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ドラマ「JIN -仁-」第六回 感想

そのぽやあん(by龍馬)なお人柄と相反するスーパードクターっぷりに魅せられて、庶民から偉人まで江戸の人々を虜にする、時をかける脳外科医南方仁先生!ううーん、今回も超素晴らしかったっす!どの場面を切り取っても心に残る名シーンばかりで感想が書ききれない~。

まず一言叫ばしてくれい!龍馬最高!ぜいぜい。「先生には欲がないぜよ!」のシーンでは龍馬にひきつけられてテレビの画面から一瞬たりとも目が離せなかった。声、台詞、仕草、目線、全てに隙無し!うっちーに龍馬が憑依してる~。そして龍馬が仁を心から心配してることが伝わってきて泣けた。もう仁先生と龍馬の絆は鉄板ですよ。私は原作では仁先生が龍馬の暗殺を阻止しようとする動機が弱いと思ってるんです(16巻以降単行本になっていないところを読んでいないため?)。でもドラマの二人はお互いに良い影響を受けて大きく成長している。ここまでの深い心の絆と相手への思いやりがあってこその暗殺阻止だと思うんですよねえ。

西洋医学所に対抗する医学館督事多紀元琰 。相島さんではちょっと若すぎる、そして細すぎる(笑)かなと思ったけど、芸達者な相島さんだから督事の貫禄たっぷり。ラストの龍馬一喝が素晴らしかった~。多紀先生は懐深くて大局を見ることができる偉人 - 蘭学に対抗する私心を捨てて南方先生の力になるんだよ!

小手先の技術を伝えることは容易いが、人を助けたいと願う医の心を伝えることはとても難しいと洪庵先生に説く仁先生は本当に仏様のようだ~(涙)。そして勝手な腑分けをした佐分利くんを「道を拓くということは自分だけの逃げ道を作ることやない」と諌める緒方先生はまじ金八先生でしたね。その説教は心に響いたよ。

未来の写真に語りかける仁先生に咲ちゃんが、物言わぬ写真ではなく私に心のうちを話して欲しいと訴えるのに対して、「向こうの世界でもずっとそうしてきたから」と答える仁先生。まあ正直毎回未来に話しかける仁先生はちょっと女々しいよなと思っていたけれど、先生は現代でも手術の失敗から2年間、物言わぬ未来に語りかけていた - 仁先生の絶望と孤独と諦念が胸に迫ってきて泣けた。こんなちょっとした場面で仁先生のドラマの人物造型に厚みをだす脚本は本当にうまいよなあ。

仁が私心を投げ打って仏のように振舞うのは「心ここにあらず」だから。江戸の異邦人である仁には、この世界に対する実感が無い。だから誰にも何にも、いや自分自身すら執着が無いのだ。現代と江戸時代の仁には共通点がある。それは諦念だ。物言わぬ恋人と果てぬ対話を繰り返す現代と江戸時代の仁 - 彼の非現実感は江戸に飛ばされてからではなく、未来の手術に失敗した2年前からずっと続いていたのかもしれない。

しかし刺客に襲われ、死と隣り合わせの恐怖を味わい、「先生は生きているのだから」と涙ながらに縋る咲の手を感じることで、仁の世界に現実感が降りてくる。咲に感謝する仁に「お礼なら野風さんに」と野風の機転で仁を助けたことを告げる咲ちゃんは素晴らしい娘さんだなあ。そして仁のお礼の手紙(字うまくなってるよ!)を抱きしめる野風もいじらしくて切ないよう。

物語に登場させる女性の一般的な分類付けとして「聖女と娼婦」がある。純真で無私、主人公を一途に思い尽くす聖女と妖艶で狡猾、主人公を誘惑し翻弄する娼婦。咲ちゃんと野風もこのパターンなんだけど、何せ原作の仁先生は聖人君子で野風の色香にも全くなびかない朴念仁だから、ドラマでは恋人未来ちゃんとそっくりにして仁先生を少し振り回すようにしたのかな。でも原作もドラマも共通してるのは、二人がとても良い子で一途に仁先生を思っていて、しかもライバルなのにお互いを思いやっている。未来にそっくりな野風を羨む咲と仁先生の傍にいつもいられる咲を羨む野風。しかし仁先生のピンチには二人で力をあわせて彼を救うというヒーローポジション(アレ?)

大輪の椿の花のような艶やかな野風花魁。風に揺れる蒲公英のような清楚な咲ちゃん。もう二人とも大好きだ~。でもヒロインポジションは仁先生で決まりだよ!

南方先生に刺客を送ったのかと医学館に乗り込む龍馬を一喝する多紀先生。ペニシリン精製所を荒らし、佐分利を陥れようとした敵は医学書内にいる(小須田さんの悪人笑いが素敵~)ことを認識する洪庵先生の身に異変が!そしてちょっと戻った(笑)写真を見て「一歩後退ってことか…」とがっかりする仁先生の袂から「平成二十二年」製の十円玉が!(ヲイ)。謎が謎を呼ぶ次回はもう七回か~、はやいよ~でもどこまでいくんだよ~。てなわけで次回は茜ちゃん皮膚移植とヤマサ醤油(当主浜口儀兵衛役は大好きな石丸謙二郎さんだ!)でのペニシリン大量生産と洪庵先生の…!だね。わああん、洪庵先生大好きだよう。ずっとこの物語を見ていたいよう(涙)

P.S.そうそう、佐分利くんを演じている桐谷くんって、大好きなクドカンドラマ「タイガー&ドラゴン」のチビTだったんだね!びっくりびっくり。

感想まとめました。

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コメント

前回、配慮のないコメントで失礼いたしました!
先ほどやっと第6回見ました~。私の周りにも苦労しながら録画を見ている友人多数!いろいろありますから・・・。
司馬先生の「竜馬が行く!」に重なるような竜馬に私も惚れてます。
咲ちゃんを見てると「鹿男あをによし」のテーマソングがBGMに聞こえてきそう・・・
本当に10回で終わりなんですか?どうやって落とすのか、続編ありの余韻を残すだろうと勝手にまた妄想膨らんでます。

投稿: ま | 2009.11.17 16:34

主人公の龍馬いいですね(←間違ってます?)。最近 日曜夜9時だけが楽しみになっています(寂)。

蛇足ですが、姪っ子からJin-仁-に出ている役者がいっぱい出てるという映画DVDを貸してもらいました。まだ観てはいませんが、出演者リストには小日向、綾瀬、小出、桐谷、田口さんらの名前がありました。タイムスリップ物らしいです。

投稿: Kazz | 2009.11.17 22:07

>姪っ子からJin-仁-に出ている役者がいっぱい出てるという映画DVDを貸してもらいました。
タイトルを書き忘れていました。「僕の彼女はサイボーグ」です。

投稿: kazz | 2009.11.17 22:41

はじめまして☆Sarahと申します。

実は、のだめの本誌感想の時からずっとNyaさんの感想を読んで、Nyaさんの深い解説に感動したり単行本を楽しみにしたりしていました。ずっと読み逃げですみませんでした
私は読解力が薄いのか、のだめを読んでも分からないことがあったりして(汗)それでも楽しんでいたんですが、Nyaさんの解説付き感想を読むようになってからは二倍も三倍も楽しかったです。ありがとうございました
そして、のだめが終わってしまってからもNyaさんの文章が読みたくなって時々寄らせていただいていたんですが、なんとわたしが最近はまっている「仁」をNyaさんも観ておられるので「またNyaさんの解説付き感想が読める~」と喜んでいます。

初めてのコメントなのに長々とすみません。でも、今回の「仁」を観て、緒方先生の渇の場面で「わ~金八先生や~」と思ったのがNyaさんと一緒だったのがうれしくて(笑)ついにコメントしたくなってしまいました。
また寄らせていただきますのでよろしくお願いします!

投稿: Sarah | 2009.11.18 17:11

まさん、コメントありがとうございます!

あ、いえいえこちらこそうるさいこと言ってすみませんでした。海外にお住まいの方の日本のコンテンツをご覧になる際のご苦労はじゅうじゅう承知しております。

そうそう、はるかちゃんといえばやっぱ鹿男の藤原くんですよねー。ナイスボケで可愛かったですねえ。咲ちゃんはもうちょっとしっかりしてるかな。

たぶんドラマは11回だと思うのですが、ラスト2時間はあるかもですねえ。そして漏れ聞こえてくる映画の噂。まだまだ仁先生におあいできそうですよ!

Kazzさん、コメントありがとう!

ふふふこの物語、咲ちゃんと野風のダブルヒロインのように、仁先生と龍馬のダブルヒーローものだと思ってますよー。動と静の絶妙な組み合わせ。龍馬だけだとちょっと暑苦しいので、そこへさわやかな風のような仁先生が緩和~という、素晴らしい人物配置。大沢さんと内野さん、どちらも芸達者だからこそできる絶妙のバランスだと思います。憂鬱な日曜の夜を楽しくしてくれて本当にありがたいです。

「僕の彼女はサイボーグ」、ふふふのふ、はるかちゃんがドラ○もんになる映画ですねっ!

Sarahさん、はじめまして!コメントありがとうございます。

こんな辺境のブログにようこそお越しくださいました。のだめに引き続き仁でもよろしくおねがいいたします。

洪庵先生は金八先生でしたねー、ですます調になるところが特に!のだめの単行本や番外編の感想も書きますし、どうぞまたいらしてくださいね!

投稿: nya | 2009.11.18 23:40

Nyaさんこんばんは!!

6話もよかったですね。Nyaさんの感想読んで、私も感動した場面が同じだったので嬉しくなって、またまたおじゃましました。
役者さんも脚本も本当に最高ですね!!
毎週、私の琴線は触れっぱなしです。どんどんハマっていきます。
7話まで、あと2日ですね(ワクワク)。
Nyaさんの感想も楽しみにしています

投稿: nonki | 2009.11.20 18:34

たびたび、申し訳ありませんm(_ _)m
訂正します。
役者さんも脚本も本当に最高ですね!!→出演者もスタッフもこの番組を作っおられる皆さん最高ですね!!

投稿: nonki | 2009.11.20 18:50

nonkiさん、コメントありがとうございます!

6話最高でしたねえ。私はいまのところ全話のなかでいちばん好きかもですね。おっしゃるように役者さんのみならずスタッフの方も最高に素晴らしいです。7話も楽しみ。憂鬱な日曜の夜が楽しみになるなんて、ドラマの力って凄い!って思いますよ~。

投稿: nya | 2009.11.21 07:20

Nyaさん、またまたこんばんは。
ホルマリンくんのヒントありがとうございます。
昨日、おとといと録画で改めて第1話と、夕飯作りと重なって落ち着いて見れなかった5話、6話をじっくり見てみました~。タイムスリップの直前あんな事があったんですねぇ。 あの包帯さんは明らかに。。。ですよねぇ?

内野さんって昔もっと線が細い印象があったんですけど今の竜馬役がハマリ過ぎなほど丁度いい具合の割腹(?)のよさになってますね!(着こなしでそう見えてるだけですかね?)
そいえば、咲ちゃんのお兄さんは’真澄ちゃん’なんですよね。小出君もほんといろんなドラマや映画出まくりですね。

にしても、5話も6話も見ながらだらだら涙してしまいましたデス。
きっとこの先も泣くんだろうな。。。
明日の7話も楽しみデスね!

投稿: まりも | 2009.11.22 00:45

あ、すみません!
竜馬じゃなくて龍馬でしたね

投稿: まりも | 2009.11.22 01:01

まりもさん、コメントありがとうございます!

*一部著作権に触れる箇所を修正させていただきました。どうぞご容赦ください。
ふふふー、私も繰返し1話から見ていますよ。包帯男の正体はどうでしょうねえ。原作も含めていろいろミスリードしようとしているのでわかりませんよ~(笑)

内野さん、大河の勘助さんのときは相当恰幅よかった記憶がありますが、ここ最近は絞ってましたよねえ。はなまるカフェに出演された際には、わりといつもの内野さんでしたので、これは着こなしかもしれませんね。

そうそう恭太郎さんは真澄ちゃんなんですよ!テンション高い真澄ちゃんから落ち着いた武士のお兄さんまで、演技の幅が広いのできっとどこでもひっぱりだこなんでしょうね。期待の若手俳優さんのひとりですよね。頼もしい限りです。

次回(わー、今日になってしまいました)は涙必須ですよ~。9時にはタオルを用意してテレビの前に座りましょう!

投稿: nya | 2009.11.22 01:59

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