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映画「キック・アス」感想

B級映画が好きなんだ。全国ロードショーで大々的に公開されないようなマイナー、でもマニアの間で「すっげー面白いんだぜ」「監督、わかってやってるよなー」みたいな映画。若い頃は東京に住んでいる地の利を生かして、ぴあを片手に、いろんな映画館に面白映画を観に行った。シネセゾン、ユーロスペース、シネマスクエアとうきゅうみたいな単館から、池袋文芸みたいな面白企画特集やってくれる映画館。あ、もちろんヌルイファンなんで沢山観たわけじゃあないけど、気になる映画を見つけて時々観に行ってたんだ。その中からいまでもずっと大好きな映画をたくさん見つけたよ。「薔薇の名前」「ニューシネマパラダイス」「さびしんぼう」「ビデオドローム」「ガンバス」なんてね。

そんな往年の名画館もほとんど閉館しちゃった/しつつある今、なんとマイナー公開された映画が口コミで評判を呼び、シネコンに拡大公開!なんて映画が生まれたよ。それが「キック・アス」。たいへんな評判を聞き、近くのららぽーと港北のシネコンでやってると聞いて観てきたのだ!

いやあ聞きしにまさるキンキー映画。R-15がついてることでもお分かりの通り、もう血しぶきどばどば、人が死ぬ死ぬ。11才のかわいい少女殺人マシーン「ヒット・ガール」がキュートな音楽に乗って悪人を殺りまくる!そんなシーンに眉をひそめちゃうような人(いるよね)なんてものともしない気の狂い方が実に気持ちよくってサイコー。

基本的にこの映画。頭のネジのはずれた登場人物しかでてこない。スーパーヒーローに憧れて、なんの根拠もなくスーパーヒーローの格好してチンピラを諫めて腹をさされて生死の境をさまようギーク少年「キック・アス」。妄想に取りつかれた父「ビッグ・ダディ」に殺人マシーンとして育てられた11才の「ヒット・ガール」。マフィアの息子で狡猾な「レッド・ミスト」。全然クールじゃあない4人の基地外ヒーローが何の罪もない(嘘、あります。でも殺されなきゃいけないような罪かしら?)悪人どもをひたすら殺しまくる爽快シリアルキラーヒーロー映画。もうモラルも非実在ナントカなんもくそっくらえって感じで気持ちいい気持ちいい。

じゃあこの映画が純粋お馬鹿映画かというと実はそうでもない。単純な勧善懲悪へのアンチテーゼ(ってテーマ自体が手垢がついてるレガシーなテーマだけどさ)。悪人をばしばし殺すヒーロー・ヒロインは実はシリアルキラーだし、殺さないってのも非現実的だ。マフィアにだって動機はあるし、仲間や家族を殺されれば悲しいし、復讐心に燃えるよね。世の中に純粋悪なんてそんなに無い。ほとんどは生きるための手段だ。大多数のものが被害をこうむって、その原因をやっつけるヒーロー・ヒロインってただ両天秤の片っぽだけの描写だ。

まあ、それがわかっててもヒットガールが三次元的に画面をちょこまか動き回って非実在悪人の喉をかっきったり、足をすぱーんと切り落として血しぶきどばーの場面は拍手喝さいなんだけどね。自分にとっての圧倒的強者をたたきつぶすのはただただキモチイイ。それって何の人類の原罪だよ!

そんなわけで「キック・アス」。心の論理ネジをすぱーんとはずすことのできる方にはぜひおすすめ。公開映画館は公式参照。短期に拡大したので映写クオリティに難のあるところもあるみたいだけど、私のみたららぽーと港北は問題なしでした。都内は立ち見続出みたいだけど、ららぽーとは空いてるのでおすすめですよん。

映画「キック・アス」公式サイト

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受信: 2011.01.13 01:21

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