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Le cocon(Voyage V)(繭)

繋いでいた手が振り解かれて、彼女は森に逃げ込んだ。

吐き出した自分の糸で小さな小さな繭を作り、その中で幸福な夢を見ている。

その姿があまりに幸せそうで楽しそうで、つい思ってしまったんだ。

- モウイイジャナイカ

彼女がそれを幸福と呼ぶのなら、それを受け入れよう。失うくらいなら孵らなくてもいい。繭ごと彼女を愛そうと。

- ホントウニイイノ?

- え?

刹那、音の奔流に襲われた。躊躇も諦念も何もかもが押し流されるような - 天上の調べ。知らず俺は涙を流していた。 ああ、俺は何度でも、これからきっと何度でも思うのだろう。彼女と共に行きたいと。あの音と共に天に昇りたいと。

繭の中でまどろんでいる彼女。しかし皮肉にも彼女は自分から繭を破ってしまったのだ。奔流の向かう先は -
決まっている。俺は思わず部屋に飛び込んだ。

オレと一緒に - !

Fin.

2009 9.5

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