「タイガー&ドラゴン #10 品川心中」 感想
さすがはラスいち、濃ゆくてヘビーなオープニングから虎児の眩しい笑顔のラストまで走る走る走る。泣かせのポイントも沢山あるよ。「師匠がつけてくれた小虎って名前が好きだ」にじーんときて、ラストの「笑ってるよ」はただただ虎児がいじらしくて泣いた。やっぱいいわこのドラマ。一見闇雲に走っているように見えても細かいエピソードを重ねて丁寧に人の心の機微を書いている。(小虎が堅気になるための)どん兵衛さんの借金を返すための落語協会のカンパにちゃんと小しん師匠が噛んでいるあたりなんて憎い憎い。
笑いを知らず情けも知らない天涯孤独なやくざだった虎児が師匠や家族、周囲の暖かさに触れて、守るもの大切なものがなにかということがわかってしまったが故に彼らとの縁を捨ててウルフ商会に殴りこむという流れが切ない。ラスト「兄貴」と呼びかけた銀銀に「虎って呼べ」って答える虎児が愛しい。
もちろん竜ニが高座に戻ってくるエピソードも鮮やかだ。心に何があったとしても落語家は人を笑わせるのが仕事。虎児の笑顔とシンクロした竜二の覚悟の笑顔は美しい。「ドラゴンドラゴンチャンドンゴ~ン」も好きよ。
品川心中と話のからみも見事。自殺サイトというある意味キケンな題材をからめても暗くも湿っぽくもならず逆に明るいサゲに持ってきておいて、陰湿な復讐譚であるために通常は演じられない後半部を虎児の殴りこみにまるまるかけるというのに恐れ入った。これができるのなら先週の粗忽長屋のクライマックスもちょっとあっけらかんと作れたんじゃないかなあとちと残念に思った。
そして落語再現ドラマも配役がくるくるかわって楽しい楽しい。リサちゃんの花魁と銀銀の金さんカップルはないす、リサつえ~そしてかわえ~。新感線ファンとしてはサダヲとじゅんさんのからみに大喜び(この二人は、昨年のおポンチ芝居「レッツゴー忍法帖」で忍者コンビだったのだ)。
ラスいちなのにエピソードもお遊びもめいっぱい盛り込んで、しかもメインのストーリーもちゃんとすすめて、泣き所笑いどころがてんこ盛り - こんな贅沢なドラマを見ることができるなんて幸せだよ。
さて泣いても笑っても後一回。きましたよ「子は鎹」が!後は怒涛のハッピーエンドだよね?さあみんなで幸せになろうよ!
DVD-BOXも9月7日に発売決定。さっそく予約したよん。
過去の感想リスト
第三回 「茶の湯」
第四回 「権助提灯」
第五回 「厩火事」
第六回 「明烏」
第七回 「猫の皿」
第八回 「出来心」
第九回 「粗忽長屋」
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コメント
おはようゴザイマス~♪
今回はこれまでよりさらに見応えありましたねぇ。
再現ドラマは日向さんも遂に出てきて、
お染&金さんも猫の目のように変わって面白かったです。
心中するシーンになってリサ&銀次郎をチョイスしたのもツボでした(笑)。
・・しかし、あと1話で終わりなんて信じられないですねぇ(悲)。
投稿: 青いパン | 2005.06.19 10:15
青いパンさん、こんにちわ。
コメントありがとうございます!
青いパンさんのタイドラ感想を過去にさかのぼって読ませていただきましたがとても丁寧に観てらして感動しました。
ウルフ商会の面々のノリはまさしくパルプ・フィクションですね~。
再現ドラマの日向さんも面白くって最高でした。本当にあと1回で終わりなんて..金曜夜が寂しくなりますね~。
投稿: nya | 2005.06.19 12:29