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「のだめカンタービレ」感想 Lesson 107

Lesson106の鬱ラストから1ヵ月半の定期休載期間を鬱々悶々として過ごしたのだめファンは多かったろう。そんな苦悩をすこーんと吹き飛ばすかのようなラブ展開に脳天直撃。いやー堪能したした。「のだめさん」ステキー。

例によって私の感想はネタバレには躊躇がありませんので、単行本派の方はご注意くださいませ~。 

Lesson106の圧縮あらすじ : 恩師ヴィエラ先生と運命の再会を果たした千秋は、なんとのだめのサロン・コンサート・デビューをすっぽかして先生のリハについていってしまう。しかしのだめは千秋不在のサロコンを見事に成功させたのであった。ドレスはハレツしたけど。コンサート後のパーティーで参列者の賞賛を受けるが、主催ランベール夫人の「お勉強は楽しい?」の問いに「楽しいですヨ」と目そらしで答え、夜の街を咆哮しながら駆け抜けるのであった。(すげー省略)

のだめ物語には恋も音楽も満願成就的な大団円が用意されていると確信している楽天的な私ではあるけれど、単行本にして15巻以降の波乱含みのシリアス展開には、さすがに危惧を隠せなかった。特にLesson102の別居(同居じゃねー!)以降、すれ違いが続き、前回Lesson106でとうとう千秋がのだめのサロコンデビューをすっぽかすに至っては、ついに試練としての別離フラグが立ったのかと思ってしまったよ。

だって引越しの件だってぎりぎりまで言い出せなかったヘタレな千秋じゃん。「ヴィエラ先生に13年ぶりに逢って、リハに誘われたのでコンサートをすっぽかしてついていきました。ごめんなさい」と明快に謝れるとは思えない。仮に謝ったとしてもいつものように言葉が足りなくて、のだめとの間はきまずくなるんじゃないかしらんなんて思ってたんだけど - 。

なんと!謝ったよ。あの俺様王子様千秋様が。(ベッドの上に)正座して平謝りですヨ。

すげー! えらいじゃん千秋、見直したよ!

それにしても、サロコンの夜遅く、したたか酔ってのだめの部屋を訪れ、合鍵で入り込み、ワンピースも脱がずにふて寝しているのだめのベッドに倒れこんで「のだめさん……」「すみませんでした」とふとんの上から謝る千秋の姿は、「はじめての結婚記念日。妻との水入らずディナーを悪友との飲み会ですっぽかし、夜半に帰宅して平謝りに謝る夫の図」以外のナニモノでもない。俺様王子様千秋様も結婚すれば(してねー!)ただの人ってことですな。いやはやなんとも。

そんな千秋を「おすわり」とベッドの上で正座させ、あまつさえ「お手」と犬プレイで遊ぶのだめは、夫を手のひらの上でころころ転がす余裕な妻のオモムキでなんとも微笑ましい。平謝りに謝る犬千秋の尻尾が、「正座」ではうなだれて、「お手」ではちぎれんばかりに振られているのが見えてしまったよ。描かれてないけどさ。

「で」「なんのお仕事だったんですか?」 と尋ねるのだめに真摯にヴィエラ先生との邂逅を話す千秋。自分のコンサートに来る途中で地下鉄のストにあい、代わりに乗ったバスで13年ぶりに恩師に出逢ったのだ、と。その偶然の僥倖を「先輩 また呼ばれちゃったんですかね!?」 と理解するのだめ。

これはまさに、千秋の飛行機恐怖症をお手製催眠術で解いた際の「神様が呼んでるから行かなきゃ」の台詞と呼応する。音楽の神に導かれた敬虔なしもべたる千秋は然るべき時に然るべき運命に遭遇する。のだめの役回りはさしずめその神の導きを提示する使徒といったところか。あ、天使か。「あへー」ってね(Lesson 102参照)。

次のくだりでは、のだめがサロコンに何を期待して失望したかが語られる。いわく「次に繋がるものがなにもなくて」「ガッカリしました」と。思った以上にシンプルだったのだめの皮算用。サン・マロのリサイタルの後にサロコンの依頼が来たように、「他のコンサートを依頼される」とか「偉い人に見初められてデビューが決まる」とか。そんな甘い(よなあ)考えを聞かされた千秋はとたんに俺様に戻り、足を崩して「相変わらず発想がごろ太だな!」「だいたいそういう下心がある時はそういう話はこねーんだよ(あの漫画ほんと子供によくねーな)」 とのだめを諭すも、のだめに「誰が足を崩していいって言いました?」と一喝されてしょぼんと正座しなおす。あーもーかわいいなーふたりとも。

その後はほんとにラブラブなピロートーク。服を着ているとはいえ、二人のこんなシーンはいままでの作品の傾向からいってまず見られないと思っていたのでちょっとびっくり。あえてこれを描いたということは、ラブシーンでありながらこれからの二人のすすむ道や関係性の変化を示しているからだろう。

のだめの下腹(わー!)をなでながら、ヴィエラ先生の公演演目「マーラーの2番」の由来である「聖なる受胎」エピソードを語る千秋。一見セクシャルなシーンだが、そんな雰囲気は微塵もなく、むしろ千秋がのだめに心の内を完全に晒しているのだということがわかる。ま、酔っ払って敷居が低くなってるからだろうけどさ。そのままのだめに寄り添い手を重ねながら眠りにつく千秋。それを見守るのだめの表情がやけに大人びていて、二人の関係のイニシアチブを握っているのが千秋ではなくのだめということが伺える。

千秋モノローグ「はじめてのだめに悪いと思った」には「はじめてかよ!」と全読者からの突込みが入ることウケアイですな。

翌朝、朝食のオムレツを作る千秋は、これからヴィエラ先生が音楽監督をしているオペラ座で勉強をするため、時々イタリアにも行くと語り、さらに「ますます会えない時間で愛をはぐくみたいと?」と考え込むのだめに追い討ちをかけるようにウィルトール・オケでRuiと共演する予定を告げる。何気にショックを受けている(納豆ご飯を口に運んだまま止まっている)のだめの携帯が鳴る。「ロベールさん!」。 ランベール家の執事さんが、昨夜ののだめを心配して電話をかけてくれたのだ。「ジッパーをあげてもらった」だの「ブラジャーをみせた」だの意味深な会話に今度は千秋がショックを受ける番。というか執事さん良い人だー。そこへ追い討ちをかけるように(わはは)リュカがのだめの登校のお誘いに。朝食(ごはん・納豆・オムレツ)をホイルにくるんでのだめ弁当(!)にして「じゃあ先輩」「お元気で!」と元気よく別れを告げるのだめをあわてて引き止めて、翌日のヴィエラ先生のコンサートに誘った千秋は瀬戸際ナイスフォロー。いやマジに瀬戸際よ。

リュカとのだめを窓から見送る千秋は、リュカが子供なのにほっとするも、そんなことで安心できる立場ではないことを十分に自覚している(ロベールさん知らないし)。心をよぎるのは彩子さんに愛想を尽かされた時のこと。客観的に見て、このまま忙しいを理由にのだめのケアを怠れば容易に見捨てられることを自覚しているのは偉いな。それってつまりのだめに見捨てられたくないってことだからね。いや実に素直な千秋。成長が伺えて嬉しい限り。

一方登校中ののだめは弁当の納豆でメトロ内に異臭騒ぎを起こしつつ、さっきの元気が嘘のような沈んだ面持ちで、「先輩のバカ」「全部…仕方ないことじゃないデスか」 とひとりごちる。次のコマが糸をひいて納豆が落ちる絵だが、この流れは、マラドーナ・コンクールで選に漏れたのだめが、千秋の留学への誘いを断ったシーン 「それでも……」「だめだったじゃないですか……」 - 糸が切れてペトリューシュカの人形が落ちる  - の反復か? この後のシーンでの千秋の台詞とあいまってやけに対照的に見えるのだが。

このふたりは、完全に理解しあわないまでも、互いをたいそう思いやっているのだ。言葉が足りなかったり想いが先走ったり俺様だったり変態だったりするけれど、実は聡明な若いカップルのある種理想的な恋愛を描いているんだなあと思ったよ。

そしてヴィエラ先生の「サルヴァトーレ・リッピの追悼公演」。リッピ自身がやるはずだったマーラー交響曲第2番「復活」を振る先生。その詩「おまえはなにも失いはしない/おまえが憧れていた物/愛した物/闘い得た物はすべておまえのものなのだ」。偉大な音楽に感銘を受け涙ぐむ二人。 「リッピからヴィエラ先生に」「ヴィエラ先生はオレに」「そしてオレは - 」と寄り添うのだめを優しく見やる千秋。

お互いを認め合い、励し合い、与え合い、ときには諍いを起こしながら成熟していく二つの大きな才能。まだまだ若く未熟ではあるけれど、出逢って4年、いままさに「はじまりの終わり」に向かってすすむ彼らは、この先どんな困難があってもともに得たものを失うことなく歩んでいくことができるだろうと確信した。

コンサート終了後、音楽に感動して泣きながら「みんなズルイです……」「人間的に問題があってもすぐ音楽で帳消し……」と嘆くのだめに千秋の「おまえがその最たるものじゃねーか……」 というつっこみがはいる。いや全くその通りというか千秋含め登場人物全員が該当するというか。劇場内のこのシーンではさりげなく千秋がのだめの分のコートを持っている姿に萌え。

帰り道、のだめは産気づいたと千秋を仰天させる。勿論さきの「受胎」シーンを受けての言葉で、その真意はヴィエラ先生の音楽にインスパイアされ、一刻も早くピアノが弾きたくなったと言うことだが。「それもいいな」オレのためのコンサートかと悦に入る千秋に、「先輩はのだめサロン出入り禁止ですヨ!」とすげなく断り「人を憎んで罪を憎まず」 と告げるのだめ。この言葉は一見ギャグにみえて非常に暗喩的だ。

罪という言葉は拡大解釈すれば「人の行った」ことである。すなわち千秋が自身の音楽を追求するために、別居したりヴィエラ先生を優先させたりRuiと共演することはすべて「仕方のないこと」で、のだめは赦すしかない。ただしそれはあくまで音楽のしもべとしての立場であり、恋する女性の立場としてはやはり寂しかったり哀しかったりすること。だから「罪を行った人」であるところの千秋に対しては「憎むニアリーイコール恨み言めいたことを言ってしまう」ということではないか。まあ穿ちすぎた解釈ではないかと自分でも思うんですが。

そして千秋は思う。「そうだ」「こうやっていろいろなものを見て」「感じて」「一緒に - 」 この台詞は前述の千秋がのだめを留学に誘うシーンの台詞の反復だ。しかし今回誘うのは欧州ではなくお隣「ウィーン」への一泊旅行。リッピの死にショックを受けているミルヒーを励ますためと思われる。しかしミルヒー、今回エリーゼの手配した医師団、チームシュトレーゼマンによって全くの健康であることが証明されているが。

さて、ウィーンで待ち受けるのは、のだめをマンガ(マンガじゃんという突っ込みは却下)の様にデビューさせてくれる魔法使いミルヒーか、それともウィーン在住の雅之がらみで何かあるのか、はたまたラスト登場の清良がらみで峰までやってくるのか(そしたらうれしー)。解決されていない二人の問題に絡むイベントが発生するに違いないと踏んでいるのだが。ますます目が離せないなあ。次号が楽しみ!

P.S.そうだ表紙とふろく!のだめにかしずいて靴をはかせる執事プレイ中の千秋、なにこのピンポイントなストライクゾーン!クリアファイルのイラストも素敵なフォーマルカップルでもう何のご褒美かと思いましたヨ。

過去感想一覧

Lesson 106
Lesson 105
Lesson 104
Lesson 103
Lesson 102
Lesson 101

コミック17巻

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