「冬の絵空」感想
世田谷パブリックシアターって家からDoor to Doorで30分かからない。いちばん近い劇場かも。おまけにキャロットタワーの中で足の便も良い。
というわけで、じゅんさん粟根さん生瀬さん目当てに行って来ましたよ「冬の絵空」。そしたら片桐さんとか中村まことさんとか伊達さんとか内田さんとかヤソチンとか前田さんとか、おまけにシンシンまで、いい男いっぱい芝居で眼福眼福。粟根さんの吉良は…まあ賑やかしですね。流石にうまいけど。伊達さんとXXって萌えないよう(;-;)
そしてここから先は、悪口とかネタバレになるのでたたみます。未見の人ならびに特に藤木さんファンの方は見ないでやってくれい!
てなわけで、犬!片桐さんのシロが可愛くってねえ。中越さんも声力があってたいへんによろしかった。
そして肝心の、藤木さんは、顔だけだったねえ。なにあの不恰好な助六。これが染とか海老蔵だったらと、ちょっと芝居中に意識が飛んじゃいましたよ。殺陣もひどいが、立ち姿もよろしくない。もちろん演技も台詞もきちんとこなしていたし、別に初舞台のいっぱいいっぱい感もないんだけど、あまりにも覇気が無い。生瀬橋本の芸達者に挟まれて、大変だったとは思うんだけどねえ。まあそのあたりの共演者との力の差も私の周囲の藤木ファンには目に入らなかったのだろう。あの芝居のどこにスタンディングオベーションの余地があるのだ。こんなに苦々しいカーテンコールは久しぶりだったよ。
その1点を除けば(大きすぎるけどね)、芝居にはおおむね満足。江戸幕府の力が磐石となった元禄繚乱の世。「忠臣蔵」というイベントを仕掛けることにより、これからの世を「忠義」で縛ろうとする天野屋。その手の内を知って踊らされまいとする大石とあえて踊らされるハンパモノの赤穂浪士がすれ違っていくさまがとても良い。
吃驚したのは、この「冬の絵空」は劇団そとばこまちが20年前初演してその後3回再演されている伝説の舞台で、脚本は当時の座付き作家(現フジテレビプロデューサー)小松純也さんが若干20歳(そとばは京大の学生劇団だからね)で書いたものだったということ。すげええ。20才の野田さんがメルス書いたのもすげえと思ったけど、20才でこの無常観がだせる小松さんも天才だよ!
難を言えば、スズカツ演出が平板だったね。もうちょっと全体的にメリハリが欲しかった。策士策に溺れ愕然とする天野屋と浅野。嵌められたと判っていても闇雲に滅びに向かってひた走り、最後は大石に牙を剥く赤穂浪士。このあたりの切羽詰り感が足りない。島原の乱の生き残りシロ(天草四郎?)の効果もイマイチだった。ラスト、大石に最後通牒を突きつけるシロには、もう少し閉塞感や不気味感が欲しかったし、片桐さんならそれできると思うんだよね。そとばこまちオリジナル版(生瀬さんの演出版もあるんだよね)を見てみたかったな。
あ、文句がもひとつあった。アクションクラブ殺陣指導なのにあのどーしょーもない殺陣はなんだあ!前田さんと武田さんしかよくなかった!じゅんさんの殺陣もどうかと思ったけど、相手がド素人の藤木さんでどうしようもなかったのかなあ。残念残念。
P.S.某所で見つけた1989年版キャスト。うわっ黄金配役。古ちんだったら宗十郎も納得だ!観たい~。どこかに映像はのこっていないのかのう。
大石内蔵助 : 生瀬勝久
天野屋利兵衛 : 山西惇
沢村宗十郎 : 古田新太
浅野内匠頭 : 升毅
堀部安兵衛 : 橋本じゅん
吉良上野介 : 桐山元一
清水一学: 粟根まこと
シロ : 織田誠次郎
おかる : みやなおこ
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