「のだめカンタービレ」感想 Lesson 105
「天才で美人でスタイルがよくってモテモテなのに身持ちが硬くて、料理と掃除に家事全般が得意で変態でズボラな主人公にベタ惚れでかいがいしく面倒を見るんだよ」と夫にいったら「それなんてエロゲのヒロイン?」と聞かれたよ。「いや千秋先輩」「のだめかよ!」
だってヒロインじゃん千秋。いちばんお色気シーン多いし(寝相もサイコー)
てなわけで本日発売のKiss掲載のLesson105はいよいよ第三楽章大詰めで一挙に物語がうごきだす。巨匠リッピの訃報。ミルヒー同門のライバルにしてヴィエラ先生の師であるリッピの死にショックを受けるシュトレーゼマン。代振りで至急パリに駆けつけるヴィエラ先生。懐かしいR☆Sオケのメンバー(峰~真澄ちゃん~)も顔をみせて「いやだなもうすぐ終わりだ」感がいやおうなしに高まるよ。
そんな転がり始めた物語を背景に今回のお題はのだめのサロンコンサト準備。本番を控えて練習に余念が無いのだめ。アパルトマンの仲間たちの会話(ユンロンの嫉妬がかわいい!)から、のだめのピアノレベルが既に学生の域を超えていること、のだめがマルレ常任の千秋のパートナーとして社会的に認知されていることが語られる。一方千秋はエリーゼよりRuiとのコンチェルトでウィルトール響の客演依頼を受ける。それがRuiの横槍による情実絡みであったとしてもマルレより格上のウィルトールとの客演はチャンスと迷い無く依頼を受ける千秋のプロ意識が頼もしい。
一方こちらはヒヨコののだめ。ランベール家の執事相手にサロコンにかける意気込みを語る。コンクールで客観的な結果を出せない以上、いまの自分の力を披露するのはコンサートの場しかない。しかしその動機が「千秋先輩をギャボンといわせたい」というのはちょっといただけない。そんな動機はオクレール先生の望んだものではないだろう。のだめの成長が完全でないことを伺わせこの先の展開に一抹の不安を漂わせる。
案の定、千秋はサロコンに向かう途中で突然の鉄道スト(多いだろうなあパリ)に巻き込まれ、代替輸送のバスの中で焦っていた。そのバスの中での偶然のヴィエラ先生との再会。13年ぶりのあたたかな抱擁。子供に還ったかのような表情でヴィエラ先生に言葉も無く抱きつく千秋の感動が胸を打つ。しかし千秋は間に合うのか!のだめ(の化粧)は大丈夫なのか!無事サロコンの幕は開くのか!どーするどーなる以下次号でひっぱるひっぱる。
ま、ここが正念場だ。ふんばれのだめ。
よく知られていることだが、「のだめカンタービレ」の作品としての顕著な特徴は3つ。交響楽を模した四楽章形式であること。のだめの心中は一切語られず千秋のモノローグで話がすすむこと。そしてエピソードの反復だ。千秋と峰とミルヒーの登場シーンが同じカット割であったり、オクレール先生のRuiへの料理レッスンがのだめのコンヴァト初回レッスンの台詞の反復だったり、その他さまざまなエピソード群が交響楽における主題群のようにさまざまな形で反復され印象を深めている。
まだ確定ではないが、サロコンの千秋遅刻も、おそらく千秋ベト4の回にのだめが遅刻したエピソードの反復と思われる。すると千秋が会場の雅之を見て動揺し、失敗したように、のだめにも何らかの失敗の仕掛けが用意されているのであろうか。「(雅之に)いいところを見せなければ」と思って先走った千秋と「「千秋先輩をギャボンといわせたい」と思うのだめは見事な相似形だ。だからこそのだめは千秋が「(自分が千秋と共演するのが夢だったように)お父さんと共演するのが夢だったんですね」と思ったのだろう。
Lesson90~100あたりが千秋受難と逡巡と成長の回(=千秋カンタービレ)であったように、これからのだめにもプロに至るまでの試練があるのだろうか。ただ、内に篭る千秋と違い「いつもひとりで旅をして帰ってくる」のだめなので、それほど鬱展開にはならないだろうと半ば願望で思ってるけどね。
まあ、それは次回のお楽しみ。そろそろ第四楽章がはじまるし、のだめサロコン成功とヴィエラ先生との邂逅(=ピアニストとしての大飛躍への足がかり)で第三楽章を締めくくって、第四楽章は思い切った場面転換、たとえばすっかりプロとなった二人が日本に凱旋なんてあればいいなあ、あへーとか妄想しているよ。
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