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「MID SUMMER CAROL ~ガマ王子とザリガニ魔人~」感想

芝居が好きだ。その理由は前に書いたけど。ちいさな舞台。演じているのはわたしたちと同じ人間。芝居が終わって客電がつけば、その世界は消えうせる。その儚さはまるで起きているときにみる夢のようだ。

そんな夢の紡ぎ手のひとり、脚本家にして俳優(怪優?)「後藤”大王”ひろひと」の世界が大好きだ。残酷で美しい物語がベタな吉本新喜劇の手法で語られる。笑って泣いてそして恐怖に陥るーそんな世界がかける大王に一生ついて行こうと思っているよ。なぜ彼は大王と呼ばれるのか?まあ詳しくは彼のユニットPiperのHPで。

MID SUMMER CAROL ~ガマ王子とザリガニ魔人~」はその題名のとおり、大王の「クリスマス・カロル」だった。偏屈で吝嗇できらわれものの老人が儚い命の子供とふれあい改心するというたいへんにストレートなストーリーが摩訶不思議な大王の文法で語られる。2時間余りの舞台でなんどもなんども泣いてしまった。

大王はもともと関西の中堅劇団「遊気舎」の座長にして座付き作家だったのだけど、そこを退団してからほぼフリーとなって、さまざまな舞台を作っている。そのひとつが、パルコ・リコモーションと組んだ童話シリーズ。童話のような架空で浮遊した作品世界。登場人物は無垢だったり、悪意に満ちていたり、ねじが外れていたりする。そこで起こる残酷で美しい物語。それが大王独自のちょっとはずした視点で語られるのだ。

童話シリーズは中心に有名どころのTV俳優さんをすえて、脇を小劇場系の個性的な役者さんでかためる布陣だ。(そして実は物語の影の主役は小劇場系役者さんだったりするのだ)

今回もそんな感じ。伊藤英明、長谷川京子がほぼ初舞台。でもふたりともとてもがんばっていた。とくに伊藤英明君は、ガタイも良いし、声も通るし、もうちょっとふっきれば阿部寛のようになれるんではないかな?(私がはじめてみた芝居は阿部寛主演のつかこうへい「熱海殺人事件-モンテカルロ・イルージョン-」だ。これはすごかった。阿部寛の肉体・演技・声にすべて魅せられた。捨て身っつーかなんつーかあのイブニングドレスは歴史に残るよ。尊敬!) ハセキョウの評価はさんざん(えんぺ一行レビュー)みたいだけど、わたしはいいんじゃないかと思ったよ。

素敵なのは影の主役木場勝己、スクルージの役どころをあますところなく演じていた。にくらしくてキュートなおじいさん。年季の入った舞台役者さんのすごさを知らしめてくれました。もちろん他の脇をかためる山崎「NOVAの鈴木さん」一、犬山「ニャースの声のひと」イヌコ、瀬戸カトリーヌ(この人の舞台の上のふっきれかたはすごい!)、山内「映画瀬戸内少年野球団の主役だった美少年、今は美丈夫」圭哉(愛しています)などなど、どの方もみんな相変わらずとても良い。

たくさん笑ってたくさん泣いて、私のこころの源泉に触れる楽しい舞台をありがとう。大好きだよ大王!でも次の舞台は「人間風車」みたいに、もうちょっと悪意はいってもいいかもね。

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