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「噂の男」感想

評判の噂の男を漸く見てきたよ。旬の手練れの男優さんたちとクセモノの脚本・演出のガチンコ勝負。さて勝者はいったい誰?それはきっと素敵な芝居を堪能できた観客だろう!

作/福島三郎 演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ


堺雅人/橋本じゅん/八嶋智人/山内圭哉/橋本さとし
猪岐英人/水野顕子

以下は例によってはげしくネタバレを含むので、今日で東京楽だけど地方公演観劇予定の方はご注意くださりませ~。あ。福岡はまだお席に余裕があるらしいですよby八嶋さん。

てなわけでパンフの粟根さんの見開き漫画「噂戦隊 オトコンジャー」に爆笑しつつ(さとしさんが似すぎててヤバイ)迎えた『噂の男』千秋楽。いやー堪能したした。噂にたがわぬヤな話なのに面白い。何しろテーマは「いやーな男たちの、いやーなお話」なんだもの。

■ストーリー
時は現在。場所は大阪にある宝田興業の持ち小屋、昭和の戦後に建てられた、宝田グランド劇場。その舞台袖、地下にある『ボイラー室』と呼ばれる一室。古いボイラーを年に一度の点検に来たボイラー技師加藤は、今をときめく人気のピン芸人ボンちゃん(山内圭哉)に会って興奮気味。そこではじまる中堅夫婦漫才師の骨なしポテト(猪岐英人/水野顕子)の痴話喧嘩。舞台と楽屋の顔の違いにびっくりする加藤に劇場支配人の鈴木(堺雅人)が昔話をはじめる。それは12年前に活躍した名漫才コンビ“パンストキッチン”。「彼らは人間的には最低だったが漫才は最高だった」と。今日はその片割れのアキラ(橋本さとし)がボイラーの事故で死んだ命日だというのだ。片割れを失ったモッシャン(橋本じゅん)は廃人同様の酒びたりの日々。奈落でモッシャンに出会った加藤は思いがけないことを言う。彼には今日ここにくる目的があったのだ。12年まえのアキラの死の直前に一体何があったのか・・?誰にも思惑と打算と下心がある。過去と現在を行き来しながら、物語は意外な方向へと展開していく・・・。

■感想
今年見た芝居、アワハウス、メタル・マクベス、ニコラス・マクファーソン...そしてこの噂の男。みんな二つの時代もしくは場所で進行していることをひとつの舞台上でみせてるよ。たまたま重なったのかしらん。

いやほんとうに嫌な連中(女含む)しかでてこないのよ。自分勝手で欲望のためなら人殺しだってなんでもするの。当然の帰結としてバッドエンド。皆死ぬか狂うかして誰一人救われない。いたたまれない台詞の応酬と陰惨な暴力が舞台の上で繰り広げられてるのに...なのに150分の舞台に釘付け、しかも何度も爆笑して後味も悪くないんだからなんなんだろうねこの芝居。勿論役者も魅力たっぷりなんだけど、なにより脚本と演出の力があるんだ。誰もが心に持っているダークサイド。他人へのねたみそねみ、自分をよく見せようとする虚栄心、あさましい名誉欲、他人を貶めて辱めて昏くよろこぶ嗜虐心 - そんなものをカリカチュアライズしてしかも面白く見せるなんてこの面子じゃなきゃ不可能だ。たぶんこれを仕掛けたのはケラさんだ。得意だもんねヤな芝居。これまではそれがちょっと鼻についたり不発だったりであまり相性よくなかった(除くフローズン・ビーチ)んだけど、これはOKだ。たぶん脚本の福島さんの人情劇魂が根底に流れてるからなんだろうなあ。

役者ももちろん文句なし。ああじゅんさんとさとしさん揃った橋本家(命名細川社長)漫才が生きてるうちにみれるなんて..(感涙)。もう息ぴったりで最高の先輩後輩コンビです。漫才台本を中川家が提供してるんだけど面白かった~。

芝居内のパワーバランスとしてはさとしさん堺さん八嶋さん僧正vsじゅんさん(これは決してじゅんさん以外に実力がないということではない。そんなわけがない)なのよ。この構図にしびれた。皆怖いくらいにじゅんさんと真剣勝負で切り結んでる。受けるじゅんさんもまたそれ以上のパワーで返してる。いやーみなじゅんさんと芝居やりたがるわけだわね。特に八嶋さんとじゅんさんのやり取りがよい。廃人となったモッシャンにぶつける加藤の行き場のない憤怒が背筋が寒くなるほど怖かった。

あと堺さんすげー、脱ぐわ拷問されるわ僧正とのディープキスあるわホモ設定だわで汚れ役極まれりって感じ。めちゃくちゃおいしい役だけどテレビでノーブルな堺さんのファンになった人はひかないかしらとちと心配。「喜怒哀楽全部曖昧な笑顔で表現する男」「スマイル0円男」とか言われたい放題で観客大爆笑でした。

千秋楽なのでアンコールは常より多かったのかな?3回でしたよん。2回目でひっこむ際にじゅんさんは座って深々とお辞儀、堺さんも座ってお辞儀かな...と思ったら両手でピースサイン。さとしさんはなぜかTシャツ脱いだ...そしたら僧正も負けじとお尻をペロン、やっしーはバレエダンサーみたいなお辞儀でした。3回目もほとんど観客帰らず手をたたいてたら、僧正怒りながらでてきて、「てめーらいーかげんにせー.....ありがとうございましたっ」(これ僧正のいつもの挨拶ですんで)。八嶋さんも、会場から「がんばってー」という声に応えて、「がんばったわいっ!..ありがとうございましたー」と怒り挨拶まねしてました。あ、さとしさんがACジャージを着て出てきたよ...ちゃんと持ってたんだなあとちょっと泣けました。

アンコールが終わってロビーにでたら、そこにはバラシのお兄さんたちが待ち構えてたよ。本当に千秋楽だったんだねー(何をいまさら)

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コメント

ども。ご無沙汰です。
おいら、前日に見てました。
ホンとにヤな奴らしか出ませんでしたね~のっけからXXだし(笑)
だけど不思議と残りましたよ、色んなものが。

前日のカテコは2回かな?じゅんさんのご挨拶(ありがとうございました~)で〆でした。
その前の週は、さとっさんが”ありがとうございました~”といって溜めたらそれだけだったんで、じゅんさんにどつかれ、堺くんは下向いたまま笑い、僧正&やっしーにはダメだし喰らってました。
橋本家の漫才はサイコーでした。

投稿: くまのすけ | 2006.09.05 23:18

を、くまのすけさん、コメントありがとうございました!

噂の男は印象的でしたねえ。いずれも魅力的な旬の男優さんたちが渾身の力でサイテーな男を演じるっていうおいしいシチュエーションにやられました。ヤな話なのにこんなに惹かれるってどーよ、と自問自答してますよ。

橋本家漫才サイコーでしたね。さとしさんのどつかれっぷりが好きです。あのでかい図体がぽーんと飛んでくなんてなあ。

投稿: nya | 2006.09.06 06:56

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(ちょこっとネット生活から離れてました^_^; 2回目にレポすっ飛ばしていきますm(__)m) [続きを読む]

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