劇団☆新感線「蜉蝣峠」感想(ネタバレなし)
本日3/15(日)マチネ観劇。3/11プレビューで、3/13初日なんで、まだ5回目かあ。いろいろ前評判がアレなんで、「ああ、きっと私の苦手な方のクドカンテイストが強いんだー」と覚悟して赴いたら…
いいじゃんいいじゃんおっもしろいじゃん!ありですよいのうえさん、パンクいのうえ歌舞伎。さっすがクドカン。ここ一番では外してこないわー。むしろ朧の森では成し得なかった、いのうえ歌舞伎2.0(もはや陳腐ないいまわしだが)に行くとしたら、この方向が良くない?
ネタバレはないんだけど、どんどん感想長くなっていくのでたたみマス。これから見る方で情報いっさいいれたくない方はどうぞスルーしてくださいませ~。
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-なあんにも持たずに現れて、なあんにも持たずに消えちゃった-
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いやあ古ちんすごく格好良かった。「蜉蝣峠」の舞台の中心はうつろ。空っぽの器としての闇太郎。無垢の心は彼に向けられる周囲の感情をそのまま反射する。愛には愛を。信頼には信頼を。そして殺意には殺意を。つっつんもすげー良かった。着流しに刀を構えた姿はまるで吉原御免状。悪の誠さん。いや悪というより虚無感を噛み締めたアウトロー。滴るような艶の色男2人がときにはつるみ、ときには殺しあう。眼福眼福。
善も無く悪も無く、ただ人はそこに生きて死んで消える。カタルシスは無い。クドカンの描き出すドラマ無き無常観は、「華々しく舞台を盛り上げて、怒涛のように物語が展開し、やがて嵐が過ぎ去った後の寂寞感が劇場を呑み込む」かずき脚本とは方向性が全く違う。だがそれもありだ。共通点は何もかも過ぎ去った後の寂寞。いのうえ歌舞伎に顕著なそれは、かずきさんの生み出すドラマチックな脚本ありきと思ってた。でも違った。ぬるいコントで始まって、ゆるやかにゆるやかに物語は絶望にシフトし、やがて虚無に至る。物語の起伏が少なくともいのうえさんがコントとシリアスの場を自在に切り替えて飽きさせない。そしてその間も物語はひたすらに破滅に向かって滑り落ち続けるのだ。
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ま、なにはともあれ面白くて幸い。でもこれネタバレしちゃうとマジ興ざめだしなあ。特にアレですよアレ!もうびっくりしたした。クレジットされない役があって度肝を抜かれちゃうとだけいっておきましょう。
というわけで奥歯にものの挟まった感想で申し訳ないんだけど、それは回を追う毎にあきらかになっていくことでしょう(結局するんか)。乾いたバイオレンスと可愛らしい人物造型はクドカンのお得意で、それをやや強引に新感線芝居に仕立てちゃういのうえさんの演出手腕もリチャⅢとは全然ちがって冴える冴える。でもラストのアレはちょっと唐突だったかも。つなぎだけだと思うので、何か変えてくると見たね。あまり削る必要性は感じない。
高岡早紀ちゃんは可憐で良かったんだけど、今回のヒロインポジションは聖子さんでちょっと割をくっちゃったかな。もっと出来る人ということは大人計画の舞台で知っているので残念。というよりむしろヒロインはダブルりょう君かもねえ。二人ともすっげーかわいこちゃんなのよ。
で、歌もすげえ!もちろん作詞クドカン、作曲司さん、主題歌「ろまん街のうた」は巨乳まんだら帝国(略称巨まん)の教祖イコマノリユキ様だ!教祖は流しの太鼓たたき役で舞台にもでてるよん。「かげろふ」は「恋人達のゴム脳(これはシティボーイズですが)」を超える名曲。「ヤクザインヘブン」は笑いすぎで喘息の発作でた。あまりの素晴らしさに一幕終わって物販コーナーに走っていって「CDください!」といったら、今回CD化の予定ないと聞いてがびーん。な、なんか著作権的公序良俗的にマズかった?
映像の使い方は、IZO形式。IZOよりはまあ良いかなあ。でも多用しすぎな気もするし。ま、それもおいおい。
てなわけで次は20日!どれくらいかわってるかな?楽しみー。
P.S.そうそう粟根ヲタとしては、粟根さんにも触れなければ!かーっこよかったよう流石先生。いやあぜんぜん弱っちい役なんだけど、グッドルッキング!パンフのお姿もめちゃくちゃかっこいい。特に60ページの粟根さんは永久保存版です写メとって待ち受けにします! パンフの推薦人は、アニメ監督の中澤一登さん。「キル・ビル」アニメパートで有名な中澤監督ですが、私が彼を認識したのが、新感線役者をまるごと声優に起用した昨年の「Genius Party Beyond」。それで粟根さんと知り合ったのかなあと思ったら、何とそれ以前からの粟根ファンだったんだ!もう綺麗綺麗って連発して怪し..いや嬉しいったらありゃしない。監督がキャラデザやった「サムライチャンプルー」の仁は当時粟根ヲタの間で、まんま粟根さんだと囁かれていたのですが、やっぱ元ネタだったんですねえ。うむ那州先生の「魔法使いの娘」の無山といいサムライチャンプルー」の仁といい、原作舞台よりずっと格好よくなっちゃったアニメ「大江戸ロケット」の赤井といい、プロフェッショナルをも魅了する粟根さん。メディアミックスで粟根さんのお姿を享受できて有難いなあ嬉しいなあ。
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