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2005.02.26

BIGGER BIZ感想

うそつきな男が好きだ。舌先三寸で世界を動かすような強い嘘吐きが好き。だから負けるなホリエモ~ン! じゃあなくて - 後藤”大王”ひろひとさんとキッチュのことだ。キッチュこと才人松尾貴史さんと演出家G2の演劇ユニットAGAPEstoreは、キッチュの物真似芸を核にしたお芝居を年1~2回のペースで発表している。大王がAGAPE何回目かの公演で俳優として参加した際、リップサービスで「次は是非脚本を」とやってしまったのが、「BIG BIZ」のはじまりだ。たいへんな評判を呼んだ「BIG BIZ」の公演後の挨拶で大王はまたまた「実はこのシリーズは三部作で - BIG/BIGGER/BIGGESTと続いて - 」とやってしまったのだ。かくして続編「BIGGER BIZ」の登場とあいなるわけ。口からでまかせもほどほどにね。人気者の大王のいったことはみんな本当にしちゃおうと周りはてぐすねひいて待ち構えているんだから。

AGAPEの公演も今回が9回目。さまざまなお芝居を一応全部見てるけれど、キッチュの物真似芸がいちばん自然にストーリーに溶け込んでいて、なおかつ抜群に面白いのはシリーズ第一作「BIG BIZ」だと思っている。ストーリーはこちらを参照。いわゆる巻き込まれ型のストーリー。巻き込むのは縦横無尽に人をおちょくり、状況を込み入らせるお騒がせ男健三(松尾貴史)。巻き込まれ翻弄されるのは常識人結城(粟根まこと)。謎の天才ハッカー皿袋(松永玲子)、風采のあがらないリストラ男(八十田勇一)、温和で役に立たないがシナトラの歌を聴くと別人になる画家(大王)。彼ら「ドリームチーム」がいかに一晩で百億を儲け、巨大企業「結城ビッグビジネスエンタープライズ」を創業したかというのが「BIG BIZ」のストーリー、そしてその大会社をいかに一晩でつぶし、しかしより大きな企業「加賀ビガービジネス」を創立したかを語るのが「BIGGER BIZ」なのだ。ドリームチームのメンバーに新たに加わるのが、新しい取引先ペルセウスの敏腕ビジネスマン川島(三上市朗)、と「結城ビッグビジネスエンタープライズ」の新入社員加賀(坂田聡)だ。三上さんは、劇団M.O.Pの看板俳優で、まじめなお芝居にもたくさん主演されているのだが、なぜか大王や関西小劇場界の面々とからむとき、彼は身も心もスター・トレックのカーク艦長となる(トレッキーなのだね)。三上艦長の立派な体格にカーク艦長のコスプレが似合うんだまた。でも今回は艦長コスプレはなし(ちっ)。冷徹なビジネスマンの役を格好よく演じていて素敵。ちなみにこの間テレビで映画「踊る大走査線PART2」をみていたら、艦長がコスプレ姿ででてきてびっくりしたよ。大王シナトラvs艦長トム・ジョーンズの歌合戦は大人気なくて最高でした。

まあ、「BIGGER BIZ」は「BIG BIZ」の拡大再生産といった趣で新味はなかったのだけど、役者さんの達者な芸をみれたので良し。完結編の「BIGGEST BIZ」は来年の1月。それよりまた大王がご挨拶で「BIGGEST BIZの次は、SMALL BIZ,SMALLER BIZを..」なんていってたけどそんなこと言うと本当になっちゃうよ!

P.S.キッチュの物真似。今回もきっちり中島らも先生をやってくれて嬉しかった。観客もちゃんと笑ってたのも良かった。なによりの供養だよね。

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