WOWOW「メディア」感想
WOWOWによる「NINAGAWA vs COCOON」シリーズの舞台放映。実は最初に見たストレートプレイって日生劇場でやったテンペスト初演だった。もう20年も前なんだなあ。絢爛豪華な舞台と平幹二朗の怪演にすっかりお腹いっぱいになってしまったよ。その後つか-第三舞台-新感線の方向に趣味を見出したわけだが。
てなわけでちょっと敬遠してたけど「幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門」でちょい認識を改めたので見てみたよ。仕事しながらのながら見だけどな - しかしやっぱりどうも過剰な蜷川芝居。さらに今回それに輪をかけて過剰だったのは稀代の天才女優大竹しのぶ ... 大竹さん凄すぎです。うまいというより憑かれた演技に最後は仕事もなにも放り投げてテレビに見入ってしまったよ。まさに魔女!きっとコクーンでみていたらすっかりその魔性に引き込まれていたことだろう。「蜷川+共演者+スタッフ<大竹さん」てな感じ。完全に蜷川喰われてます。イアソン(小物っぷりが好き) 生瀬さんがかわいらしく見えるくらいだ。
神の眷属、女王にして魔女メディアが人間イアソンに恋をし、結ばれる。穏やかな暮らしはつかの間の夢。やがて野望を持つ夫のまさかの翻意。足を踏鳴らしのた打ち回って這い蹲り哀れを請うて見ても離れた心は戻らない。絶望はやがて憎しみに変わる。踏みにじられた我が心を購うためなら愛し子を手にかけることに躊躇はない。- 魔女メディアの絶望、噴き出さんばかりの憎悪に圧倒され - 共感した。 あれは誰もが心の中に持つ普遍の怒り。古来多くの絵画や物語のモチーフとなったメディアの復讐譚。2500年という時、そしてギリシャという地、なにもかも超えて人類全体が共鳴するマスターピースって確かに存在するんだよねえ。こわいこわい。
しかし最後の演出ってどうよ。わたしは龍でスサノオを、扉を開けるシーンで夏祭浪速鑑を思い出しちゃったよ。蜷川いのうえ野田に限らず誰もがやりたがる大仕掛けとか劇場と外界の連動 ... ってよっぽどうまくやらないと観客は白けるだけだと思うのだがのう。
さて次はいよいよひさびさの蜷川舞台観劇だ。楽しみだなあ天保十二年。
★
Web拍手ありがとうございますー。これからも癒し(だらし?)のねこまるの姿をもって御礼とさせていただきます!
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント