ドラマ「のだめカンタービレ」最終回感想
わー光陰矢の如くひとっとびってな感じでとうとうXデイが来てしまったよ最終回。泣いても笑ってもこれ限り。
千秋とのだめとともに駆け抜けた三ヶ月間は、彼らの送る青春をほんのつかの間追体験させてもらった気分。騒いで悩んで笑って泣いて、根拠もないのに自分の可能性を信じていて、大好きな恋人と同じ高みを目指してそこへ駆け上がれることを確信していた - 年をとって大分草臥れてしまったけれど、そんなコドモの頃の想いはいまも心の中で灯台のように私の行く先を照らし続けている。
ああ、ほんとうに泣いてるよ私。お別れするのは悲しいけれど、不世出の名作ドラマに出会えたことが嬉しくてしょうがないや。ありがとう、ほんとうにありがとう。疑いも無く近年稀に見る最高のクオリティ。私はドラマの「のだめカンタービレ」を愛しています。
以降、最終回のためもうネタバレの心配はありませんが、果てしなくタワゴトが続いていくだけなのでたたみます。
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感想いきマスよ。「ラー油~レディ?」(辰男さんのこの台詞があるとは!)
オンエアに先駆けること中三日で撮った大川ロケ。そしてオンエア1時間前まで編集していたというサントリーホールシーン、韓流ドラマなみのタイトなスケジュールで果たして間に合うのか最終回!どーするどーなるって..いやそれは話の本筋に関係ないですからっ!
てなわけで大川シーン。最終回にして初登場ののだめファミリー。辰男お父さんは演劇人岩松了さんでママ・ヨーコは何と宮崎美子さん。おそらく家族全員に九州出身役者さんを配していて、大川弁がおそろしく板についている。暖かな家族団らんの中の失意のだめの空しい表情 - しかしコンクルに破れ萎縮してしまった彼女の心は故郷大川の町を歩くうちにゆっくりと癒されていく - 川べりにすわりシューベルトのピアソナを口笛で吹くのだめ。彼女の心をよぎるのはコンクールで得た観衆の拍手。そしてピアノ(故郷でもグランド..どんな金持ちだよって、きっとこの部屋は東京のお部屋のセット組み換えだろうからやむなしだね)に触れ、奏で、祖母との会話の中でようやく本来の自分を取り戻す。徐々に開放されていく樹里ちゃんのだめの表情演技が素晴らしい。
故郷でセルフヒーリングを続けるのだめ。一方千秋は東京で自分が渡欧した後のR☆Sの指揮者を佐久間に手配してもらっていた。そればかりではなく渡欧後の身の立て方までアドバイスしてくれる佐久間に千秋は問う。なぜこんなに良くしてくれるのかと。彼は言う「歴史に名を残す音楽家には才能だけじゃなく人との大事な出会いがあるものさ。僕もそういう人間のひとりになりたいんだよ」 ミッチーの佐久間は最高でした。
R☆Sのラストコンサートを前にした宴会中、千秋は皆に次期指揮者の名を告げる。若手ホープ松田幸久(名前だけの登場で残念!)の起用に喜ぶメンバー。ようやく自分の日本での役割を終えたと安堵する千秋。あとは渡欧の準備だけ(あ、コンサトがあったか) - いや違う、そこにはのだめがいない - 彼を救った懐中時計が何かを訴え続ける。
「自由に楽しくピアノを弾いて何が悪いんデスか!」回想ののだめに答える千秋「いいも悪いもそれじゃあ俺が聞けなくなるじゃあないか!」。佐久間の言葉が心をよぎる - 歴史に名を残す音楽家には - 「くそっ、なんで俺がそんな人間にならなきゃいけないんだ!」タクシーに飛び乗る千秋。のだめを迎えに行くときまで俺様をくずさないんだね..(涙)
そしてはじまる大川エピソード、新幹線プリごろた弁当おまけのストラップ、思い出し激怒、タクシー、「佐賀じゃねーか!」、アイスムクーリまで網羅していただいて原作厨としてもう何もいうことはありません。そうしてのだめの電話。土手を歩く彼女とすれ違う千秋の乗ったタクシーのスローモーションが美しい。
大川ハグも最初は千秋イキオイ良過ぎって思ったけど、原作の視点を考えるとあれは絶対駆け寄っているので、カット割り含めてそのままと思ってさしつかえないのでしょう。身長180cm超の男子に駆け寄って抱擁されたらそれはもうタックルだよ....。
夕焼けに包まれた大川ハグ - いいなあ。やっぱ「メリークリスマス」だったね。BGMもガーシュインで思いっきりロマンチックにもりあげといて船上からのパパ辰男の一括「なんばしよっとかー!」「あへー」で落とす。ああ、やっぱのだめ大好きだ。あ、お船にはちゃんとハートマークついてたね。
留学するので「老後のたくわえをだしてくだサイ」(おそろしい娘..)とちゃっかり言うのだめに、キレる家族。ヨーコ「海苔の機械の爆発してからに!」まであったのがすごい。そしてうっかり家族公認の中になる千秋 - 思いっきり後悔してますねそうでしょうとも。これが一生の不覚ってやつだよ。
のだめの留学先はパリの国立音楽院。一方千秋はプラハに行くことを考えている。「そこはガッコが終わったら電車でご飯食べにいける距離ですか?」のんきに問うのだめに「なわけねーだろー!」と地図までだして解説してくれてありがとう。一緒に住もう(=寄生しよう)と迫るのだめに嫌がる千秋。「じゃあ先輩なんでここにきたんデスか?」(ほんとうに何でなんだ...)「ふ、福岡ダイエーホークスの応援に(目そらし)」「むきゃー、ソフトバンクですよ!」のだめ、ナイスフォロー原作。
故郷で無為に過ごしたためすっかり指のなまったのだめに「東京帰って特訓だー!」「むきゃー!」と連れ帰ろうとする千秋を止めて二人を干潟に連れ出す父 - ってこの風景、原作まんまなんですが。原作と同じ構図で干潟を撮るその根性に脱帽。天気も素晴らしく良くって、幸運に恵まれた大川ロケだったんだなあと感激。
「娘を頼むってのはやめてください」のシーンはすごく好き。一見のんきなパパ辰男だけど、早熟な天才少女だった娘に心の傷を負わせてしまったという深い後悔を抱いていた。しかし、回想のヨーコママ..キュートで最高!
「プロのピアニストになるっていうのは、ただ楽しく弾けばいいってもんじゃないだろう?」と問う父に「大丈夫ですよ、それでもあいつはピアノを弾いてるじゃないですか」「僕はあいつのピアノがすごく好きなんですよ」。俺様王子様千秋様にこういわれて落ちない親がいるだろうか。感激して「息子よー」と抱きつく辰男パパ。父親まで篭絡してしまう千秋おそるべし!
「しんいちくんのばかー」「誰が馬鹿だ」このやりとりは作中いちばん好きだったりするので拾ってくれてありがとう。
いつの間にやら父にのだめ家に連れ戻されてふたたび宴会。圧巻は鼻息あらいヨーコの採寸ショー。のだめも「フォーマルですよ、フォーマル!」とけしかける。宮崎美子さんは最高のコメディエンヌです!変態のだめ母ヨーコになりきってるよ!かくして千秋の欧州デビューのフォーマルドレスシャツはモードサロンヨーコ製になったのでありました。あまりの(セクハラ?)扱いに「俺は絶対パリへは行かないっ!」と誓う千秋。
一方その頃千秋ママ征子さんの陰謀により、千秋渡欧先はプラハからパリへと変更されていたのでありました(ひで~)。ってここで彩子さんを使うのはどうかと思うのよ。彩子さんはやっぱ千秋への未練をコシファントッテで昇華して美しく退場して欲しかったなあ。三善家が出てこなくって、千秋が溺愛するいとこの由衣子ちゃんの役どころを彩子さんにあてちゃった以上しょうがないんだけどね。
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千秋のだめ大川大団円を経て、舞台はサントリーホールのクリスマスコンサートへ。
サントリーホールは大きくて立派ですごいなあ。スポンサードはかくあるべしって協賛の仕方で素晴らしいよねサントリーさん。もちろん私ものだめLiveのCDを買ってエキストラに応募したんだけど、思いっきり外れましたよ(涙)。観覧できた人は一生の思い出だよねー。
コンサトのリハーサルを見ようとしたのだめを「そんなヒマあったら練習しろ!」と会場の外へ放り投げて千秋がひとこと「パリで待ってるからな」 いやいやいや最後まで見事なツンデレで。
そして「カルメン幻想曲」清良が美しい~、バイオリンが見事!素人なんであのボウイングとポジショニングにまったく違和感を感じませんでしたよ。まあ、それは峰も真澄ちゃんもくろきんもさくらちゃんも菊地君も同じ。みんなよく覚えたよね~。のだめのキモは主要登場人物がみな演奏者で、楽器演奏がキャラクターづけの重要な因子になっていること。スタッフとキャストはその重要性をちゃんと理解して、ハンパじゃない労力をかけてドラマをつくりあげていったんだ。そのコストと労力はちゃんと映像に結実している。
いよいよラスト、ベト7前の楽屋でオケメンバーのエール交換。憶測だけど涙目の玉木千秋以下皆、ここでは半分素に戻ってるのではないか。本来ならばそれはNGだけど、かけだしの若い役者さんたちが、力をあわせてハードな撮影を乗り切り素晴らしいドラマをつくりあげてきたその連帯感と満足感が画面から伝わってくるような熱い瞬間。本当に素晴らしい演技をありがとう。皆ここからさらに大きく羽ばたいていくことを願わずにはいられない。
そして千秋は力強く言う - さあ、楽しい音楽の時間だ!
荘厳なホール、満員の観客。渾身の力を込めて千秋は最後のオケを振る。その心によぎるのは、のだめと出会い、仲間を得て、海外への足がかりを得た自分と、オケのメンバーと -
そう、千秋の見る先にはいつだってのだめがいる、そして二人で遠い未来に向かって走るのだ。
MUSIQUE DE GLORIA!
BRAVO!
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以前「タイガー&ドラゴン」(これもよいドラマでした~)の最終回の感想で私は書いた。良い物語は人の心に作用してそれが終わったあともずっとずっと登場人物が世界のどこかに居るような気分にさせてくれるってね。のだめと千秋は今日もパリの空の下、壁にぶちあたって悩んだり、失敗したり、立ち直ったり、喧嘩したり、ラブになったりしながら音楽家を目指してがんばってるに違いない...ってそりゃあ原作まだ続いてますから! いやいやいや彼らだけでなく、海外のくろきんや清良、菊地君に木村君、日本に残った峰と峰パパにだって勿論物語は続いているんだ。登場人物すべてが愛おしく、彼らの未来に幸あれと願う -そんな気分にさせてくれたのは原作を最大限リスペクトして、よいお仕事をしたスタッフとキャストの力。奇跡のようなコラボレーションをありがとう!上野のだめと玉木千秋は永遠デス!
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第三話感想
第四話感想
第五話感想
第六話感想
第七話感想
第八話感想
第九話感想
第十話感想
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エピ予想添削。- []は順番違い/登場回数予想違い、( )は新規追加
11.[のだめ実家に引きこもる]、[千秋佐久間と欧州デビュープラン作成]、[うちあげ宴会]、千秋のだめを迎えに大川へ、のだめ失意の日々も自力で立ち直り留学決意、大川ハグ、のだめ実家で千秋と公認の仲に、征子ママの陰謀で千秋のだめとパリまたお隣同士、[千秋のR☆Sでラストコンサート大成功]、卒業大団円
■以降蛇足のタワゴト
視聴率が良いだけに、願望のように続編やらスペシャルやら映画化の噂が乱れ飛んでいるけれどそれはどうかしら。通常のドラマだったらそれもありだろうけれど、原作を丁寧に映像化したのが成功要因のこの作品だから、テレビオリジナルの展開はありえないし、原作者の許諾もないでしょう。だとしたら原作どおりのパリ編だけどそもそもまだ完結してない上、主要な登場人物がほぼ外国人、会話はフランス語という設定は漫画ならともかく映像ではハードル高すぎてとても実現するとは思えない。そもそも日本編のメンバーはくろきん以外でないのよ。ああ、峰と真澄ちゃんにまたあいたいよう。
てなわけで唯一の解決策がのだめフォトブックにおまけのパリ編スナップ集をつけるというのはいかがでしょうか... って結局お願いしてるんじゃん!だって奇跡のようなキャスティングをこのまま終わらせるには惜しすぎるよ。しかも上野のだめはともかく、年齢的に玉木君が千秋をできるのはいましかないでしょう。プラティニ指揮コンクールの黒王子千秋とかボン・ヌフ橋の決闘(画面分割でヨロシコ)とかアンドレイ千秋とかくろきんのだめの生誕劇ロバとか見たいよう.... ってそれがかなわないならせめて千秋のだめくろきんのモツアルトコスプレ演奏写真をDVD特典につけてくれんかのう。ま、タワゴトなんで。
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