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西田東「影あるところに」感想

漫画ってつくづくバランス芸術だと思うのだ。絵と物語の絶妙なハーモニー。絵だけでなく素敵な物語もひとり(ないしはチーム)でものしてしまう漫画家さんってすごい才能のかたまりだよね。その絵だって技術的にすばらしい人からいわゆる下手うまで味のある絵までさまざまだ。

決して絵が達者ではないのにとてもとても魅力のある漫画家たちがいる。すでにながいこと描いていてベテランと呼ばれるひとたちなのに、このぞんざいな絵はなによ?って漫画家さんたちが。なのに惹かれる。いやむしろその書きなぐりみたいな絵が好きなんだ!どんなにカラーにムラがあったって、原稿のヨゴレにしかみえない効果線だって、誰が見てもバランス悪いでしょうみたいな等身だって -もう好きで好きでたまらない。青年漫画なら諸星大二郎先生。少女漫画なら遠藤淑子先生。そしてボーイズラブならばなんといっても西田東先生なのだっ!

決して貶めているわけではないので先生およびファンのかたがたはどうか気を悪くしないでください。

てなわけで西田東先生の新刊「影あるところに」だ。オヤジリーマンものとよばれるカテゴリー。外科医中道(30代、眼鏡)の勤める医局にやってきた新人医師堤は、脳梗塞で倒れた院長の息子。長く院長と不倫をしていた中道を憎む堤はしかし次第に彼に惹かれて-という王道のメロドラマ。デビュー作「奪う男」から一貫して切ない恋心(ただしそれを抱くのは30代以上、おおむねリーマン同士)を描いてきた西田先生。今回も大いに泣かされた。

なんでこんなヨレた線に色気があるのか、ぞんざいな絵に切なく泣かされるのか -

だから決して貶めているわけではないのだってば!

西田先生大好きです。これからも30,40代以上(できれば50代upも)のオヤジリーマン限定の切ない恋のお話を書いてください。ずっとついていきます!あとがきも大好きだ。せんせいの漫画は別にヘタヘタ魔王(キュート!)に呪われているわけじゃ無いと思う - むしろ祝福され.うわなにをするやめb♪XaJ!

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