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「リチャード三世」感想

新生赤坂ACTシアターで、いのうえさんあーんど古ちんvs沙翁のリチャ3観てきたよ!

もう混じりっけなしの100パーシェイクスピア!でちょっとびっくりしちゃったよ。ここまで直球勝負で来るからにゃあ、いのうえさんに勝利の採算あったんだろうと思うんだ。そりゃあ「メタル・マクベス」と「朧の森に棲む鬼」をあれだけ成功させたいのうえさんだもん。お題は悪の魅力のピカレスクロマンで「天保12年のシェイクスピア」でも取り上げたケレン味たーっぷりの「リチャード三世」。不世出の天才古ちんと組めばそりゃあすげーシェイクスピアが出現するんだろうなあとわくわくしてACTに赴いたら…

ど、どーしたのっいのうえさんあーんど古ちん。なんだかふつーのお芝居みちゃったよ!うーむいのうえさんを持ってしてもストレートで勝負すると沙翁に勝てねーってことか。おそるべしニナガワ!(違!)

あとは果てしなくぐだぐだネタバレなのでたたみます!

今回、割とぎりぎりに劇場に駆け込んだ。席についてもまだ恒例のジューダスがはじまってなかったのでちょっとほっとしたのも束の間、すぐにお芝居が始まったんでびっくり。そっかー、今回新感線じゃあないんだといまさら気がつく。前に新感線じゃあないいのうえ演出を観たのは、奇しくも同じ(でも仮設)の赤坂ACT「天保12年のシェイクスピア」。2002年だからもう7年前になるんだねえ。

いうわけで、舞台が終わってみると銀粉蝶さん演じるマーガレットの素晴らしさだけが印象に残ったシバイでした。らぶ銀粉蝶!

古ちんは…良かったんだけどさ、私たちの思ってる古ちんはもっとやれたと思うんだよね。うーんどーにも凡庸な印象でさ。いまいちー。

■ストーリー(公式サイトより)

15世紀イングランド。ランカスター家とヨーク家が王位継承を争う薔薇戦争は、エドワード四世(藤木 孝/久保酎吉)の即位と共にヨーク家天下の時を迎えていた。しかしその「平安」に飽き足らぬ男がいた。末弟のグロスター公リチャード(古田新太)である。醜悪な容姿をもって生まれたリチャードは「平安」を憎み、自ら悪党になることを望む。彼はまずは、“G”が頭文字の人間が、王位継承者を皆殺しにするという「予言」を流布、次兄クラレンス公ジョージ(若松武史)を幽閉し、刺客(川原正嗣/河野まさと)を送り込み殺害させる。

続いて、敵対するランカスター家先王の葬儀で悲しみに暮れる皇太子未亡人・アン(安田成美)の前にぬけぬけと姿を現す。アンは父と夫を殺したリチャードに侮蔑の言葉を浴びせる。しかし、アンはリチャードの巧みな甘言に騙され、彼との結婚を承諾してしまう。王妃エリザベス(久世星佳)とその兄リヴァース伯(天宮 良)、息子ドーセット侯(森本亮治)たちと、かねてから不仲のリチャードがいがみ合う中、その批判の矛先となった先王妃マーガレット(銀粉蝶)は、その場にいる人々に呪いの言葉をかける。エリザベス王妃には孤独な死を,ヘイスティングズ(山本 享)には不慮の死を,リチャードには味方に裏切られての死を。そしてバッキンガム(大森博史)にも,忠告が顧みられないと見ると,いつか悔いると告げる -

■感想

いやあ、もうなんだかギャグネタにもなってたけど、英王室には同じ名前多いよね。リチャードとかエドワードとかてんこもり。○○伯とか○○公ってつけないともうわからんわからん。てなわけでお芝居がはじまってしばらくはアタマの中の家系図と首っぴき。まあみんな親戚なんですが。親戚同士で血で血を洗う争いをしてたのが英王室の歴史なわけで。すんごいよねえ。

冒頭舞台にあらわれる古ちんは60~70年代のポップでサイケな「スウィンギング・ロンドン」の出で立ち(ちょっと汚れてる)。「スウィンギング・ロンドン」ファッションは私たちの年代は、ビートルズの「サージャント・ペパーズ」のジャケット、若い人には映画「オースティン・パワーズ」といえばわかりやすいよね。ロンドン発のポップでサイケなカルチャーだ。

しかし、なにより私は古ちん衣装のベルトのバックルがなぜかロンドン地下鉄「Underground」のマークだったのが気になって気になって。なんの意味があるのだ~!(これね

手元のボイス・レコーダー(か携帯?今回後列だったのでよくわからず)にぼそぼそと自分の悪事を語り始めるリチャード古ちん。今回小道具としてバイクあり、テレビあり、携帯あり、ネットブックあり、地下鉄ありのなんでもありありなんで。まあそれは別にどーでもいいんだ。別にあまり斬新でも効果的でもなかったしね。

あ、でも、今回はSHIROHの時のように、舞台上にモニター山積み。そのモニターに時にはリチャードの独白が流れたり、ワイドショー的に中継映像が流れたり、それなりにいろいろと。後半、この物語の唯一のえーもんリッチモンド伯(川久保拓司)が、リチャードに反旗を翻す際の演説中継映像字幕で「Change!」「Yes, I can.」がでたときは笑ったな。

役者さんはみな名優と呼ばれるレベルのベテラン俳優(のぞく安田さん→でもがんばってたと思う)で、その演技を堪能できるだけでも面白かったし、もとはとれたと思ったんだけどさ。いかんせん物語が転がらない。お芝居みてて思ったんだけど、リチャードってあまりもの考えてないキャラなんだよね。よく言われるように純粋悪。ヤミクモに王になるために姦計をめぐらし他人を罠にかけてのしあがっていくけど、その先のことなにも考えてない。だからそのあたりよく考えて作らないと、「ワルモノが口先三寸で王様になりました。でも人望が無かったのですぐ討たれて死にました」「だから何よ?」って思っちゃうのよ。「朧の森に棲む鬼」のライはそのあたりうまく書けてたんだよなあ。闇雲に権力を求めて駆け上がり憤怒の中に滅びていく。古ちんリチャードの最期はあっけなさすぎてそのあたりの機微が書けていないと思ったよ。

王家に生まれながら醜い容姿ゆえに母に疎まれ周囲を嫉みねじくれた心がアリジゴクの様に周囲を引きずり込み陥れしまいには自分もその穴に飲み込まれて消えていく。古ちんのリチャードは実はちっとも悪じゃあない。そっか、あくまでシェイクスピアの「リチャード三世」は素材なんだ。悪の極みとして描くか、哀れな傀儡として描くか、それは演出家のさじ加減しだいだ。いのうえさん、それに失敗しちゃったんだなあ。中途半端で自分の思想がはいってない。通常は演出家の意図を汲んでそれを何倍にも増幅させた姿を舞台に出現させることのできる名優古ちんも、その意図が弱ければもうどうしょうもない。

パンフの蜷川さんも、いのうえ古ちんシェイクスピアにめちゃめちゃエールを送ってたけど、これ観たら「ふっ、まだまだだな」って思ったろうな。まあまたがんばれいのうえさん。

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コメント

Nyaさん、こんにちは!ご無沙汰しております。
私も見て参りました、リチャード三世。

やはり同じ様な感想でいらっしゃるなと思って読ませて頂きました。私も、らぶ銀粉蝶!でしたよ。2幕の久世さん、銀さん、三田さんの3人のシーンに惚れましたもの。
古ちんのベルトのバックルには気づきませんでした。。。。しまった!

やはり、蜉蝣峠に期待でしょうかねぇ。。。

投稿: | 2009.02.01 17:09

おお、恵さん、コメントとトラバありがとうございます!

本当に銀粉蝶さん、久世さん、三田さんはすばらしかったですね~。後ほど、恵さんのブログにもおじゃまします!

いやあ蜉蝣峠のお稽古ももうはじまってるみたいで、面白そうで期待大ですよ!

投稿: nya | 2009.02.01 20:48

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