「影の棲む城」ぷち感想
アメリカSF・ファンタジー界の24年組(と私が勝手に呼んでいる)、L・M・ビジョルド女史の翻訳新刊、「影の棲む城」を読んだよ!これは五神教シリーズの第二作目で、前作「チャリオンの影」がすっごく面白かったのだ。
姫神・母神・御子神・父神・庶子神の五神を崇める国チャリオン宮廷を舞台に繰り広げられる魔術と陰謀と恋と冒険の物語。主人公はいい感じにへたれたおっさん騎士カザリル(35歳)。まあいろいろあって(はしょるな)、カザリルは我とわが身を犠牲にし、見事チャリオン宮廷にかかった呪いをとりのぞき、姫と王子の月下氷人となり、自身も十代のかわいいお嫁さんまで手に入れるのだ!
そんでもって、その続編だからとうぜんおっさんカザリルが主人公かと思いきや、今度は前作姫のお母さん、年増美人(40歳)のイスタ国太后が主人公。若い頃から悩まされてきた呪いも見事カザリルが払拭してくれたので、いっちょ気晴らしにとお供の屈強な男子2人と身軽な元気少女と食いしんぼ僧侶をつれて、巡礼の旅にでるというどこかで聞いたような漫遊記。しかしその旅は当然イベントもりだくさんで、中年お母さん暴れる暴れる。ひょんなことから立ち寄ったお隣の国の城に巣食う魔との戦いと神との交歓と恋と冒険の物語。
いやー面白かった良かったよ。読むと元気になる物語はいいね! 若い頃は老SF作家の書く、あきらかに自分をロールモデルにした老主人公が、若いもの同様に恋をしたりセックスをしたりするお話がすんげー浅ましい感じがしていやだったんだ。でも自分がその年になってみてはじめてわかる。40だろうが50だろうが、切ない恋に胸苛まれることもあるし、相思相愛ならラブラブハッピーだし、勿論性欲だって旺盛だ。若くて見目良い男子女子には思わず胸ときめくし、皺深い老人もプリティ、酸いも甘いも噛み分けた同世代はもちろんオールOK。ストライクゾーンがひろがるんですな。若い頃にはわかり得なかった感情だよね。もう一度ハインラインとか読み返さなくっちゃあ。
てなわけで、L・M・ビジョルド女史のおっさんおばさん主人公の恋と冒険の物語が大好きー。あ、そうそう、翻訳鍛冶先生のあとがきによれば、もうすぐ待望の「ヴォルコシガン・サーガ」の新刊、「コマール」がでるみたい!私は待ちきれなくって原語版で読んじゃったけどね。ふふふのふ、いよいよモテ男だけど女運悪いマイルズ殿下にも運命の人が!楽しみだ~。はやく~。
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コメント
nyaさん こんばんわ
早速「影の棲む城」読みました。地元では置いている本屋さんがなくて、Amazonで購入しました。(昔はもっと創元推理文庫の本置いてあったのに・・・ハヤカワ文庫も少ないです。)
「チャリオンの影」から読もうか悩んだんですが、おばさんが主人公ということで「影の棲む城」から読んでみることにしました。
「面白かった」という表現が一番です。(昼休みにも読んでいたので昼食食べそびれました。)
イスタ元気ですね。フェルダ、フォイ、リスついでにカティの若さ、青さもいいですね。おっさんおばさんの恋も良かったです。イスタはまだ40歳ですもの(若い若い)。
鍛冶靖子さんの翻訳も良かったです。最近、翻訳が気に入らなくて読まなくなるシリーズも多くって・・・
原著で読むには英語力がなく、原著で読めるnyaさんがうらやましいです。どうしてもストーリーが知りたいと読むんですが、ストーリー追うだけです。
巻末の広告で、バローズの火星シリーズを見つけました。これ、私のSFファンタジーのルーツなんですよ。今は面映くて読めませんですが・・・
> もう一度ハインラインとか読み返さなくっちゃあ。
私も本を探してみようかな?
また面白い小説、紹介してください。
投稿: wako | 2008.04.11 22:37
wakoさん、コメントありがとうございます!
おおっ、wakoさん、「影の棲む城」お読みになられたんですね~。お気にいっていただけて良かったです。そうですよねえ、「年寄りだから」とボヤきながら元気よく暴れるイスタ母さんまだ40歳なんですよ。若いじゃん!と突っ込みながら読みました。
鍛冶さんの翻訳は読みやすくて大好きです。翻訳にありがちな「隔靴掻痒」感がなく、ビジョルド世界にとてもなじんでいます。あ、もちろん私も原著を読むのはストーリーを追うだけですよ~。読みこなすなんてとてもとても。翻訳なくては数々の海外作品に親しめません。
そしてこのお話がお気にいっていただけたら、ぜひビジョルドの「ヴォルコシガン・サーガ」の「名誉のかけら」と「バラヤー内乱」をお試しください。妙齢のおばさん(若いんです!)が主人公の元気の出る冒険譚です。
ではでは、またいらしてくださいね~。
投稿: nya | 2008.04.12 06:42
nyaさん こんばんわ
初夏ですね。
仕事が忙しくなってきたというのに、この二週間、すっかりヴァルコシガンシリーズにはまってます。「名誉のかけら」から読み始め、マイケル君のシリーズにも入ってますが、まだ「the Vor Game」の途中です。年譜の順に長編から攻める予定にしていたのですが、女性が主人公なのも読んでみたくなり「遺伝子の使命」を買いましたが、まだ読めてません。次第にコーデリアが登場しなくなって悲しいです。
ビジョルド女史の作品は面白いですね。ヒューゴー賞をとりまくっているのもわかります。
小木曽綾子さんの翻訳も良かったです。
マイケル君はどうしてあんなに事件に巻き込まれ、死にかけ、ふられるんでしょう。
ミーハーな私としましてはレディー・ヴァルコシガンの登場が待ち望まれるのですが、ネタバレしていただけませんか?
黄金週間ですね。
私は暦どおりのお休みです。木曜日休みの土曜日仕事が普通なので来週は1日おきにお休みです。残りだけで時間がつぶれるかな?ミラー・ダンスとメモリーも買っておこうかな?とうれしい悲鳴をあげつつ、黄金週間に期待してます。
nyaさんも楽しい日々をお過ごしください。
投稿: wako | 2008.04.27 22:05
おおっ、wakoさん、コメントありがとうございます。
ヴォル越谷…もといヴォルコシガン・サーガお読みになったのですね。よございますでしょ?
ヴォル・ゲームといえば女マイルズ(性格悪い)キャヴィロちゃんがでてくるお話ですな~。私は結構好きです。
コーデリア母さまはなあ、シヴィル・キャンペーンでは結構活躍するんですけどね。これも次巻コマールの後です。あ、メモリーはいいですよ!私は戦士志願の次くらいに好きです。是非感想をお聞かせくださいね!
ではでは、良いゴールデン・ウイークをお過ごしくださいませ~。
投稿: nya | 2008.04.29 09:24