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「ベガーズ・オペラ」感想その2

今日はお城で舞踏会 - じゃあなくって日生劇場で「ベガーズ・オペラ」だよ。 前回の観劇で橋本さとしさん演じるトム(フィルチ)のあまりのかっこよさに衝撃を受けたnyaはリピート観劇を決めたのでありました!

ベガーズ・オペラは凝った物語構造を持っている。教会前の広場で大衆相手の芝居をして糧を得ている乞食の一座(乞食は物乞いの意であるが、河原乞食といった意味合い、即ち大道芸人なども含んでいる)。トム(さとしさん)は座付きの脚本・演出家。そんな一座が老役者(金田龍之介=雰囲気でてる~!)の好意を得て一夜だけ、本格的な小屋で芝居を打つという設定。だから役者達は、本来の乞食を演じ、そのバックグラウンド上で劇中劇の役を演じてるわけなのだ。

で、凝った物語構造には凝った舞台装置..てなわけで、実はこの舞台は舞台の上に客席があるのさ。何しろ素人芝居を借り物の劇場で演じてるって設定だからね。舞台上に普通のベンチ席やバルコニー席まであるわけ。で、その席にもちゃんとお客さんは座るのだ。それがいわゆるステージサイド席。臨場感を味わいたい人にはもってこいのシチュエーション。てなわけで座りましたともさステージサイド。しかも最前....真横から舞台をみることになるわけでいまいち見づらいんだけどね~、なんせ舞台上ですからね、ライトがまぶし~! いやいや目の前どころか座席にまで役者さんがやってくるわけで、出演者気分でたっぷり堪能してきましたよベガーズオペラ。

冒頭トムに連れられて劇場にやってくる乞食の一座。お客さんのバックをひったくろうとしたり、膝の上にのったり傍若無人の極み。ステージ上と脇、思い思いの場所に陣取って演出家トムの指示に従ってセットを組んだり、台本を見たり。私の脇には老大道芸人ジェイムス(村井国夫=歌うまいっ!)が座って「いいか、騒いで俺に恥をかかせるんじゃあねえぞ」と孫に言い聞かせている一方羊皮紙にペンで書かれた台本をいっしょうけんめい覚えているという寸法。まあ、万事がその調子で、ステージ中央でこそ劇中劇が繰り広げられているけど、横に引っ込めばそこはベガーズの世界。「どうしよう、俺次出番なんだよう。ちゃんと台詞いえるかなあ」なんてベガーさんには「がんばって!」とすかさず応援できるステージサイド席の幸せ。そんな中で、時には出演者フィルチとなりながら、常に演出家として舞台上に控えているトム。エリザベス(島田歌穂=貫禄ある~!でもキュート!)やモリー(森公美子=うまい!きれい!大尊敬!)と仲睦まじく影コーラスしたり、出番を控えて緊張するマーガレット(笹本玲奈=若いのにダンスも歌もピカいち!すごい~)の肩を優しく叩いて舞台に送り出したりと、もうその挙動から目が離せないミーハーファンの愚かしさ。 さとしさん素敵~....失礼しました。いえねステージサイド席から垣間見えるトムの姿。特にスタンドカラーのオーバーサイズのシャツをふわりと羽織って袖をまくったその姿。長身に広い肩幅。丸眼鏡に無造作に束ねた長髪。なんだか私のツボをあまりにもつきすぎて家に戻って夫に同じ格好をしてくれと懇願するも即却下。「俺にだけは萌えてくれるな」ってね(とほほ)。

さてお話だが - これは劇中劇に対する感想を語ってもよいのかちと悩む(だから前回の感想が完結できてない)。なにしろベガーズによる劇中劇という二重の虚構なんだから劇中劇の部分にだけ言及してもしかたないからね。冒頭トムは観客に宣言する。「これはオペラです!花や蜜蜂が飛びご婦人方の好きな牢屋のシーンも.流行のものは全部入れました。」ってね。その言葉どおりお話はガジェットがテンコもり。追いはぎにして稀代の女ったらしの好漢マクヒース(内野聖陽=ぴったり~!エロい~!かっこいい!)。悪党の元締ピーチャム(高嶋政宏=悪党っぷりがステキ!)の娘ポリー(玲奈ちゃん)とヒミツの結婚をしたことがばれてピーチャムに牢屋送りにされてしまう。そこには同じく結婚の誓いをしたルーシー(歌穂ちゃん)が腹ぼて状態で待ち構えてて不実をなじる絶対絶命のピンチ!しかもルーシーの父親にしてニューゲート監獄の牢番ロキット(村井国夫)はピーチャムと組んでマクヒースを死刑にしようとしている。そう、ここは18世紀英国。誰もが誰もを密告し陥れようとする暗黒社会。まあそれやこれやで最後は年貢の納め時 - 哀れマクヒースは絞首刑に ,,,, ポリーとルーシー(あーんど4人の妻..もっとたらしこんでたんだね)が涙涙で見守る中首吊りにされてしまいましたとさ!...なことろで老俳優のストップがかかる。

老俳優「しかし君これは悲劇ではないかね。物語はハッピーエンドで終わらなければ!」
トム「ええ、そうですよ。現実の世界は悲劇に満ち満ちています。どこにハッピーエンドがあるでしょう?」
老俳優「だからこそだよ!現実の世界が悲劇だからこそ、私達俳優はつかの間の幸せを演じなければ!」

てなわけで急ごしらえのハッピーエンド。マクヒースは恩赦で生き返り(首に縄をつけたまま)、トムは「こんなのめちゃくちゃだよ!」って劇場を飛び出してしまう。それを追いかけて宥めるエリザベス。あとはみんなベガーさんに戻ってステージサイドの観客も巻き込んで(わあい踊っちゃった)ダンスしてハッピーエンドなのだ - 他愛ないでしょ?でも面白かった~二重虚構の世界。

ラストは機嫌の直ったトムがカーテンコールに応えて主役を紹介。「18世紀の一夫多妻男マクヒースです!」ってタイムリーなねた。マクヒースは最初ベガーのマッコリ(気弱でおバカ)として挨拶するんだけどすぐ「内野に戻ります~」といって素でご挨拶してました。満場の客のアンコールの拍手に応えて肩を組んで何度も出てくるさとしさんと内野さんが素敵でしたよん。

致命的に残念なのはこの意欲的な観客参加型の演劇、たぶんその熱狂は前列にしか伝わるまい..ってことなのだ。もちろん幕間にベガーさんたちは2階席や3階席にも出没し、その熱狂を伝えようとしているけれどね。舞台の上では好漢のマクヒースが袖に引っ込むと気弱なマッコリとなり、おろおろと台本をとりおとす姿や、マーガレットとエリザベスがトムを巡って恋の鞘当てを繰り広げたり、はたまた冒頭で「あいつ(マーガレット)が私の衣装を盗ったのよ!」と怒り心頭に観客に訴えるエリザベス....役者さんはきっとものすごく役作りに腐心したと思うしそれは確かに成功しているけれど..惜しいかな後ろの席には届かないんだ。従って、後部や、2,3階席のお客さんはきっとこの他愛のない劇中劇しか印象に残らない。そりゃあマクヒースはエロかっこいいし、他の役者さんたちもそれぞれ素晴らしいけどね...きっと不満が残ると思うよ。そのあたりは映像でカバーされるのだろうか、しないと映像に残す意味は半減すると思うんだ。

P.S. ゲネの様子で舞台の雰囲気を...と思ったらさとしさんがトムっぽいのがない!最後から二枚目の写真。ラスト、トムが舞台の中央で「私がこの芝居で言いたかったこと!それは金持ちも貧乏人も等しく悪事を働く...でも処刑されるのは貧乏人ばかりということです!」と力説するシーン。後ろには好漢マクヒースでなく気弱なベガーのマッコリに戻った内野さんがおろおろしている。

あ、こっちの方がトムの風体がわかる。そしてマクヒースのたらしっぷりもよくわかる~。

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コメント

え?え?夫に萌えちゃいけないんですか~? 似合いそうですけどねぇ
舞台って、初日と中日と楽日に行けって言われるけど…1度やってみたいな~そんな贅沢。

投稿: 俊子 | 2006.01.29 23:33

おお、俊子君、コメント有難う。

萌えちゃいけないらしいですよ。腐女子の目で見られるのが耐えられないそうだ。

舞台は生き物だからね。ほぼ毎回印象が違うし、日替わりネタもある。今回私はお財布の都合で2回ですが、新感線の舞台で過去に10回くらいリピートしたことがあります。ま、ボーナスなくなりましたが(とほ)。

投稿: nya | 2006.01.30 03:42

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