La valse viennoise
ホテルへ戻る道すがら、たわむれにステップを踏めば、すっかり酔いの回った恋人が上機嫌でくるくると回る。
「昔、こんなことありまシタね~」
ああ、あったな。あの頃は、まさかウィーンでおまえと二人、ワルツを踊る日が来るなんて思いもしなかったよ。
長い影がふたつ街路に寄り添って揺れている。それが妙に儚く楽しげで俺は定番を口ずさむ。
「Wien, Wien, nur du allein~♪」
「あ、センパイ~また歌ってる」
「Sieczynskiのオペレッタだよ。ウイーンの人間は誰でも歌える古い歌だ」
「ふふ、センパイはウィーンっ子でしたものね」
また来よう。いや、何度でも来よう、二人で。繰り返し訪れる我が故郷 - 夢の都ウイーン。
Fin
2007.05.30
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