« 2005年前半観劇一覧 | トップページ | 稀有な才を惜しむ »

「キレイ 神様と待ち合わせした女」感想

平日夜の観劇はリスクが高いので滅多にしないのだ。急な仕事がとびこんでおじゃんになる可能性があるからね。だから観劇は原則週末。でも例外がある。非常に人気の高くかつどうしても見たい公演だ。ヤフオクなどで目の玉が飛び出るような高い価格がついてればとても手がでない。で、稀に無理を押しての平日ソワレ観劇と相成るわけ。でもそんな公演に限って長いってどうよ。昨夜のキレイは終演22:45で家についたら24時近かったよ。同じく大人気で平日のチケをやむなくとったニナガワ天保(あ、コクーンだ)もきっと長いんだろうなあ。いのうえ版は脚本圧縮で4時間越えてたしなしくしく。

閑話休題。

やあっぱクドカンは役者やってるときが一番好きだと実感した。だってかっこいいんだもんマジシャン。声もまたすてき。サダヲのコドモハリコナAも超キュートで大満足。そして蘭々ちゃんお疲れ様。たくましく愛らしいその姿その声はまさしくケガレ。サダヲハリコナAとのカップルはまさに少年少女。ケガレとハリコナAの二人が舞台にたってるだけで胸がきゅんとなったよ。高岡早紀さんのミサも申し分ない。立ち姿そしてダンスがうっとりするくらい優雅で美しかった。歌もよかったよ~。

オトナハリコナBの岡本健一さんは...はじけてた。凄いいい男なのに女装ばりばり(初演は現代の女形篠井英介さんがやったんだもの)で躊躇がない。あんないい役者さんとはつゆ知らずひたすら尊敬。一方はじけてなかったのが橋本じゅんさんのダイズ丸。この役が初演古田さんというのはすごくわかるんだ。ピュアでキュートで猥雑ってまんま古ちんだからね。でもじゅんさんがそのままやるのはちょいと苦しいなあ。猥雑さがうまくでていない。従ってミサへの執着とその後のヒモ状態もいまいち。もちろんうまいんだけど舞台に埋もれてるじゅんさんをみたのははじめてで切なかった。いつもは舞台がとびだす絵本みたいになるのになあ。

秋山さんのカスミお嬢様は凄かった。20才といわれてちゃんと納得する可愛さ綺麗さ。.女優.と書いてバケモノと読む。最高です。美しい後姿おヌードまでばっちり拝めて(観音様だ~)うれしかったよ。

あ、超余談。劇中でクドカンマジシャンが猫背椿ちゃん演じるマタドールに「これでおまえも立派なナイロン100℃の女優だ。さあワークショップをしよう!」というシーンがあるんだけど、今日は客席にケラリーノ・サンドロビッチさんがいらしたのでした。うわー。

オトナ恒例開演前の寸劇は顔田さんの電車男ならぬコクーン男。「コクーンキター!」と叫んでました。それにからむ寿司折もった酔っ払いリーマンはもちろん松尾さん。顔田さんが「わー、さっそく2ちゃんねるのキレイスレッドに書き込まなきゃあ」というと松尾さんが真顔になって「2ちゃんねる本気でこわいんだよー」と叫んでました。でも演劇板のキレイスレッドはおおむね好意的なレスばかりよ。

(以下感想)
ケガレとは月経であり破瓜であり堕胎であり食人であり - 絶望であり快楽であり - 原罪である。ケガレとは人間の前提であり、生きる限りケガレは積もってゆく。なればケガレケガレたその先にはなにがあるのか - ?

実は松尾スズキさんのホンは苦手だ。オトナの役者さんたちは松尾さんをはじめみな個性豊かで大好きなのだが、彼らはあの個性あの芸風でとてもシビアできっつい舞台を作り出す。容赦が無く逃避を許さない話作りは観ていて息苦しくなってつらいのだ。もちろん救いはあるけれど、私にはそれが救いであると理解できないのだ。それは私の人生観が大いにアマイということでもあるのだが。

でもこの「キレイ」は、アマくてにぶちんの私でもなんとなく松尾さんのスタンスがわかる松尾芝居入門編って感じで好きだ。過去に目を背けて目先の欲にとらわれて生きても幸福は遠く、いずれ隠した過去は暴かれて人生の帳尻あわせをしなればならない。これはかなりツライ展開だ。でも「キレイ」での松尾さんの視線はとても厳しくてとてもやさしい。人間は本当に卑俗でどうしょうもないけど - その生をつきつめた先には、否つきつめるという行為そのものがとても「人間」らしくて「キレイ」なんだよと全肯定のメッセージを送ってくれている。ケガレケガレてわたしはキレイ - ケガレとキレイはひとしく同じ。ならばこのキレイは松尾さんの人間賛歌だ。

- 2005/10/22 WOWOW放映の感想付記
冒頭「ケガレのテーマ」が流れてきたとき思わず涙ぐんじゃった。「途方に暮れて未来に逃げて尚更暮れて過去へとすがる /キレイな花が見たかった/ガレキの街に一人で立って/花が見たくて一人で立って」 やっぱりいいなあ蘭々ケガレ。未来のミサは儚く強く、過去のケガレはたくましく脆い。互いを補完しあいながら進む姿はまさしくわたしたちの人生のありようを示している。未来の私がへたりこんでいたら励ましてあげる。そんな心根で生きていたいと思ったよ。


|

« 2005年前半観劇一覧 | トップページ | 稀有な才を惜しむ »

演劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/33364/5152311

この記事へのトラックバック一覧です: 「キレイ 神様と待ち合わせした女」感想:

« 2005年前半観劇一覧 | トップページ | 稀有な才を惜しむ »