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「開放弦」感想

実はG2プロデュース演出の舞台は苦手だ。どうもいまいちめりはりがないような気がしてね。好きな脚本家や役者さんと組むことが多いから見る機会が多いんだけど、私にとってG2というのは芝居を観る動機付けとしてはヨワイ(あくまで主観です)。なので、この「開放弦」も最初は見る気がなかったんだけど、幕を開けてみるとどうも評判いい。あちこちから絶賛の声が聞こえてくる。そのわりにチケットの出足はいまいちだったようで、チケット掲示板で結構良い席が定価割れででていたので、思わず買ってしまったよ。いやあいい買い物しました。素晴らしいお芝居でしたよ。

この「開放弦」、脚本はペンギンプルペイルパイルス主催の倉持裕さん。妙に居心地の悪い脚本を書くということはG2と組んだ「しかたのない穴」「仮装敵国」でも知っていた。あ、考えてみればこの人とG2のユニットって結局全部見てるのだな私。そして前2作はピンとこなかったので今回のチケット買わなかったんだ。

■ストーリー
のどかな農村地帯の鄙びた家に、結婚式を終えたばかりの新婚夫婦、遠山(丸山智巳)と恵子(丸山智巳)が帰ってくる。いっしょに帰ってきた遠山の親友の門田(大倉孝二)は二人を前に苛立ちを隠そうとせず、結婚式に出席しなかった遠山の元恋人依代(京野ことみ)も恵子に対する不振を隠そうとしない。そこに意外な形で絡んでくる東京の漫画家夫婦、素江(犬山イヌコ)と新藤(河原雅彦)、そして担当編集者木戸(伊藤雅之)。さまざまな形で七人の思惑が絡み合う。

■感想
G2倉持さんの掲げるテーマは「居心地の悪い王道ラブストーリー」。演ずるのは水野美紀さんと丸山智巳さん。この二人の演技が絶妙で、夫婦なのにぎこちない、お互いを思いあってるのに踏み出せないもどかしさが痛いくらい伝わってきた。役者さんはみな達者で、かつ脚本が良いため全員の想い がバランスのよい「居心地の悪さ」で絡み合っている。いつもは物足りなく感じるG2の演出も今回はそのメリハリのなさが逆に淡々と流れる日常描写にはまってた。あ、でもあのシュールな場面転換はいただけなかったけどね。あと二幕2時間35分(85分/休憩15分/55分)はちっとも長く感じなかったけど、これやっぱストーリーを考えると一幕にまとめてしまったほうが良かったんじゃないかな。

このお芝居のキモである渡辺香津美さんのギターは素晴らしい。ラストではじめてわかる「開放弦」の意味にぐっと胸を突かれてしまった。決してハッピーエンドじゃないんだけど、後味は悪くない、というかむしろ良い。幼い恋の思い出。歳を経ていろいろ手垢はついてしまったけど互いを愛する気持ちはいまもあって - そしてその思いは残るのだ。うーん名作です。

■役者寸評

大倉孝二 : 最初に舞台に登場したとき、「このイケメン役者さんは誰?」と思っちゃったよ。観るたびにオーラが増している。親友遠山に対する苛立ちはとてもうまくでてたけどちょっと怒鳴りすぎ感も拭えなかった。身体能力は抜群。長い手足が良く動いて気持ちいい。格好いいなあ。
水野美紀 : おおアクションのない(実はちょっとあった)ストレートプレイの水野さんをみるのは初めてだ。ちょっとずるい大人の女という設定。いろいろあって畏まってるけど本当はさばけてて気の強いキレイなお姐さんなんだろうな..という背景までちゃんと出ていて素敵でした。
丸山智巳 : 初見。遠山はトラウマを抱えてるけど純朴な田舎のお兄さん。最初は恵子と打算で結婚したのかと思ったら実は .. あたりの出し方が水野さんともども絶妙。二人でギターを弾くシーンは泣けてしまった。
京野ことみ : この舞台唯一の敵役(?)を潔く演じてて好感度アップ。いやー骨太(好きです水野さんの広い肩幅)な水野さんとならぶと華奢だなあ。吉原御免状のときはもっと華奢な松雪さんが隣にいたので目立たなかったけど。声が綺麗で通るんだ。ほんとうに舞台向き。
犬山イヌコ : あーなんか犬山さんは安心してみていられます。ちっちゃくてころころ動いてあのキュートな声で女の業や深さをだすんですよ。稀有な存在ですなあ。
河原雅彦 : 河原リーダーはやっぱり素敵。能天気で鬱屈してて無能で、でも実は漫画に対する情熱はちゃんともっているというアンビバレンツな新藤は適役です。パンフには教養が邪魔してうまく演じられないってたけどうまくできてましたよ~。
伊藤雅之 : 初見かなと思ったら昨年のパルコ劇場で見てました伊藤さん(「十二人の優しい日本人」)。基本的に人が良くて仕事熱心な善人がちょっと暴走して生っぽい欲望をだしてしまう(でもキホンは善人)あたりを達者に演じてました。うまいなー。

P.S. 斜め前に粟根まことさんがいらしてて個人的にはとてもしやわせな観劇でした。終演後アンケートを真剣に書く姿が素敵~(そんなに見てたわけじゃないよ)

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コメント

P.S.に反応。そんな位置にまこりんいたら芝居どこじゃないよ、僕(笑)。

投稿: ののちゃ | 2006.07.31 21:35

ののちゃさん、コメントありがとうございます!

ええ、わたしもそんな至近距離でお見かけしたのははじめてで、最初は「どうしよう芝居どこじゃないよ~」とうろたえていたのですが、開演前に熱心にパンフを読まれているその姿勢に打たれましたよ。観劇者としての真摯な姿勢はみならわなければ~と一生懸命芝居に集中したのでありました。あ、もちろん努力しなくてもお芝居は面白くちゃんと集中できましたよん。

しかし時折間近でゆれるポニーテールに目が吸い寄せられていたのは秘密だ(腐)

投稿: nya | 2006.07.31 22:46

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