前にも書いたが「オペラ座の怪人」は私がはじめて出逢ったそしていまでもいちばん好きなミュージカルなのだ。ミュージカルには全く興味のなかった私が、招待券で夫とともに日生劇場に四季版を見に行ったのはもう20年ちかく前のことなのだ(だから怪人は市村さんでクリスが野村さん、ラウルは山口さんだったのだ)
オープニングのシャンデリアシーンにどきもを抜かれ、ヒロイン クリスティーヌの美しいアリア「Think of me」に心を奪われた。「Masquerade」はいまだにマイフェイバリッドスコアだ。夫もはまった。あの何事にも無感動な人間が、初観劇後に自発的に日生劇場の売店に行き、CD(ロンドンキャスト版 - クリスティーヌはサラ・ブライトマン)を買ったのだ。ちなみにこのCD、古いせいか全曲1トラックでPCやiPODに取り込む際に苦労している。その後国内で四季の再演を何度かみたあとはもっぱらロンドンのHer Majesty劇場で観劇している。
ことほどさようにNya家では「オペラ座の怪人」を愛している。だからアンドリュー・ロイド・ウェーバー(以下ALW)自ら制作する映画版「怪人」の公開を楽しみに待っていたのだ。
話はかわるが、映画はもっぱら家から車で30分ほどのシネマコンプレックス「ワーナーマイカル」を利用している。今回初めてネット予約システム「e席リザーブ」を利用した。席も選べてカードで決済。映画館では決済に使用したクレジットカードを読ませるだけで即発券。いやー便利な世の中になったものだよ。
さて映画だ。冒頭、シャンデリアに火が灯り、廃墟のオペラ座が過日の栄華を取り戻す。鳴り響く「Overture」を聞くといつも心が高鳴るのは劇場で「オペラ座の怪人」を観るのとまったく同じなのだ。 -そりゃあもちろんセット的にはCG、カメラワークを駆使して舞台では決してできないことをやってるし、物語的には怪人とマダム・ジリーの過去の因縁話などを語らせてふくらみをもたせている。しかし、そのような追加を鑑みたとしてもこの映画は劇場版と比較して見事なほど「なにも足さない - なにも引かない」作品になっている。そりゃあALW本人の手になる映画だからな。
四季版はもとより世界の各地で上演される人気ミュージカル「オペラ座の怪人」。役者、オーケストラ、劇場、場の空気でおそらく千差万別な「怪人」があるだろう。ALWは彼なりの「怪人」のスタンダードを映画で提示したかったのかなと思った。
役者さんには文句なし。クリスティーヌを演じたエミー・ロッサム嬢が撮影当時は16才であったという若さを聞いて仰天した。天才っているんだなあ。ファントムのジェラルド・バトラー氏はハンサムでセクシーだ。最初の歌の音域に違和感を感じた(怪人は高音駆使というイメージがあるからね)が後半はそれも気にならなくなったよ。
物語に関しては何も言うまい。私はこの様式化された話が好きだ。上映後、映画館をでるあたりで女子高生(最近は学校帰りに映画を観てもよいのか?制服姿だったが)が二人感想を述べ合っていた。
「あの女ひどくない?」「ファントムかわいそうじゃんねー」
君たちのその感想はわたしが20年近く前はじめて四季版を観たときに感じたことそのままだ。特に映画版のファントムはとてもハンサムだし、異形といってもそれほどではない。これだったら私は間違いなくファントムを選ぶよ。クリスは男を見る目がないね。(いやもちろんラウルもいいひとなんだけど)
ちなみに夫は昔からマダム・ジリーの娘のメグたん萌えだよ。ラストシーンにでてくるパンツ姿(劇場版も映画版も同じ衣装)がいいんだとさ。
映画館で販売していた「オペラ座の怪人パーフェクトガイド 日経BPムック」の付録DVDのメイキングがすごい。劇場も地下水路も墓地もまるまるスタジオの中のセットとは...800席以上ある劇場をバルコニー席まで含めて作ってしまうことの徹底さに感嘆。
あと、今回は流石に字幕(意訳のセンスの無さと誤訳の多さ)に腹が据えかねた。あまりにミゼラブルなので極力見ないようにしていたが所詮日本人の哀しさで視界に日本語が表示されていると読んじゃうんだよね..
おまけ .. 各シーン寸評(↓)
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