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「娚の一生」感想

定期的に購読する漫画雑誌を買わなくなって10年くらいになるかな。否、雑誌を買ってまで連載を追いかけるような漫画作品が無くなったというべきか。唯一、「のだめカンタービレ」掲載時のKISSだけは買ってるけどね。KISSものだめは好きだけど他のいっさいの連載作品を受け付けず、購入即切り取り、残りは古紙回収というたいへんにもったいない読み方をしている。こればかりは好みなんでやむなし。

とはいえ、学生時代から筋金入りの漫画好き。単行本がでればかならず買う作家はずいぶんいる。その中の一人が西炯子先生。20数年前、学生作家としてデビューされたときからずっと追いかけている。代表作「三番町萩原屋の美人」は夫ともども大ファン。作風は洒脱。クールな描画と知的なストーリーを背景に、非常になまなましくときには身もフタもなく人間の感情を炙りだし、誰もが納得いく形にすとんと落とす - たいそう上質な読後感を与えてくれるのだ。

さて、西先生はシンプルなシャツとネクタイ姿の色香も悩ましいクールな眼鏡青年を描かせたら天下一品。そして、ワケアリの男女が出逢いやがて結ばれる大人の恋の物語もお得意。

そんな先生が満を持して世に送り出した問題作。51才の哲学者と30代半ばの女性管理職の恋路を描く「娚の一生」。たいへんな評判となり、3月発売以来ずっと品切れが続き、やっと6月に重版がかかって手に入れることができた。表紙の眼鏡青年ならぬ眼鏡老年海江田先生が美しい。

いやあいいですなあ51才独身を貫く哲学者海江田醇先生。肉の削げ落ちた長身痩躯のシルエットと対照的にたるんだ頬から首にかけての線。筋張った手や足の甲。ちょこっとでてるお腹。そして煙草、老眼鏡と小道具もばっちり。見事に初老にさしかかった男性を描いているのに、そこから香る色気ったらもう!そしてイタリア人もかくやとばかりの情熱で、主人公堂園つぐみ - 30代半ば一流企業の女性管理職。超有能であったが、巨大プロジェクトを終えた燃え尽き症候群と部下との不倫の恋愛に破れ亡き祖母の家で在宅勤務中 - に迫る迫る。

1巻ラスト、新しい恋に怯えて泣くつぐみに、眼鏡を外し髪をオールバックにして、「ホレ、他人」と胸を貸す海江田。それにすがるつぐみのシーンは名場面だなあ、老眼鏡紳士萌えといえばいまやオノ・ナツメ先生が第一人者だけれど、まあ西先生はさすがの貫禄だ。ルックスのみならず、飄々とした京都弁で紡ぎだされる海江田先生の台詞ひとつひとつが名言だ。祖母の初盆で集まったつぐみの親戚の前で、結婚の宣言をする海江田。若き日に心を寄せたあの人(=つぐみの祖母)の葬式でつぐみに出逢い、「名も知らんこの人の近くにおりたいとぼくの何かが決めてしまった」。その直後つぐみがあの人の孫と知っても、「"恋"なので仕方ありませんでした」。

こんなこといわれて絆されない女がいるだろうか!いやいまい(反語)。ひたすらにつぐみに求婚する海江田先生。不倫の恋の後遺症で新しい恋に怯えるつぐみの心は徐々に開かれていく…

てなわけで、1巻の続きが気になって掲載誌「Flowers」の単行本未掲載分のバックナンバーをとりよせちゃったよ~。7月号、最新の第11話「母力」。色っぽいというよりエロい海江田先生が満載ですよ!そしてつぐみも絆されてますよ!次号も待ち遠しい~。てなわけでFlowers、10年ぶりに定期購読決定!KISSと違って捨て漫画がひとつもないしね!いや雑誌の優劣では無く単に好みの問題ですが。ていうよりむしろ対象年代なんだろうね。Flowersは24年組、ポスト24年組で育った世代向けだよなあ。(前身のプチフラワーは創刊から1990年くらいまでは購読してましたよ)

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コメント

Nyaさんのブログで「西炯子先生」の作品の紹介の記事が
あったので、ドキドキしながら
読ませて頂いたのですが、西炯子先生の作品はどれも素晴らしいですね!
初めて見知った方だったのですが知れて読めて良かったです!
残念ながら「三番町萩原屋の美人」は古本屋さんにも書店にも
全然扱ってなくて見れてないのですが
「STAYシリーズ」は何とかかき集めて読む事ができました!

「娚の一生」も今後の楽しみができました♪

投稿: きらり | 2009.07.25 00:39

きらりさん、コメントありがとうございます!

西先生の作品をきらりさんにお気に入っていただけて、紹介した甲斐がありました!よかったです~。

「三番町萩原屋の美人」は文庫版は、まだ版を重ねており、楽天などで電子コミック版も入手可能なようですので、機会がござましたら是非ご覧になってください。私は島津製作所創業者父子をモデルとした「自慢の息子」が大好きです。

投稿: nya | 2009.07.26 16:17

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