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「のだめカンタービレ」感想 Lesson 106

うわあたいへんだ。第三楽章の〆を前にして、前回から奔流のように流れ始めた物語を堰きとめる術もなく。

例によって私の感想はネタバレには躊躇がありませんので、単行本派の方はご注意くださいませ~。 

まさか千秋がサロコンをすっぽかす展開になるとは思わなかった。してみると雅之との再会とベト4のしくじりは千秋の心をそれほどまでに抉っていたのか。

雅之によって傷つけられ、のだめによって癒されることのなかったその傷心を、父の代替であるヴィエラ先生との邂逅で埋めるつもりなのか。前回、Ruiとの共演オファーを二つ返事で引き受けた千秋は立派なプロの顔をしていたが、のだめに心の中であやまりながらもヴィエラ先生についていく千秋の表情はまだどこか幼い。そこにあるのはマエストロのリハに同席できる千載一遇のチャンスを得たというプロ意識からではなく、ただ「傷ついた心を慰めて欲しい」子供の動機だったのではないか。

一方サロコンのだめ。ドレスはハレツ寸前っつーか破裂。サン・マロのときも思ったんだけど、家で試着してから持って来いよ..、いやお約束ギャグだとわかってはいるけどな。コンサートがはじまっても一向に来ない千秋。そして急用ができていけない旨のメール。(のだめの遅刻メールエピの変奏になるのだろう)

それでものだめは平常心でピアノを弾き、サロコンの観客を魅了する。でも「こんなことくらいでいちいち動揺してたら」「プロにはなれませんよね」「のだめは平気デス」「千秋真一のひとりやふたり」は自分自身に言い聞かせているように思える。

コンサートは大成功。観客の絶賛を受け営業活動に余念のないのだめ(えらい!)。それでもランベール夫人の「今、パリでお勉強していて楽しい?」旨の問いには、目そらしで「はい、楽しいですよ」と答えてしまうのだ。

ああ、ノクターンのLesson101の「先輩絶対来てくださいね(はぁと)」「うん,,,」「行くよ」がこんな悲しい場面の伏線になっているとは思わなかった。とするとそれに続く「のだめもまた先輩のコンサトは必ず行くし」♪「変わりませんね!」「これからもふたりは(はぁと)」は真逆になって二人の関係がこれから大転回を迎えるということになるのかぁ(嘆息)。

出逢ってからはじめて離れた二人が変わっていく。それは成長の証なのか。それとも幼い恋の終焉か。

千秋先輩を「ギャボンといわせ」ようと半端な意気込みでサロンコンサートに臨んだのだめは千秋すっぽかしという見事なしっぺ返しをくらう。もちろんもともと天才な上に、オクレール先生の的確な指導があり、更に努力も怠らない、どんな心境であろうと見事なピアノの技は冴え渡り聴衆を魅了する - しかしそれはのだめののぞんだ成功の姿だったのか。

ひとりで楽しくピアノを弾いていた少女が、不遇の天才に出会い - 恋をして、彼の背を押し世界へ羽ばたかせ、自分もその後を追いました - いまも二人はパリで楽しく暮らしています。めでたしめでたし - しかし物語は続く。よりシビアによりリアルに。いみじくも、大川の干潟でのだめ父辰男が千秋に「プロのピアニストになるっていうのはただ楽しく弾けばいいってもんじゃないだろう?」と問うたように。のだめは今はじめてピアノを追求することの厳しさと孤独を味わっているはずだ。

たしかにのだめは千秋の背を押し、世界に出した。ただしその後の千秋は自力で努力し、成功の足がかりをつかみさらに先へ先へと走っている。同様にのだめにとっての千秋もただ彼女を「ひっぱりあげる」装置でしかなかった。これは二人が恋人であるということとは全く次元の異なる視点だ。心情的に千秋に依存する部分のある彼女はまだまだ「べーべちゃん」で、そういった意味では彼女は音楽に真剣には向き合えてはいなのだろう。

ラストの夜のパリを「むきゃあぁぁ」と咆哮しながら走るのだめの心にあるのは空回りした自分への憐憫か、それともさらなる戦いに挑むための雄叫びか。

それにしても半端に愛情をかけておいて自分がいっぱいいっぱいになったら突き放す。いまの千秋はかつての雅之の行動をなぞっている様にみえる。勿論のだめは子供ではなく立派な大人だけどね。一足先にプロになった千秋もまた解決されない問題を抱えているということだ。二人が真の意味でのゴールデン・ペアになるにはまだまだハードルが多い。それは終楽章で解決されるのか。終楽章が二人の課題の解決と「分け」られた関係への再構築ならば、その前の一時的な別離はあるかもしれないとも思った。

いずれにせよ、雅之がとった家族を棄てるという行動とその結果としての「悲しいピアノ」が千秋とのだめの今後の課題解決への大きなキーとなることは間違いがない。

- さあどうしようこの先がいっさい予想できなくなった。私は「恋するピアノ派」(すみません言ってみたかっただけです)なので、千秋とのだめのラブな展開が嬉しいんだけど、二ノ宮先生が二人を「千尋の谷に突き落とす」つもりならもう腹くくってこの物語についていくしかない。若く才能に溢れた彼らが苦労すればしただけ、黄金の果実を手にすることができると信じてるからね。ワクテカしながら連載再開の5月を待ってます~。あ、でもときどきちょっとは萌えを~(懲りてない)

P.S. あ、今回の敢闘賞はランベール家の執事さん。のだめのメイク直しから破れドレスのリカバリー、心のケアまでもうばっちりで惚れました~。あとバッハのイタリア協奏曲は大好きなので弾いてくれてうれしかったな。さぞかし超絶な速さで..ああ、のだめの演奏が聴きたいよう。

過去感想一覧

Lesson 105
Lesson 104
Lesson 103
Lesson 102
Lesson 101

コミック17巻

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受信: 2007.03.27 15:27

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