもって江戸の町を歩くのがかわいい!
・咲ちゃんに「(結納)ドタキャン」なんて言葉教えるなよ~仁先生。「ドタキャン」って何語だ?と思って調べたら「土壇場キャンセル」なのな。すでに日本語だよなドタキャン。
・枝豆店長喜一くんに咲ちゃんが元気がないと相談する仁先生…ってコドモに相談するなよ~。ぽややん仁先生健在。
・すでに万人が賞賛していますが、脚気となった栄さんのやつれっぷりがすごい!いやあ素晴らしい女優魂です麻生さん!
・物盗り(?)退治に、なぎなたを構えるいさましい咲ちゃんの後ろで、へっぴりごしでおいもを握り締める仁先生弱っ!第二部でも咲ちゃんや龍馬さんに守られるヒロインポジションは磐石です!
・かりんと食べる山田先生ないす。かりんとうおいしそう~。セブンイレブンからのタイアップ製品が楽しみです!
・仁先生のお料理教室!なぜレシピのフリップをだす?!道名津(原作とちょっと違う)。仁先生はドーナツの造り方を未来ちゃんに教わったことになってるよ!
・街を歩く仁先生にいきなりホールドアップする龍馬さん。やあっぱうっちー龍馬だよなっ!
・海軍操練所時代の龍馬さんなんだな。そして新撰組による池田屋事件も起こり、かつ佐久間象山の暗殺未遂も起こる。日本中内戦時代。象山先生を知らなかった仁先生。歴史音痴って設定あったっけ?
・象山の治療にも行きたいが、栄さんの容態も心配で迷う仁先生の後押しをする咲ちゃん。「いざとなったら母上の口をこじあけてでも道名津を食べさせる」って咲ちゃんなら本当にやりそうで怖い。
・ペニシリンを濾紙クロマトグラフィーにしみこませ、乾燥させて京都に持っていこうとする仁先生。うちわで扇いでる龍馬さんがお茶目。
・道名津にあんこをのせて安(餡)道名津にするのは咲ちゃんの工夫になってる!富醂(プリン)や佐舞麗(サブレ)も見たかったにゃあ。
・京都への旅。蒸気船でけろけろする仁先生。小さなお船の旅はつらいよね。お船の上で佐久間象山暗殺の背景を語る龍馬さん。強硬な開国派の象山先生に対する攘夷派の仕業と思わせておいて、実は彼を抱える松代藩によってなされたのだと。傑出した天才象山先生は身内に敵が多かったのだ。市村パパの象山先生はちょっとエキセントリック。
・内戦状態のこの国を憂う龍馬さん。一丸となって日本を食い物にせんとする外国に対抗しなければならないのに。でもその龍馬さんの高い志が彼の死を早めたことを知っている仁先生。
・長州藩士 久坂玄瑞役の林泰文さんはこんな良い役者さんだったのかあ!純粋に国を憂うもその方法が間違っていて、暴走する長州をとめることができなかった。「攘夷なんかクソくらえじゃ!」と叫ぶ久坂が痛々しい。「お前は間違えるな」と龍馬さんに遺す。
・蛤御門の変 会津・薩摩 vs 長州の戦。双方の放った火で京都は大火に包まれる。龍馬は盟友久坂を助けるために戦場と化した京の町を走る。一方、仁先生は瀕死の象山先生を必死で助ける。大砲を放つ西郷率いる薩摩藩。大火の街を逃げ惑う民衆。これはどこの大河ドラマだっつーくらい力はいりすぎでこわい。TBSの本気?
・象山先生は未来に行った江戸人であった。瀕死の床から、仁先生の知識と技でこの国を救えと示唆する象山先生。歴史を変えることを躊躇する仁先生を叱咤する。「つべこべいわずに救え」「もしお前のやったことが意にそまぬことなら神は容赦なくそれを取り消す」「ならばその心のままに救え」。市村象山すげえ迫力で感動!

仁先生は佐久間象山に「人々を救う」ことを託され、龍馬は盟友久坂に「日本をひとつにする」ことを託される。それぞれの命とひきかえに。仁先生と龍馬は京都でこれからなすべきことへの強烈な動機付けをされるわけだ。この対比はうまいと思った。

第一部の感想にも書いたが、原作の仁先生は比較的早い時期に腹をくくり、そこからは(自らの存在に悩むことはあっても)、江戸の人々を救うことに関しては躊躇は無い。龍馬に至っては、あくまでも歴史のフォーマットに乗っ取って動いている。いわゆるテンプレ龍馬だ(これは他の幕末の偉人についてもほぼ同じである) いわばよく知られている幕末偉人の人生に、もっともらしく仁先生を係わらせるところが物語の醍醐味となっているし勿論それは成功している。

達者な作家さんにはよくあることだが、物語が人間を動かしている。その物語はたいそう魅力的なために、面白くわくわくするが、予定調和的で突き抜けたものがないとも言える。そこで、ドラマは2人の性格付けを多少崩して味付けした。いつまでもくよくよと悩む仁先生、能天気に見えて自分の居場所を探す龍馬。この未完成の二人の出逢いにはじまる数多の出逢いがそれぞれの道を作っていく。

・大火の京都で被災した人々を救うために臨時の診療所を開設し奮闘する仁先生。戦いで撃たれた長州藩士東修介を運び込む龍馬さん。新撰組から彼を救うために鉄砲撃って防戦するも「弾がたまたまでたがじゃ」ってアドリブ?
・そして新撰組に浚われる仁先生。「直してもらいたい要人」は西郷さんであった。原作の西郷さんは上野の銅像にそっくりな愛嬌のある風貌なんだけど、ドラマの西郷さんは美丈夫藤本さんだ。「坂の上の雲」の広瀬中佐の好演で一躍メジャーになった藤本さんは劇団四季出身のミュージカル俳優さんだ。市村さんとは先輩後輩で、うっちーとは「エリザベート」で共演してるね。うーん、市村さん、うっちー、藤本さんとミュージカル俳優そろいぶみだ~歌ってくれ~えっと大沢さんの「オペラ座の怪人」はなかったことに…(ひでえ)。

・佐久間象山の最後から大火の京で焼け出された人々の治療にあたる仁先生。龍馬に担ぎ込まれる長州藩士。そして新撰組に連れ去られた先には虫垂炎に苦しむ薩摩藩士西郷吉之助。日頃くよくよと悩んではいるが患者を前にした仁先生のスタンスは原作同様「目の前の患者を助ける」ことでこれはぶれてはいない。しかし、残り少ない(携帯用)ペニシリンを西郷さんの手術に使ってしまったことで、はからずも「命の差別」を行ってしまった。「私は何をするためにここ(この時代)に」。仁先生の混迷は深まる。
・無力感にさいなまれる仁先生は、せめて目の前の龍馬を助けようと暗殺の史実を伝えようとするが、頭痛に阻まれてそれはかなわない。このあたりは原作と大いに変わっているところだ。龍馬自身がどのように自分の暗殺の史実を知るのか、そしてどのように防ぐのか、「誰が」龍馬を斬るのかはドラマオリジナルの展開となるのだろうな。そのあたりも楽しみだ。
・栄様が喜一くんの心情に絆されて脚気の治療としての安道名津を食べて元気になるくだりは、ちょっとなあ。コドモを使った愁嘆場は(第一期の「ちちんぷいぷい」も含めて)あまり好きじゃないんだ。これは好みの問題です。

さてさて、次回は皇女和宮安道名津事件の回ですな。予告で流れた拷問される仁先生に腐女子界は騒然だ。映画GOEMON(才蔵)でも拷問されてたしなあ。儚げなたたずまいの大沢さんが苦痛に耐える顔はなんとも色っぽいんだけど、イタイのはイヤなのでどうぞお手柔らかに~。

感想まとめました。

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コメント

こんばんはnyaさん!!
待ちに待った「JIN」始まりましたね。
ワクワクしながら見ました♪♪♪
まだ、一回目ですが二部も作品に携わる全ての皆さんの熱意が伝わってきますね。
今回市村さんの象山は迫真の演技、本当にすごかったですね。
また、西郷役の藤本さんも魅力的で今後の物語の展開が楽しみですね。
この時期に、このタイミングで「JIN」の放送が始まるのも何かの巡りあわせのような気がします。
被災者の方たちにも、この番組を見ていただけたらいいですね。
これから番組同様nyaさんのブログも毎週楽しみにしています♪♪♪
(コメント長々とすみませんm(__)m)

投稿: nonki | 2011.04.24 19:32

nonkiさん、コメントありがとうございます!

JIN第二部の一話、とても力がはいっていて素晴らしかったですね~、市村さんの象山は、迫真の演技でしたね~。

いまの日本を元気付けるドラマになってくれたらいいなと思ってます。感想も書きますよでどうぞよろしくおねがいいたします~!

投稿: nya | 2011.04.26 05:04

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