「Our House」感想
えっと私はYouTubeのあり方にはあまり賛成してないんだけど、とりあえずこれ
ざっつロンドン下町って感じでしょ。マッドネスは1980年世界に一大スカブームを起こしたバンドだけど、このPVみるとわかるようにばりばりのロンドン風味のわりと生真面目なバンドなんだ(現役。今年のフジロック来るし)。そんなマッドネスをトリビュートしたロンドンミュージカル「OUR HOUSE」は、ちょっとビターなテイストだけどノリがよくって猥雑なパワーに溢れた楽しい作品に仕上がってるよ。
例によってこの項大いにネタバレしておりますので、アワハウスをこれからご覧になる方はご注意くださいませ!
■
さてー、大掛かりなネタバレやるかあ! ....なるしー、あんた私と同い年でしょ!なんでそんなに似合うのよう高校の制服が(スーパーサイヤ人ともいう)!
いわゆる出落ち。制服姿のなるしーは登場時から会場の笑い止らず。「だって俺たち16才じゃーん」ってあんたすげーよ感心するよ。
G2プロデュースでチケットを取ると前列が来る確率が比較的高いのさ。今回も前から二列目の下手よりセンターなので役者さんの表情が良く見える~と喜んだんだけど実はちょっと微妙だった。何故なら最初は高校が舞台。ゆえにほとんどの登場人物が16才で制服なのさ....こ、これは!みんななんかアヤシイ高校生ですよ除くアッキー。特に異様に身体能力の高いサカケンさんがアヤシかった。ニイロさんはなんだかとっても似合ってた。瀬戸カトちゃんは美しくスタイル良く歌とダンスうまく至近距離でみれて嬉しかったなあ。
なるしーはね、高校制服姿で出演者が激しく歌い踊るナンバー「BAGGY TROUSERS(バギーパンツ)」のメインなんですよ。すげーなるしー、息切れてるけどちゃんと踊ってるよ歌ってるよ!さすが第三舞台出身は伊達じゃないよな~。大王はいつもの大王で素敵な悪役です。お歌も聴きたかったよう。
■
(あらすじ)
ジョー・ケーシーは北ロンドンに生まれたアイリッシュ移民。祖父がこの町を築いたことに誇りを持ち、失業した挙句強盗に身を落とし出奔した父のようにはなるまいと誓う母思いの少年。そんなジョーも16才。誕生日の夜にガールフレンドのサラを誘い出し、工事現場に入り込んだところを警察に見つかる。サラを放り出して逃げた”悪い”ジョーと潔く捕まった”良い”ジョー。運命の歯車は二つの人生を提示する。悪いジョーはサラに愛想をつかされるも悪友リーシーに誘われ、警報器の詐欺商売を初めて大儲け。良いジョーは少年院にいれられ、出所後もろくな職にありつけないがサラはそんな彼を優しく見守っている。どちらの人生がよかったか、彼を影ながら見守る父もほんとうのところはわからない様子....別れた運命は時には交差し、ついにその決着がつくときが訪れた -!
■
さすがはウエストエンドで評判をとったミュージカル。お話のスジがしっかりしていて面白い。先週まで週刊でみてたからつい比較しちゃうんだけど、「メタル・マクベス」で惜しい!と思ったふたつの世界の交錯技が見事に決まってるのさ。ふとした要因で二つに分かれたジョーの世界は、SFでいうところの「隣のパラレルワールド」なので起こるイベントも非常に似通ってる。ABCというイベントがあって、それぞれを繋ぐ道筋がちょっとずつ違うって感じかな。この見せ方が非常にうまいのだ。二つの世界は概ね交互に語られるが、時には舞台上で同時進行する。そこをうまく見せるのがジョーのはやがわり。時には身代わりたてて二人になり、時には舞台上で衆目の中でのチェンジ!いや見事見事。いいもの見せてもらったって感じで唸らされました。
ふとしたことで二つに別れたジョーの運命も、さてどちらが良かったのかということが最後までわからない。良いジョーも結局悪友リーシーに誘惑され犯罪に手を染めてしまう。犯罪に走り家族を捨てたことを後悔し、影ながらジョーを見守る父親も、最初こそ包容力のある守護天使の如くジョーを導くようにみえたが、途中からジョーと一緒に迷い始めて結局は何の役にもたたない傍観者であることが判明する(このあたりも見事だ)しね。
どちらのジョーも最終的には家(OUR HOUSE)に帰結する。母?家? - 結局守らなければいけないものは何だったのか。人は失ってはじめて大切なものに気がつくという結論はどちらも同じなんだけどね。
と、まあ、お話は素晴らしい。あえて不満をいうとしたらそれは歌だな。マッドネスフリークでマルチリンガルな大王が鋭意翻訳したんだけどね,,,,聞き取れないのよほとんど。それも道理で意味よりも言語の響きを重視して意訳したのだ(パンフより)。例えば「OUR HOUSE」のサビ「Our house, in the middle of our street!」だったら「アワハウス!みんないるのが好き」みたいにね。意味は違う(コンセプトはあっている)けど音は似ている...でも、それだったら原詩で歌ってもいいわけじゃん。ミュージカルはやっぱり音楽も台詞の一部なんだから聞き取れないと意味ないと思うのだ。プロに任せたほうがよかったんじゃないかなあ...とちとフラスト。大王大好きなだけにこれは残念だったな。
それからもひとつ。アッキー以下役者さんたちは演技もダンスもお歌も申し分ないけれど、どうも猥雑さがたりないってゆーかW杯の日本選手の如くいまいちお上品なところが気になった。日本の対ブラジル戦見た後で、決勝トーナメントのアルゼンチン対メキシコみたらもうなんか気迫が全然違うみたいな。きっともともとのロンドンミュージカルは、油のまわったフィッシュアンドチップスって感じなんだろうなあ。日本のそれは薄味で油も控えめでヘルシーなのよ。勿論これはお好みだし、だいたい古い油で揚げたフィッシュアンドチップスって身体によくないしね(意味不明)
そのあたりのワイザツはなるしーと大王が専任担当って感じかな。このふたりはもうなんだかいつでも誰とでもステージ放し飼いって感じで素敵素敵。
てなわけで、お話はよくできてるし、役者さんはうまいしとっても楽しかったけど、ちょいとパンチにかけたのが惜しかったかな。でもG2も大王も始めてのミュージカル挑戦にしてはよくがんばりましたー。大王は次は歌おうよね!
■
OUR HOUSEキャスト寸評
ジョー・ケーシー(中川晃教):リアルに若いし童顔アッキーは登場時16才っつーよりはなんか中坊に見えちゃった。歌もダンスもうまいし小回りきいてかわいいな。悪いジョーはもうちっとワルな雰囲気欲しかった。
サラ(池田有希子):初池田さん。知的な女子大生役がぴったりでした。かわいいしうまいな。
リーシー(池田成志):ひみつへいきなるしー。なんでもできちゃうとは思ってたけどまさか16才とわ!舞台をぴりりと締めていてすごかった。SHIROHに続いてアッキーと共演だね!
エモ(坂元健児):身体能力すごい~。すぐ上半身ハダカになると思ったら「ライオンキング」のシンバでブレイクした人だったのか~。天然ボケキャラがうまくはまってました。
ルイス(新納慎也):NIROさん改名したんですね。ハンサムなのに三枚目役も似合うのな。
ビリー(入江加奈子):初入江さん、キュートでかわいくってちょっと意地悪な女子高生!
アンジー(瀬戸カトリーヌ):カトちゃん間近で見れてうれしいよ!スタイルいいしすっげー美人だしヨゴレをいとわないし歌もダンスもうまいし最高のコメディエンヌだ!
キャス(香寿たつき):なるしーが16才OKなら香寿さんも女子高生OKでしょ。若き日のダンスシーン素敵でした。
ジョーの父(今井清隆):恰幅よいしてっきり頼れるキャラだと思ったら実は...! ラストの台詞がジョーの台詞と重なるところじーんとしました。基本的に誰ともからまない役なので難しかったろうな。それだけにニ箇所だけあるキャスとジョーとのシーンがすごく印象に残った。
ミスター・プレスマン(後藤ひろひと):大王ってばまたおいしい役を!もうちょっと見たかったしお歌も聴きたかったよう!カーテンコールもいつものアデューポーズだよ!.
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
あの曲原詩はそうなってたんですかー!!まさにそこ聞き取れませんでした…(苦笑) 確かに雰囲気壊さない上手い訳ですけどミュージカル向きじゃないかもですねえ。
いっそ字幕で歌詞流してくれ、なんて思ったり。「メタマク」のスクリーン借りてきなさい、なんて思ったり(笑)
瀬戸カトさんキレイでしたよね〜。三人娘が出てくると、ヒロインよりも瀬戸カトさんに視線がフラフラ行ってしまったダメなアタクシです…。
投稿: クレール | 2006.06.26 00:37
わークレールさん、こちらにもコメントありがとうございます。
歌詞はつらかったですねえ。、私も全然聞き取れなくて、ミュージカルの手練れアッキー以下揃ってるのにあの聞き取れなさっぷりにちょっぴりフラストしました。スクリーンはいいかもです。
確かに三人娘ではカトちゃんに目がいっちゃいますね。いちばん背が高いし~。
投稿: nya | 2006.06.26 05:56